2016-05-30

【参加報告】三田市立図書館セミナー「電子図書館を利用した視覚障がい者支援」

最近、ブログの更新頻度が落ちていて、いけませんね・・・。
いろいろと活動を広げ過ぎていて、一つ一つにかけられるパワーが低下していることを自覚しています。ですがブログは自分にとって中心となるメディアですので、しっかり続けていきたいと思っています。

イメージ画像:木漏れ日

前から考えているのですが、もうちょっと文字数を落として要点をまとめられたらいいんですよね。早く書き終わる、更新回数も増える、読みやすい、とみんなハッピーなはず・・・。



★開催までの経緯


さて、本題です。
5月26日(木)に、三田市立図書館が開催する標記セミナーに、出席してきました。当日は60名ほどの参加があり、会場がおおむね埋まる盛況ぶりでした。

公式サイトからはすでにイベントページが削除されてしまっていて、開催主旨等が見られなくなっていますが(これは非常に残念)、今回のセミナーは最近の同館の取り組みの延長線上にあるものと言えるでしょう。

すなわち、音声読み上げ機能を持ったシステムを、視覚障害者自身が使用できるものにすることで、その支援に役立てようという試みです。

この電子図書館システムTRC-DLは、DNP、TRC、日本ユニシス、ボイジャーによって開発されたもので、同館や立命館大学との協力により、現在に至っています。
今年4月に「障害者差別解消法」が施行されたことも追い風に、こうした取り組みを進められていることは、高く評価されるべきだと思います。

なお、これまでの同館の取り組みについては、国立国会図書館のカレントアウェアネスDNPのニュースリリースなどで報じられています。
また、セミナーの様子は、神戸新聞に記事が掲載されています。



★セミナーの内容


セミナーは大きく、3部構成でした。以下、概要のみ記します。

  • 講演「公共図書館における電子資料の活用と意義」
    立命館大学・湯浅俊彦先生から、標記タイトルの講演がありました。公立図書館と読書アクセシビリティ、障害者差別解消法の施行、地域の情報拠点としての公共図書館、立命館大学のテキストデータ化事例といったお話を頂きました。
    この日のメインコンテンツは次に登壇された植村先生のお話という位置付けだったようで、湯浅先生はそのために脇役に徹し、課題の共有や論点整理に努めた、という印象でした。

  • 講演「三田市から全国へ!将来を見通した障害者の電子図書館」
    続いて図書館総合研究所の植村要先生から、講演を頂きました。植村先生はご自身がほぼ視力を失っておいでの方で、そのお立場から視覚障害者にとっての読書とはどういうことか、その読書を巡る実情はどういったものであるか、お話しくださいました。
    先生は、この電子図書館システムTRC-DLの開発において中心的な役割を担っておいでで、その意義や開発プロセスについても、ご教示頂きました。

  • TRC-DLデモンストレーション
    TRC-DLについて、DNPさんから説明とデモがありました。
    デモを見ただけの印象ですが、従来のシステムに比べ、視覚障害者にとって非常に使いやすいものになっているようでした。

イメージ画像:山中の風景写真



★考えたこと


以下、セミナーを終えて考えたことを。

  • 湯浅先生による論点整理、TRC-DLのデモもさりながら、植村先生のお話が非常に印象的。視覚障害者が自身の言葉で語ることが、これほどに聞き手を当事者にするのか、と思えた。
    特に、障害者の読書が進学を変え、就職を変え、結果的に人生を左右することになる切実な問題である、という指摘は重要。

  • 現時点では視覚障害者を主な対象にこうしたシステムや支援計画を立てているが、将来的には肢体不自由者などへのサポートも、考えていく必要がある。

  • 公共図書館が喫緊の課題として、視覚障害者に対する電子図書館システムを用意し、音声読み上げに対応したコンテンツを増やし提供することは非常に重要。
    一方で、長期的には単なるコンテンツ提供に留まらず、社会的な理解やノーマライゼーションを促進するための場として、公共図書館が機能することが重要。昨今よく口にされる「人と人をつなぐ」「人と情報をつなぐ」という文脈の中で、公共図書館があるべき社会に向けて、障害を持つ人への理解が広まるよう、役割を果たすべき(例えば企画展示、植村先生のような方をお招きしての市民講座、ボランティア養成など)。

  • 私たちは、当事者として自分に何ができるか考えることが大切。みんながほんの少しずつでも、アクションを起こしていけば、よりよい社会に近づく。例えば、このセミナーについて勤務先で昼休みに話をすることだけでも、ささやかな貢献になる。
    (このブログでも今後、画像に代替テキストを入れるようにしようと決意)

    併せて、自分や家族が明日には突然不自由な体になるかもしれないことを、よく考えるべき(私的な話をすれば、れいこが病に襲われ体の自由を奪われた生活が始まったのも、本当にある日突然起きたことだった)。

こうしていろいろ考えさせられた、有意義なセミナーでした。
パネリストの皆さん、開催くださった三田市や関係者の皆さん、ありがとうございました!

イメージ画像:花


●お断り
「しょうがいしゃ」という表記方法にはいくつかあるようですが、ここでは原則として湯浅先生・植村先生の表記にならい、漢字3文字での「障害者」という書き方としました。
(ただし、本セミナーは「がい」という字を平仮名で記していますので、セミナー名に限り、そのまま記載しています)



●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。

今年の「れいこパーティー!」が6月5日(日)・6日(月)に迫り、れいこのことをあれこれと思い出す日々です。


4年前の今頃は、緩和病棟への移動を決めた頃でした。
治療による改善の可能性はほぼなくなり、れいこを友達に会わせてやりたい(それまでの小児病棟には子どもは入れません)、そのことで奇跡が起こるのではないかと願っていた頃です。

れいこがどれほど辛く寂しかったのか、思い出しても涙が出ます。
せめて毎年のセカンド・バースデーくらいは、寂しくないように明るく賑やかに過ごしてやろうと思います。

お越しくださる皆さん、しんみりではなく、ぜひ「れいちゃん、来たで〜!」と笑顔で声をかけてやってください。れいこもきっと、喜んでくれると思います。

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