2016-07-31

図書館員3つの不足?

前回の記事の続きです。先日感じた、もう一点について。

イメージ画像:公園の写真




★3つの不足


失礼ながら、率直に。
今回講師をして強く感じたのは、聞き手(図書館員)の研鑽が、決定的に欠けていることでした。具体的には、以下の3つの点が不足しており、これらは特に業務委託・指定管理のスタッフが陥りやすい課題かもしれません。

  1. 知識の不足
    講演中に何度か、皆さんがきょとんとすることがありました。その都度、「この○○をご存じの方、挙手してください」と確認しましたが・・・手の上がらなさは、プロとして非常に寂しいものでした。

  2. 研修の不足
    知識の不足の一因は、研修の不足です。聞けば、こうした館内・社内研修も少ないそうです。
    業務委託や指定管理のスタッフは、週末・祝日勤務や時差もあり、一斉研修等を行いにくい環境ですが、それを理由にするべきではありません。

  3. プロ意識の不足
    より大きな課題は、プロとして自ら学び成長しよう、という意識が定着していないことだと思えました。
    館内研修が少ないのに、外部研修に参加したり、文献を広く読んだりしているスタッフはほとんどいないようでした。プロとして技量を高めていく意識が館内にないことが、一番の課題でしょう。

イメージ画像:公園の写真



★素晴らしいチームだからこそ


皆さんから、この職場は仲も良く日々の業務に励むいい職場、と伺いました。私もそう思いましたが、だからこそ改善が必要です。

この皆さんは、チームとしての未来像がないまま、そして持っておくべき知識も欠いたまま、懸命に働いているように見えました。
何を造るのか考えないまま、素手で一生懸命レンガを積んでも、素晴らしい建物はできません。

逆に言えば、こうしたチームは劇的に姿を変える余地があります。
図書館員がこれからの図書館のあり方、何より自分たちのまちの未来を思い描き、しかるべき知識・技量を持てば、どれほどよりよい社会づくりに貢献できることでしょう。

今回、業務委託や指定管理のスタッフは構造上、こうした課題に直面しやすいと再認識しました。これは本来個々の課題であると同時に、組織としての課題です。次回は、それについて少々。

ともあれこれはこの館だけでなく、図書館界全体で取り組むべき課題です。
皆さん、身分や立場の違いを超え、一緒にプロとして高め合っていきましょう!

イメージ画像:公園の写真



★お断り


今回はこうした現状と課題を多くの図書館員と考えたいと思い、この記事を書きました。当然ながら、この館のことを批判することが目的ではありません。

研修に参加された皆さん、不快に感じられたら申し訳ありませんが、プロ同士がより高いものを目指すための議論として、ご理解ください。

必要であればときには厳しく議論し合ってこそ、プロだと思います。

(2016.8.8追記)
この記事の続編を、書きました。「図書館管理職の皆さんに取り組んで欲しい2つのこと」です。よろしければ、そちらもぜひ。


5 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

井上さん:

ご指摘、おっしゃる通りだと思います。私の経験で言えば、
会社として:人が定着しにくい中で、とにかく人を集めることが先決。委託先の仕事を問題なくこなしてくれればOK。(私自身、「今の最大のミッションは人を辞めさせないこと」と言われたことがあります。
スタッフとして:図書館が好きで、そこで働ければOK。仕事も無難にできてるし、プロ意識とか求められても・・・
という感覚だろうと思います。
私自身、もっとスタッフのスキルアップをしたくて月イチ程度で実習とかやっていたのですが、それでも「図書館の知識であっても目の前の仕事と直結しない知識はいらない」とか、会社からも「あまりレベルアップ求められても人が集まらなかったり辞められたりする。だからそこまでしないで・・」と言われたことがあります。
難しいんですけれどもね・・・・委託先の図書館や職員さんが我々にもっと高いものを求めてくれれば、変わってくるのかも。井上さんの話されたところは、館長さんが企画したということで、まだ希望があるのではないでしょうか。

野村

匿名 さんのコメント...

そんな時のために各県や地方の図書館協会や協議会の研修会があるのではないでしょうか?
業務委託や指定管理のスタッフは行かせてもらえないのでしょうか?

匿名 さんのコメント...

Twitterをフォローしている者です。

ひとつ、疑問です。
業務委託・指定管理者向けに研修や講習会をされているのはどういった意図からなのでしょうか。
業務委託や指定管理のスタッフは構造上、井上さんが提示されている課題に直面しやすいのであれば、正規職員(図書館専任)が登用されれば、問題は解決されると考えてしまいす。
なぜ、大学職員である井上さんが、図書館員の雇用枠を拡げるよう働きかける活動をするのではなく、委託側のフォローに時間を割かれているのでしょうか。

匿名 さんのコメント...

匿名様;

最初に投稿した者です。
各県の図書館協会等の研修ということについてですが、
私は大学図書館で働いているので公共の実情は詳しくないのですが、
大学でいえば研修に行かせてもらえるかどうかは配属先の大学や会社によって
事情が異なります。大学によっては「研修が必要なレベルの人を寄越さないで
ほしい」ということで大っぴらに行けないところがあると耳にしたことも
ありますし、研修費用をどちらが持つか(会社と委託先の)で調整が難しく、
結局はスタッフが有給&自腹で・・・というケースもあります。






匿名 さんのコメント...

2番目に投稿した者です。

最初に投稿した者さん、ありがとうございます。
>研修に行かせてもらえるかどうかは配属先の大学や会社によって事情が異なります。
というのは公共にも当てはまるのではないかなと思いました。

配属先や所属する会社の都合とスタッフ各自の意識の関わり具合という感じなんですね。

>委託先の図書館や職員さんが我々にもっと高いものを求めてくれれば、変わってくるのかも。
というのが一つの解決策なのかもしれませんね。

それを受けての井上さんの8日の記事かな。