2012-05-14

【読了】 「いま求められる図書館員: 京都大学教育学部図書室の35年」 (福井京子 著)

今日は、図書館ネタです。
れいこを応援くださっている皆さん、スミマセン。

せめて、写真だけ。


病室で眠る、れいこです。例によって、リラックマグッズに囲まれています。(笑)



○新刊 「いま求められる図書館員」 を読んで

先月刊行されましたこの本、早速注文して読んでみました。
とても興味深い1冊でしたので、ご紹介します。目次等は、こちらをご覧ください。



この本は、人材育成や資質向上といった点を論じたアカデミックなものではありません。
図書館員はどういったマインドを持つべきか、という点について、トコトン述べた本です。ある意味、精神論の本かもしれません。(笑)
私たちは、著者の35年に渡る京都大学教育学部図書室での勤務エピソードから、そうしたマインドを読みとっていくことになります。

例えば、この本には以下のようなエピソードが記載されています。

  • 200件の文献複写を、ユーザーの求めに応じ、1日10件ずつ同じ所蔵館に依頼した(事前相談の上)。
  • 売約済みの古書を、古書店に依頼して、買ったばかりの買主から図書館へ譲ってもらった。
  • 学内の別の図書館の場所が判らない大学院生を、自ら案内した。
  • 閉館後に来たユーザーを招き入れ、相談に乗った。
  • 卒論提出日に駆け込んできた学生の製本を手伝った。
  • ・・・等々。


この本に記された福井さんの行動を、批判的に読む方もいるでしょう。「それは図書館の仕事ではない」、「個人プレイで仕事をしている」などなど。

それもあながち、的外れであるとも思いません。

しかしそれ以上に、とにかく徹底的にユーザーのことを考える図書館員がいることを、前向きに評価したいと思います。

いささか主観的な言い方にはなりますが、現在の大学職員のほとんどが、著者の半分もサービスマインドを持っていないと思います。
著者のような図書館員がいれば、どれほどユーザーに喜ばれ、周りの職員にプラスの影響を与えることでしょうか。

第1章のタイトル「コンシェルジュとしての図書館員」であることにも、福井さんが何を伝えたかったかが、よく表れていると思います。
これは、どんなことにも応えていこうというホスピタリティに満ちた図書館員が必要、という著者のメッセージかと思います。
それゆえに、上記に挙げた例のような形で、多くのユーザーと対応してきたのだと思います。


賛否両論、意見の分かれる本かもしれません。私自身、全面的にすべての著者のエピソードを肯定する訳でもありません。
ですが、「コンシェルジュ」であり「保健室のおばさん」 でもある著者・福井さんが、いかにユーザーに信頼され慕われているのか、その理由について考える価値はあると思います。


私自身、小規模な短大図書館に勤務する身ですから、いかにユーザーにとって身近であることが大事か、よく判るつもりです。
その意味において、大規模な大学図書館中央館のようなところもさりながら、小さい図書館にこそ、こうした「コンシェルジュ」がいてしかるべきだと思います。


特に若い図書館員の皆さんに、著者の言う「図書館員コンシェルジュ論」とそのマインドを、知って欲しいと思います。
ユーザーの信頼を得て、気軽に何でも相談されるようになることが、私たちのスタート地点です。そのスタートに辿り着くためのヒントが、この本から得られるのではないでしょうか。

少しでもご興味がある方は、ぜひ一度、この本を手に取ってみてください。



○お断り

一応、お断りしておきましょう。

著者紹介にも記されていますが、この福井京子さんは、大阪市立大学大学院創造都市研究科(都市情報学専攻)を修了されており、私の直接の先輩でもあります。

ですが私は、ゼミの先輩が書いた、という理由でこの本を薦めるのではありません。あくまで、この本に記されているマインドが大事と思うからこそ、皆さんにご紹介しています。

本来こうした説明の必要はないとは思いますが、先輩に対するリップサービスではないことを、念のため明記しておきます。



●(最後に)どうでもいい独り言。

このところ、ブログに書いているとおりの状況で、なかなか家を空けることもできません。
いろいろな図書館関連イベントや勉強会がありますが、ほとんど全て参加を見合わせている状況です。
中には、役務上欠席するべきではないものもありますが、それでも不義理を重ねていますこと、ご容赦ください。


12日(土)に開催されました「大図研の今後を探るつどい」(大阪会場)などは、その最たるものでした。地元の支部長が欠席で、申し訳なかったですし、私自身こうした意味のある場に同席できなかったことがとても残念でした。
<せめて、という訳でもありませんが、Twitterで多少やり取りに加わり、まとめも作成しましたので、ご笑覧ください。


今月27日(日)に開催されます「図書館総合展フォーラム2012 in 仙台」なども、以前であれば200%参加していたでしょうね。
「図書館政策フォーラム2012『東日本大震災とMALUI連携』」と題したコンテンツは非常に関心を惹くものですし、前後の日程に開催されますオプション企画も魅力満載です。
参加者される皆さん、ぜひ前後企画を含めて、ツイートやブログで情報提供をお願いしますね~。


いつかれいこが元気になったら、またダイトケンはじめ諸活動に参加したいと思っています。その際は、よろしくお願いします!

押忍!

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