2013-03-19

人と人が出会う場所を!まちづくりライブラリー@大阪府立大学

シューロン(修士論文)の提出以来、怒濤のような図書館イベントの嵐に、ガンガン出席しています。行けばいつも飲んで帰るので(しかもたいてい終電まで)、書く方が追い付きません・・・。レポートが遅くなって、申し訳ありません。

さて今日の報告は、3月10日(日)に参加してきた、まちづくりライブラリー@大阪府立大学 第1回植本祭です。
本当は、前日9日(土)から2日連続のイベントだったのですが、仕事の都合などで1日のみの参加となりました。


まちづくりライブラリーのコンセプトやプログラムについては、こちらをご覧ください。


○一番印象に残ったこと+考えたこと

  • 図書館は、今や本を貸すだけの場所ではない。本を介して、人と情報が、人と人とが出会う場所。
  • 既存の価値観に拘る必要は、全くない。タブー抜きでいろんな人が集まって、いろんな交流ができたらいい。いろんな人が出会うことで、新たなものが生まれる。
  • 図書館員以外の人と話すのも、とても楽しい!


○花井さんのセッションに参加!

この植本祭の前半は、キーノート・トーク(パネルディスカッションのようなもの)でした。

まちライブラリーの提唱者である大阪府立大学・磯井先生、奈良県立図書情報館・乾聰一郎さん、小布施町立図書館まちとしょテラソの前館長・花井裕一郎さん・・・といった豪華な顔ぶれが、「本に囲まれた場を交流空間にする!」と題してトークを行いました。
このお話も魅力たっぷりだったのですが、書ききれませんので省略。(涙)

そして後半が、グループセッションです。各グループは、特定テーマでセッションを開くカタリスト(リーダー的な人)のもとに集まります。
グループは、「情報発信とコミュニティを考える」・「岡本町商店街のまちライブラリー」のような割とスタンダードっぽく見えるものから、「転勤主婦の学校」・「有馬温泉のまちづくり」・「お芋で地産地消13歳がやってみた」みたいなものまで、ユニークで魅力たっぷりの24グループ!

そして私が参加したのは、上述・花井さんの「小布施を交流の拠点にする!」というグループです。
様々な取り組みで、一躍まちとしょテラソの名前を日本中に轟かせた花井さん。その花井さんを囲んで、集まった10人ほどが、図書館に何が求められているのか、それをどのように実現していけばいいのか、様々な意見を交わしました。

花井さんのお話は、本当に魅力たっぷりで示唆に満ちていました。
その花井さんにリードされ、いろいろな分野の人たちが自由に意見を交わす場は、とても新鮮でした。
図書館員・書店員もいましたが、主婦だったり自営業だったり会社員だったり・・・それぞれの立場から、本や人に対する思いを語り合いました。

本当に貴重な場と、そして新たな仲間を得られたように思います。
花井さん、参加された皆さん、ありがとうございました。
そしてこの場へ誘ってくださったMNさん、こうした場を設けてくださった磯井先生はじめ事務局の皆さん、本当にありがとうございました!


そうそう、花井さんと言えば、先日出されたこの本を紹介しておきませんとね!



花井さんが、いろいろなご経験や取り組まれてきたことを綴った1冊です。ぜひ、手に取ってみてください。


○人と人が出会う場所、という価値観

冒頭でも書きましたように、この日強く感じたことは、図書館は人と人が出会う場所、ということです。

従来の図書館は、本をはじめとする情報を提供するところでした(たぶん)。
私たち図書館員は、もしかすると、その価値観をバッサリとすべて捨てた方がいいのかもしれません。

この日提唱されたのは、図書館は人と人が出会う場所、という価値観です。
もちろんこの価値観は、本や情報の重要性を否定するものではありません。言うなれば、本が主役だった図書館を、ユーザーが主役の場として捉え直していこう、という考え方です。

この考え方、方向性は正しいと思います(これも、たぶん)。
学問や知識が細分化され、学際化され、そしてそれに携わる人たちの専門性が多様化してきました。学問分野だけではなく、社会としてもそうでしょう。あらゆる社会の構成要素が、複雑化・多様化・細分化されていっていることは、実感として感じられるのではないでしょうか。

ゆえに、私たちは自分の住んでいる世界以外を捉えることができず、自分の分野のタコツボ化が起きているのかもしれません。

だとすれば、私たちが日頃接点のない人たちと出会い、お互いに交流し、情報のやり取りをすることが必要になってきます。その機能を担う場所があるとしたら、それはまさに図書館であるのかもしれません。


ちょっと乱暴な議論だったかもしれません。
ですが、こうした捉え方は、十分に吟味する価値のあるものだと思えます。もしかすると、図書館以外にこうした機能を担う場所があるのかもしれませんし、よりスマートな方法が出来上がっていくのかもしれません。

ただ、私が言っておきたいことは、図書館員は従来の伝統的な図書館機能だけに拘っていてはいけない、ということです。それは、大学図書館など学術情報を中心に求められる図書館であっても、例外ではありません。

図書館が、単に本を中心とする情報の提供場所に過ぎないとすれば、もしかすると半世紀後にはその存在が歴史上のものになっているかもしれません。

ただしこれは、図書館が生き残るための方便であってはいけません。
ユーザーの求めるもの、社会が求めるものは何なのか・・・それを突き詰めていく中で、今回示された価値観についても、立ち止まって考える必要があるのではないでしょうか。

GoogleとAmazon、Yahoo!知恵袋があればそれで十分!・・・なんて未来は、あまり考えたくありませんよね。(笑)



●勉強会のご案内

以下の勉強会等の情報提供を頂きました。よろしければ、ぜひご参加ください。詳細は、各タイトルをクリックして、リンク先でご確認ください。

●グローバル・コモンズ、見学&意見交換会
 日時: 2013年3月30日(土)15時頃~17時頃(交流会も検討中)
 場所: 大阪大学総合図書館(グローバル・コモンズ)
 内容: グローバル・コモンズの紹介、見学、および意見交換

●「日本の図書館におけるレファレンスサービスの課題と展望」最終報告会
 (イベント「社会を創る図書館の力―レファレンスサービスの今を知り、未来を語る」)
 平成25年3月21日(木)13:30~17:30

●第9回レファレンス協同データベース事業フォーラム
 (イベント「社会を創る図書館の力―レファレンスサービスの今を知り、未来を語る」)
 平成25年3月22日(金)10:30~12:00



●れいこと

れいこが星になって、はや9ヶ月あまり。
私たちの心の傷は、癒えることはありません。

去年の今頃、れいこはずいぶんと麻痺が進み、歩けない状態になっていました。
けれど、楽しみにしていた社会見学で奈良に出かけたその日、れいこは車椅子から立ち上がり、自分の足で歩きました。



たった1日だけ。
そう、たった1日だけですが、れいこが最後に自分で歩いた1日でした。楽しみで楽しみで仕方ない、そんな1日だったからこそ、れいこは立ち上がることができたのでしょう。

人間にとって、気持ちや意思がいかに大切なのか、れいこが教えてくれた1日でした。


それでは、押忍!

4 件のコメント:

  1. 花井裕一郎2013年3月19日 23:19

    花井です。ありがとうございます!

    楽しい時間でした!
    そして、その時間をうまく表現されていることに感謝です!

    再会を願います!

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  2. 花井様 和泉図書館坂口です。先日は建築研修会ありがとうございました。松江の日本図書館協会全国大会で、花井さんの講演も設けて欲しかったくらいです。和泉図書館は外形が図書をデフォルメしたもので、屋上はかけ橋をイメージしています。コンセプトは、人と人のかけ橋でHPでも高らかに謳っています。キャッチコピーは「入ってみたくなる図書館」(坂口作)です。「用があって図書館に行く」だけではなく「用がなくても図書館に行く」がおそらく偶然の出会いを求める「ひとごころ」でしょう。井上さん、坂口が在職中にお越しください。加賀屋のもてなしにはほど遠いですが。極上の絆です。久保山応援隊。

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  3. >花井さん、
    コメントありがとうございます。
    こちらこそ、楽しく貴重な時間をありがとうございました。
    「うまく表現」できているかは、ちょっと不安ですが・・・。(笑)

    ぜひまたご一緒させてください!


    >坂口さん、
    コメントありがとうございます。
    ぜひ、貴学にもお邪魔したいと思います。どこかで、時間があるときに一度上京して、あちこちを回りたいと思っています。
    その際は、よろしくお願いします!

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  4. 了解しました。小職が不在の時は図書館情報大5期生の部下がいます。よろしくおねがいします。

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