最近、冒頭は年末に行ったタイの記念写真シリーズに。
私が打っていたサンドバッグの横には、ちょっと長めのブランコが(画面左端に、わずかにサンドバッグが写っています)。
私はサンドバッグ、娘はブランコ。毎日海辺へ出る利害が一致していました。
いえ、別にこの写真にも、全く意味はないのですけれど。
さて。
1月23日(土)に、記録管理学会とアート・ドキュメンテーション学会の合同の研究会が開催され、非会員ながら私も出かけてきました。
今回は「MLA連携とその在り方について」と題し、かのエル・ライブラリーにて、講演+見学会という豪華な企画でした!
まず、講演のレポートから、いきましょう!
「MLA連携とその在り方について」
(講演:エル・ライブラリー館長 谷合 佳代子氏)
- エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)は、1978年労働組合により設立された公益法人で、(財)大阪社会運動協会が運営している産業・労働専門図書館である。
大阪の産業・労働に関し、図書はもちろん、書簡・日記・団体の内部文書をはじめ、旗・記章・陶磁器・工具など、広く「三次元資料を所蔵」している。 - いろいろな三次元資料を持つMuseum機能、最新の賃金データ等を持つLibrary機能、そして各団体の内部文書を所蔵するArchives機能と、MLA融合型の図書館となっている。
当初からMLA連携を目指していたのではないが、広く資料を集めるうちに、結果的にそれに近づいた。 - 橋下知事の就任により、委託運営していた大阪府労働情報総合プラザが廃止され、総収入の7割を失った。
委託時代に8年間で利用者を4倍に増やし、経費は減らしている。これを何故、民間委託の成功例として使わないのか? - 本来であれば、プラザ廃止とともに活動を終えるところだが、労組・団体・企業の貴重な一次資料を後世に引き継ぐため、図書館運営を継続することにした。
プラザ廃止から、わずか3カ月、支援者の協力も得て、エル・ライブラリーとしてオープンした。 - 職員は3年間くらいは、給与なしでも頑張る覚悟で臨んだ(実際、今の給与は最低限レベル)。3人の正職員に加え、数名のアルバイト、ボランティアで運営している。
また、300名以上のサポート会員(一般会員5,000円/年)がおり、こうした人たちの志によって、エル・ライブラリーはかろうじて存続している。 - 今後の課題としては、大きく以下の3点。
- 財政基盤の強化:
公的資金がなくなり、現在は資本を切り崩してしのいでいる状況。この給与では、次世代を招くこともできない。スペースも明らかに不足しており、人が来ても作業場所すらないし、資料の保管スペースもほとんど限界。
労働資料が広く揃っていることは大事だが、今後他で手に入る資料は、(スペースの問題で)廃棄せざるを得なくなりそうだ。 - アーカイブス資料の目録化:
労働団体の内部資料等、文書資料をどのように扱っていくか。未整理の山ほどある。 - 博物資料(三次元資料)の目録化:
専門家の指導が必要。例えば、労働争議のゲバ棒をどのように扱えばよいのか。
- 財政基盤の強化:
お話の要点は、以上です。例によって、勝手に集約してありますが、概ねこの内容かと。(笑)
質疑応答の時間があったので、早速挙手して伺いました(非会員でも臆面なし)。
(井上)大阪のローカルな労働情報・資料は、どのように入手しているのか?
(谷合館長)連合大阪との協力関係により、提供を受けているところが大。
連合大阪には、「何も捨てないで!メモ紙一枚まで、捨てないで!」と口を酸っぱくして言っている。捨てるものは、全て特定のワゴンに載せるというルールを作り、そこから必要と思えるものを確保している。
資料の多くは、唯一無二のもの。「まず拾う、まず集める!捨てたら、終わりや!」の精神で!
続いて、館内見学をさせて頂きました。
私たちのグループをご案内くださったのは、館長補佐の千本さん。土曜の午後にも関わらず、非常に丁寧に説明をしてくださいました。
写真も撮らせてもらったので、お伝えしたいことは、山ほどあるのですが・・・いろんなものがあるので、無断でブログに掲載はマズイでしょうか?うっかり、掲載許可を頂くのを失念していました・・・。
むしろ、ここからが本番だったかもしれません。社史や労働史などの関連資料や、関連雑誌の年間索引なども充実していますが、ここにしかないお宝資料が、本当に山積みでしたから!
例えば、以下のようなものが。
- 昔の労働組合の組合員向け刊行物(「運動方針書」だとか、ガリ版の文集だとか)
- 書簡類(ラブレターまでありました)
- メーデーの年別生写真
- 労働学校日誌
- 組合の旗
- 組合のポスター・チラシ
- 海外労働団体の訪日記念品(水差しだとか、石碑?)
- 第1回メーデーのときに、総指揮者がかぶっていた帽子
- 杖・・・に見せかけた棍棒
いや~、面白い資料ばかり!写真でお見せできないのが、残念です。
もし掲載OKでも頂ければ、後日アップする手もありますね。聞いてみようかな・・・。
エル・ライブラリー<レアもの>資料紹介を作られていますので、そちらも併せてご覧ください。
最後に。
エル・ライブラリーを訪れて、とてもいい勉強になりました。
資料の独自性もさりながら、こうした図書館が存続の危機に立たされていること。ごくごく限られた人数とはいえ、職員が情熱を持って、図書館を維持していること。また、それを支えるボランティアやサポート会員がいること。
もしご関心を持つ方がいらしたら、ぜひエル・ライブラリーを訪問してください。ぜひとも、実際に足を運んで見て頂きたいと思います。
そして、こうした窮状に対し、何かご協力頂けるのであれば、嬉しい限りです。私もなっていますが、サポート会員になって頂くことも可能ですし、資料の寄贈したり、書き損じハガキを送ったりすることもできます。
もっと言えば、このライブラリーを知って頂いたり、機会があれば、こうした存在があることを誰かに伝えるだけでもいいと思います。
こうした独自性ある図書館を、私たちも協力して、ぜひとも存続させていきたいと思います。
皆さん、無理のない範囲で結構ですので、どうぞご協力を!
<どうでもいい独り言>
エル・ライブラリーについては思うところ大で、もっといろいろとお伝えしたかったのですが。
今から出張で、熊本行きの飛行機に乗らなければいけません。朝食も取っていないのに、10分後に出発です~。
この日夜に行われた、ゆるい飲み会のことも、またレポートしますね~。
エル・ライブラリーの谷合です。
返信削除このたびは熱いレポートをありがとうございます! わたしたちも井上様に負けない情熱で語らねば、と思いました(笑)。
実に手際よく話をまとめていただき、感謝感激です。なお、「杖・・・に見せかけた棍棒」は「キセルに見せかけた棍棒」です。
写真はじゃんじゃん公開してくださいませ。
今頃は機上の人でしょうか、熊本出張、お気を付けていってらっしゃいませ~。
谷合さま、早速のコメントをありがとうございます!
返信削除アップして10分もしないくらいでの反応ですね!さすがです。
谷合さんはじめ、皆さんの想いが、今のエル.ライブラリーを支えているのだと思いました。
マイナーブログではありますが、少しでも皆さんに貴館のことを、知ってもらうきっかけになれば幸いです。
写真も、戻ってからアップさせてもらいますね!
先ほど、一つフォローし忘れました。
返信削除>「杖・・・に見せかけた棍棒」は「キセルに見せかけた棍棒」です。
失礼しました!そうですよね。「杖・・・に見せかけた棍棒」じゃ、そのままですもんね。
まるで、「羊の皮をかぶった山羊」みたいな。