★国立大学図書館の経営(東京大学附属図書館事務部長・関川雅彦氏)
非常に多くのデータ・グラフを使用しながら、(主に国立の)大学図書館の現状について、説明がありました。詳しいデータを用い、図表化しながら分析することで、様々な傾向を読み取ることができることが理解できました。
例えば、図書館員の増減のグラフです。総数の変遷のグラフを見ても、実態の変化を把握することはできません。
ですが身分別グラフなどを確認することによって、専任職員の減少、それ以外の職員の増加などが見てとれます。また、今回使ったそのグラフからも、業務委託スタッフの人数を読み取ることはできず、表層的な数字にはリスクがあることも感じました。
豊富なデータをしっかりと分析し、そこから対応を考えていく必要があると、考えさせられました。
今回も、一つ質問をしてきました。
講演中に「人事異動は基本的に図書系のみで実施」、「大学があってこその図書館」といったお話がありましたが、その二つの話は矛盾しているように思いました。その点を含め、図書館外とも人事交流を図る方がいいのではと伺いましたところ、「指摘のとおり。現在はそうした意見を受けて、学内での人事交流等について考える流れにある」といったお話を頂きました。
国立大学さんも大きな組織の中で、試行錯誤されているのですね。今後のそうした動きに、期待したいと思います。
関川さん、貴重なお話をありがとうございました!
★私立大学図書館の経営(鶴見大学学術情報事務長・長谷川豊祐氏)
国立大学の経営に続き、2コマ目は市立大学に関する講演でした。
講師からは、多くのデータをもとに職員、資料費などについて大学図書館の現状を紹介頂きました。印象的だったのは、大学間には非常に多くのバラつきが生まれており、同じやり方で何かを解決しようというのは誤っている、というお話でした。
また、「図書館業務に精通した管理職の継承に不安」という指摘について、考えさせられました。
例えば今日の講師の長谷川さんは、この世界のビッグネームです。知識・スキル以上に、こうした方の情熱やマインドなどを、組織としてどう受け継いでいけばいいのか・・・非常に難しいところです。
講演後に長谷川さんに伺ってみたところ、ダイトケンのような外の場にどんどん連れ出して(感化させて)いくべきだ、との意見を頂きました。長谷川さんのようにはいきませんが、私も頑張って、後輩たちを感化していきたいと思います。
長谷川さん、ありがとうございました!
★公立図書館の戦略(潮来市立図書館長・船見康之氏)
指定管理者制度で潮来市立図書館の業務を担っている、同館の船見館長のお話でした。
大学図書館職員を対象ということで配慮頂いたのか、「指定管理者制度のメリット/デメリット」といったお話から、噛み砕いて丁寧にお聞かせくださいました。
(余談ながら、いまだに派遣と委託と指定管理者が全く区別できていない図書館員が多いのは、マズいですよね・・・)。
講師は指定管理者でありながらも、「コストカット目的の指定管理者制度導入には反対」、「図書館をこうしたい、という姿なしの指定管理者制度導入には反対」とおっしゃっていました。
これは全くおっしゃる通りです。委託にしろ、指定管理者制度にしろ、コストカットの手段として実施するべきではありません。ビジョンや目的があって、その実現のため最適の手段であれば、にこれらを導入するべきだと思います。
(私は委託や指定管理者制度が、必ずしも悪いものだとは考えていません)
他にも、「望ましい基準」をひきながら、社会基盤としての図書館の重要性、社会の場としての図書館、といったお話を頂きました。ずいぶんと骨っぽいご講演、非常にいい勉強になりました。船見さん、貴重なお話をありがとうございました!
★古典資料の保存と利用(筑波大学准教授・山澤学氏)
古典資料の保存・利用、そして電子化や書誌など、幅広いお話をお聞かせくださいました。正直言って、自分は業務上古典資料に触ることが全くないもので・・・一般論的に聞いていました。
手の洗浄・消毒、手袋、電灯の照度、利用前の資料状況確認等、利用にあたって一からお聞かせくださって、分かりやすかったです。
★その他、来年度の受講生用メモ
今日もいくつか気づくことがありましたので、来年度受講の方へメモしておきます。
- 筑波大学の皆さんのはからいで、会場にはお茶コーナーが設けられていました。紙コップの傍に、(名前を書いておくための)ペンまでそっと置いてくださっていたのが、心憎く思いました。
- おみやげを持ってこられた受講生の方が、それをお茶コーナーに置いてくださっていました。僕も用意しておけば良かったです・・・(いつも気が利かない私)。
- 受講期間中、図書館や学内のPCが利用可能です。
- 初日のレポートで「電源完備」と書きましたが、毎年必ずしも会場が同じとは限らないそうです。スミマセン・・・。
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