2014-07-16

(受講報告)
大学図書館職員長期研修@つくば(第7日)

今まで何度かに渡ってレポートしてきました、大学図書館職員長期研修@つくば。
ようやく、先週末で無事に終了しました。最後は想定外のこともあったのですが、それはまたご報告します。(笑)


今回は7日目である、7月8日(火)のレポートです。
なお、これまでの受講レポートは、こちらからご覧ください(予告初日2〜3日目4日目5日目週末編6日目)。


★大学図書館職員の新たな役割
(千葉大学附属図書館長及/アカデミック・リンク・センター長 竹内比呂也氏)



お話は、大学図書館をとりまく環境がいかに厳しくなっているか、という点からスタートしました。その上で、大きく以下の3点を「背景」としたお話を頂きました。

先生によれば、「ほとんどが背景というとんでもない」お話だそうです(笑)。
結論的には、「大学図書館員が持つべき『コアとなる知識・スキル』の再定義が必要」、「大学のミッションを実現するために、図書館は何ができるかを考える」べきである、とのことでした。

これは全くおっしゃる通りです。
特に、最後のフレーズには強く共感しました。大学図書館のミッションやあらゆる業務は、大学のミッションを果たすためだけにあると言っても過言ではないでしょう。
大学図書館はえてして学内で孤立しがち、単独行動しがちな面があります。大学がミッションに掲げた人材を育成するために、そうした人材の力で社会に貢献するために、私たちの仕事はあることを忘れてはいけません。

竹内先生のお話はいつもながら親しみやすく、ほどよく(?)毒があり、そして刺激的なものでした。先生、ありがとうございました!


★大学図書館の学習支援(同志社大学 学習支援・教育開発センター事務長 井上真琴氏)


同志社大学ラーニングコモンズの立役者として知られる井上真琴氏から、学習支援・学習環境整備について、お話を頂きました。
まとめとして掲げられたのは、以下の3点です。
  1. 高等教育改革の文脈の中で、大学図書館の学習支援・学習環境を捉える。
  2. 「人はどう学ぶのか」=学習理論に立脚した学習支援プログラムを企画・立案する。
  3. 情報源サービスから「情報源を使った学びの体験」サービスへの転換を理解する。

井上さんが度々言われていることではありますが、上の1.は常々私が思っていることでもあり、非常に強く共感しました。
大学が自身の教育をどう変えていくのか、どういった人材を社会に輩出するのかを考え、そのデザインの中に図書館のサービスが位置づけられるべきです。大学が教育をこうしていこうと考えているのに、大学図書館が単独でそれと一致しないベクトルを設定することは、あり得ませんよね。

こうした話は、会社に置き換えれば、イメージしやすいかもしれません。
例えば自動車メーカーが、「安全性に拘ったクルマだけを展開していこう」と路線を定めているのに、設計部門が「燃費に拘ったエコカーをつくろう」と提案しても、噛み合いませんよね。組織として安全性を追求する戦略を決めた以上は、設計部門はそれを無視することはできません。燃費が大事、と設計部門がいくら考えたとしても、です。

組織として当然のことですが、こと大学図書館は自分たちの世界だけを見がちで、こうしたことを失念しやすいのではないかと危惧します。
このお話は、先の竹内先生のお話に通じるものです。この日のお二人のお話で、ハッとさせられた人も多いのではないでしょうか。

井上さんは、「一朝一夕ではできない。5年10年かけて、やりましょう」ともお話されていました。この日頂いたヒントをもとに、大学と連携しつつ、じっくりと図書館での学習支援を考えていきたいと思います。井上さん、ありがとうございました!


★班別討議(初日)


2〜3日目の問題発見・解決演習で実習した手法を使い、大学図書館経営に関する実際的な課題を発見し、その解決案を作成するものです。
指定のグループに分かれ、この日と翌日、2日間の午後をまるまる使って検討しました。これについては、9日目に発表がありましたので、そのときにレポートしたいと思います。


だいぶ遅いレポートになりましたが、これにて7日目の報告を終わります。


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