2014-09-12

マイクロ・ライブラリーの魅力って何だろう?
(マイクロ・ライブラリーサミット2014参加報告)

このところ、至るところに広がりつつある、まちに小さな小さな図書館をつくろうという動き。
私もライブラリアンのはしくれとして、この動きには注目しているところです。そんな矢先、マイクロ・ライブラリーサミット2014が大阪で開催されましたので、行ってきました!



★マイクロ・ライブラリーサミット2014って?


「マイクロ・ライブラリーサミット2014って何?」とおっしゃる方は、まずこちらをご覧ください。その案内文で、だいたいのところはお分かりになると思います。

マイクロ・ライブラリーの多くは、小さな私設の図書館(あるいは文庫、ときにはそれ以下の規模)ですが、今とても多くの注目を集めています。それは、何故なのでしょうか?何が、人びとを惹き付けているのでしょうか?私はそれを知りたいと思い、今回のサミットに出席してきました。


★トッドさん特別講演会


マイクロ・ライブラリーサミット2014は、2日間に分けて開催されました。
初日は、トッド・ボルさんによる講演「Little Free Libraryの世界」でした。トッドさんは、自分の庭先に小さな巣箱のような図書館をつくるLittle Free Libraryを提唱者で、ご自身も亡くなられた両親の本を用いて、それを設けられています。


会場に展示されていたLittle Free Libraryのサンプル

トッドさんのお話は、とても魅力的でした。トッドさんがやろうとしてきたことは、とてもシンプルです。僅かな本を介して、地域の人たちがつながりを取り戻し、笑顔が生まれたというお話に、私たちは魅了されました。
トッドさんが提唱した小さな小さな図書館は、今や大きな大きなつながりになり、世界中に20,000以上もつくられています。


トッドさんを囲んで(皆さんの許可を得て掲載しています)


★マイクロ・ライブラリーサミット2014


初日は特別講演だけでしたが、2日目はマイクロ・ライブラリーサミット2014本番です。丸一日を費やして、日本中のあちこちのマイクロ・ライブラリーが集まり、その現状、工夫、情熱、そして夢を語り合いました。

イオンモール内のJames Taylorに生まれたライブラリー。兵庫の岡本商店街による、街をあげての取り組み。ライブラリーのみならず交流エリアまで設け、患者とつながる歯科医。条例までつくり、まちじゅうを図書館にした恵庭市。
パートナーズが独自のコーナーで市民を結ぶ墨田区ひきふね図書館。島根県立大学のおはなしレストラン。若者の秘密基地を狙う(?)Youth Libraryえんがわ。
(アフターセッションでは、森ノ宮にショッピングモールをつくり、住民の新たな交流をつくろうとしている東急不動産も登場しました)

それぞれはとても小さいのですが、語り切れないほど魅力的なマイクロ・ライブラリーが次々と登場し、その思いを伝えてくれました。



★この日感じたこと


2日ともそれぞれ軽く100名を超える方々が参加されていた様子で、質疑応答も活発に行われ、サミットは大盛況でした。(Littele Free Libraryを含め、)マイクロ・ライブラリーの何が、こうも人を惹き付けるのでしょうか?

答えは、一つではないでしょう。
私は、人と人がつながることができるから、だと思います。本という媒体、ライブラリーという場を共有する中で、いろいろな人同士が出会い、交流できることこそ、マイクロ・ライブラリーの一番の魅力ではないかと思います。
誰もが自由に訪れ、いろいろな人と出会える場所であること、それがマイクロ・ライブラリーが多くの人びとを惹き付ける理由ではないでしょうか。

単に多くの情報を求めるだけなら、大きな図書館や書店、Webを使えばいいでしょう。しかし、そこにはマイクロ・ライブラリーのような人との出会いは、ありません。小さな図書館であるゆえの、人と人がつながる場所という魅力が、マイクロ・ライブラリーにはあるのでしょう。



★人とのつながり


私自身、このサミットを通じ、多くの人たちとつながることができました。当日の多くの出会いはもちろんのこと、その後facebookで「友達」になったり、メールのやり取りをしたり。私のブログをご覧になって、れいこへの思いを伝えてくださった方もいらっしゃいました。

翌週には、グリーンドリンクス谷町にて、まちライブラリー@大阪府立大学で事務局をしているOさんを囲む会も開催され、さらに新しい出会いがありました。本を介して出会い、つながることは、本当に嬉しく楽しいことです。


あえて懸念を示せば、こうした一連の流れで、本が介在することの意味を見失わないようにしなければ、と感じています。
人と人の出会いは素晴らしいことですが、そこにばかり着目すれば、ライブラリーであることの意義が揺らぎます。ライブラリーは、あくまで本や情報が提供される場所であり、その上で人が集いつながる場所であるべきだと考えます。

人と人が出会える場であるだけなら、(それはそれで意義深いことですが)私たちが提供したいライブラリーという場ではなくなってしまいますよね。

こうしたマイクロ・ライブラリーの活動を楽しみながら、これからの図書館や情報のあり方を考えていきたいと思いました。



●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。

最愛の娘・れいこが星になって、2年3ヶ月あまり。きょーこの存在が支えてくれているものの、今もこの悲しみが癒されることはありません。


れいこが元気だったら、今頃はもう中学2年生です。
近所でれいこの友達に会うと、その成長ぶりに驚かされます。「れいこのお父さん、こんにちは!」と言われると、今もなお、みんなの胸の中にれいこがいることを感じます。嬉しくもあり、寂しくもあり。


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