本やタウン
http://www.honya-town.co.jp
勤務先の生協が、ニッパンと取引しているため、私もそのままニッパンのサービスである「本やタウン」を使っているのです。それは、
● 本やタウンで発注、店頭受取りを指定
↓
● 学内生協の店頭で受け取る
↓
● 通常の店頭にある図書と同様、10%オフ(!)で精算
・・・という訳なのです。
(ご存じかと思いますが、大学などの生協は、通常図書は10%引きです)
本をそれなりに購入する私にとって、10%オフは、非常に大きいです!年単位で考えると、2~3冊くらいは、タダでもらうの勘定になりますから。
ついでに言うと、金券ショップで図書カードを買っていますので、さらに数パーセントの割引になりますね。大学などで本代をたくさん払う方には、お薦めの方法ですよ!
ところで、ネット書店と言えば。
Amazonが、11月4日まで購入金額に関わらず、送料を無料にするキャンペーンをやっています(通常は1,500円以上の購入に対してのみ、送料無料です)。
Amazon.co.jp
http://www.amazon.co.jp/gp/feature.html/ref=amb_link_84390256_2?ie=UTF8&docId=1000267366&pf_rd_m=AN1VRQENFRJN5&pf_rd_s=foil-top&pf_rd_r=0Z9EFM31BVMWZT49Z19E&pf_rd_t=101&pf_rd_p=466819076&pf_rd_i=465392
客の反応を見ながら、続行を検討するという話もあるようです。
ネット書店にとっては、1,500円の購入くらいで送料を負担すると赤字になると思いますが、それを取り戻せるくらい、新たな顧客を増やすことができるのでしょうか?
さて。
先日、たきせあきひこさんから、以下のコメントを頂きました。
個人的には、再販制度がもたらしている書店の不利益ってぱっと思いつかないのですが、もしよければ、井上さんの考える書店の不利益を教えていただけないでしょうか?
わたしは再販制がなくなると、出版社が冒険ができなくなる気がしていて(買い切りだと書店が確実に売れる本しか仕入れてくれないため)今のように色々な本が書店に並ばなくなるのではないかと思って非常に危機感を抱いています。
今のように毎月じゃんじゃん新刊が出せるという状況は、本を作る側にもメリットが大きいですし、いまいち、再販制のデメリットが分からないんですよね…。
「返品制度(再販制)があるから安心して新しいジャンルの本が入れられるんだよねぇ」
前にバイトしていた本屋の店長の言葉ですが、書店や読者にはメリットの方が大きいんじゃないでしょうか?
素人なのであまり良く分かっていないので、そのうち、記事にまとめてみていただけたら嬉しいです。
私こそ素人ですが、思うところをお伝えしたいと思います。事情が判っている方からすると、いささか的外れになるかもしれませんが、どうぞご容赦を。
まずは再販制度と、それとセットの委託販売制度について、乱暴に要約しますと、
- 再販制度:
書店が本を売るときは、定価で販売しなければいけないという制度。再販売価格維持制度のこと。 - 委託販売制度:
出版社が書店に、本の販売を委託すること。通常の場合、一定期間内であれば返品可能。
そうそう、再販制度については、7月12日のエントリーでも触れましたね。
7月12日エントリー「再販制に乗らない本。ポット出版の試み」
http://karatekalibrarian.blogspot.com/2009/07/8-24-9-1-200971800-1-asahi.html
出版社・取次・書店が再販委託販売契約を結ぶことで、上のような状況となっています。
そこで、たきせあきひこさんのおっしゃる「再販制度がもたらしている書店の不利益」なのですが・・・私が考える書店の不利益は、直接的な不利益がないことです。
・・・と言っても、説明になっていませんよね。
ご指摘のとおり、現在の再販委託制度のもとでは、書店にはリスクがほとんどありません。再販制度ゆえに、どの書店も一律の定価販売となり、価格競争をする必要がなくなります。
また、委託制度により、売れなければ出版社に返してしまえば、金銭的なリスクもありません。
価格競争の話は置いておくとしても、委託制度により返品自由ということが、問題なのだと思います。
書店は売れない本を、どんどん出版社に送り返します。それは当然ですよね、負担がないのですから。そのため、ここ何年も国内の返品率は40%にも上ります。
本が100冊発送されて、そのうち40冊が出版社に返送されてくるなんて、素人目にもおかしいですよね?
出版社は、100冊コストをかけて印刷するのに、そのうち60冊分しか売れません。
しかも、40冊分の裁断なり廃棄なりのコストを負担しなければいけません。
そうした負のコストを負担するためにも、60冊で利益回収できるよう、価格を高く設定する必要が出るのではないでしょうか。
まあ、出版社の印刷コストはいいでしょう。部数を作れば、単価も下がりますし、それほど大きくは本代も上がらないでしょう。
取次は、もう少し切実かもしれません。
100冊を書店に送るだけではなく、40冊を出版社に戻すために、多大なコストをかけています。マンパワーもそうですし、返送料も取次が負担することが一般的です。このコストたるや!
こうして高コスト体質になることが、最終的に書店に跳ね返ってきているように思えます。
60冊で利益回収できるよう、高く価格設定された本を売らなければいけないので、当然売るのが難しくなりますよね。
また、こうした関係の中で設定されているのですから、高コスト体質同士の中で、書店の利益幅(通常22%程度)が大きくならないのも当然でしょう。
これが結局、書店にとってのデメリットになっていると思います。自分のメリットが、巡り巡って、最終的にはデメリットになってしまうのではないでしょうか。
しかし、一番のデメリットは、そこではないと思います。
コストの問題などより、返品を前提に安易に仕入れをしてしまう書店が、どこまでプロフェッショナルでいられるのか、という問題があるのではないでしょうか。
「どうせ返せるから、とりあえず入れておけばいいや」くらいの感覚で、仕入れをしているとしたら、魅力的な棚づくりはできないように思います。
<いささか、理想論に過ぎる感はありますが。
小さくても、岩波文庫をしっかりと並べている書店もあります(ご存じかと思いますが、岩波書店は、委託でなく買切で商品を卸しています)。
こういう書店に入ると、思わずニヤリとして、1冊買って帰ろうかという気分になります。
買切でしか卸さない出版社の本を置いている書店は、返品不可というリスクを背負って、棚を作っているということですね。
そもそも、自分で仕入れをしている書店などは、もうほとんどないようですけれどね。
今は基本的に、取次がパターン化して配本してきますので、書店はほとんど「届いてみるまで、何が来るか判らない」状態のようです。
言ってしまえば、ほとんどの書店は、商売道具の仕入れを、完全に他人に任せてしまっているのが現状のようです。悲しいかな、主体的に本を揃えている書店は、ほとんどないとのことです。
<選書を業者さんに委託してしまう図書館も、ありますけど。
一部であっても、自分で本を選んで、出版社や取次に注文を出している書店は、かなり少数派です。そうした書店が、自前で本を揃えようとする際に、返品制度のおかげで大胆な仕掛けができる、というのなら嬉しいことですけれどね。
書店がリスクを背負って、主体的な品定めをしないこと、これこそが再販委託制度の一番のデメリットではないでしょうか?
とりとめのない文章になりましたが、たきせあきひこさんの書き込みに対して、思うところを書いてみました。
「デメリット」について、ということでしたので、この制度の負の面について、主に書いてみました。ご指摘のように、再販制度によって、小売店が助かっていることは否定しません。
むしろ再販制度こそが、10年くらい前までの盛況を生みだしたものと理解しています。
ですが、そこまでなかなかまとめ切れそうになかったもので…今日はこのくらいで。(笑)
書店の現場も、取次や出版社のことも何も判らないまま、書いてしまっています。あくまで素人なりの、知らない者の発言として受け止めて頂ければ助かります。
誤りのご指摘等がありましたら、ぜひお聞かせください。
たきせあきひこさん、これでとりあえず回答とさせて頂いてよろしいでしょうか?ご意見等、お聞かせ頂ければ幸いです~。どうぞよろしく!
<どうでもいい独り言>
先日、空手道場で一日館長になってきました。
館長が直接指導くださる支部なのですが、急用でご不在のため、私がご指名を受けました。
この日は、少年部だけ(=大人への指導はありません)ではありましたが、少しだけ緊張しながらも、一日だけ館長代理を勤めました。
<後ろで親御さんがご覧になっているのが、嬉しくもありますが、プレッシャーでもあります。(笑)
それにしても。
人に物事を教えるというのは、本当に難しいですね。まして、子どもたちに教えるとなると、なおさらです。
この日、私がテーマとして考えて行ったのは、どうして基本が大事なのかを考えてもらうことでした。例えば、構え方一つとっても、そうです。
空手は、ボクシングのように、両手を上げて構えますが、たいていの子どもたちは、何故手を上げるのか考えず、ただ単に手を上げようとしているだけです。
どうして、手を上げるのか。どうして、そこに手を置くのか。
それを考えれば、少なくとも試行錯誤のスタート地点は限定されるように思います。そうしたことを、館長のご指導と違う言葉で伝えたいなあ、と。
この日の指導で、それがうまく伝わったかどうかは、判りません。
ですが、人に物事を伝えるということについて、久しぶりに考えさせられた一日でした。少し、いい体験をすることができました。
こんにちはー。バタバタしていて反応が遅れてすいません。
返信削除ちょっと乱暴にまとめちゃいますが、
「今のシステムが、本の価格を押し上げ、書店の利益幅を圧迫している。それが書店のデメリットである」
という回答をありがとうございました。
この内容について、いつも本当にそうなのかな? という疑問が消えないんですよね。
まず、なんで返品を見越して本を作るのか。
当然、返品率を抑えようと思えば抑えられるわけですよね。配本を減らせばいいんだから。でもそれをしないのは、(広告と割り切って)多めに配本して露出を増やした方が売れるからで、そこでの利益の方が、たとえ返品があったとしても大きいからですよね。
つまり、配本数を抑えれば、逆に売れなくなってしまい、むしろ値段を上げざるをえなくなる。そういう状況もあるんじゃないのかと。これこそ負のスパイラルだなぁ、と。
4割の返品が、どこでも悪玉のように取り上げられますが、ここを本以外の他の商品にはあってあたりまえの<宣伝広告費の部分>ととらえれば、それほど高コストではないんじゃないかと、つい思っちゃうんですよね。
例えば…と書きはじめると長くなっちゃいますので、この辺で。
それ以外の思うところは、「大手への優先配本」などの問題点も見えてきましたし、某メーリスに書いた感じですね。ちょっと公では言いづらい内容かなぁ。
まぁ、この辺の議論は出版社や取次の人にも話を聞きながら進めたいですね。でないと、現実とかい離していっちゃいそうで、怖いですね…(^-^;;
>たきせあきひこさん、コメントをありがとうございます!
返信削除たきせあきひこさんは、コメント投稿数で、No.1顧客です。
コメントに対して、先ほどエントリーを一本書きましたので、そちらをご覧ください。
頂いたコメントに対しては、必ずコメントを返すようにしますね。返品率0%でいきますので、よろしくです!