今日も雑談から始まる、このブログ。
最近名刺交換した多くの方が、初めて訪れてくださるかもしれないときにも、それは変わらず。(笑)
学外研修などを終えて、5日ぶりに出勤した私を待っていたものは・・・
・・・えぇ~!?これが図書館前かいよ~??
ウチの図書館は、大きな軒下が横にあって、いろいろと道具を放りこまれたりすることもあるのですが。・・・だからって、何じゃこりゃ~!?
午後から撤収の業者さんが来て、引き取っていきましたが。要するに、粗大ゴミを断りなく、図書館前に放置してたんかい・・・。
図書館が知らないうちに、こういうことになるって一体・・・。
今日も、何かと戦う私。
さて、今日の本題。
21日(水)から23日(金)の3日間、国立情報学研究所(NII)の学術情報リテラシー教育担当者研修に、参加しました。
NII学術情報リテラシー教育担当者研修
この研修は、「学術情報リテラシー教育に係る専門的な知識と技術を修得する」ことを目的として、毎年開催されています。
到達目標は、「図書館等において学術情報リテラシー教育を企画・運営し、利用者に対して学術情報を入手する方法について的確な指導ができるようになる」ことです。
参加しての感想・・・まず、結論から。
<今回の最大の収穫、2点。>
- 今まで大事だと思ってきたことは、やっぱり本当に大事。それを再認識。
図書館員同士のコミュニケーションであり、教員との信頼関係であり、学生さんの視点に立つことであり・・・。
- 大勢の人たちと知り合えたこと。
多くの皆さんと知り合えて、本当に良かったです!いろいろなお話を伺って、「みんな思いを持っとるんやなー、ええなー」と共感。
特に講師の先生方からは、強い思いを感じるところ大でした。
それは、講師の先生方、NIIのコーディネーター服部さん、会場校の大阪大学の皆さんのご尽力で気付かせてもらったことです。皆さんのご教示とお心遣いに、本当に感謝です!
さて、以下に個別の研修内容を、ごくごく簡単にだけご紹介します。
とてもじゃないですが、3日間丸々費やした濃い研修内容を、詳細にはご紹介できませんので、ポイントというか、私が感じたことのみを記したいと思います。
「学術情報リテラシー教育の理論と動向」
(講師:青山大学 野末 俊比古氏)
野末先生は、今回の研修のメイン講師で、3日間全研修にご同席頂きました。最初に、(ご自分の講義だけではなく)この研修の目的・構成をしっかりご説明くださったことに、好印象を抱きました。
先生の講義は、学術情報リテラシー教育をどうとらえるか、というお話でした。そしてその結論は、最終的に個々の図書館で考えること。
・・・って、当たり前やん!
そう、当たり前でいいんです。よく考えてみると。
私たちも当然よく判っているはずのこのことを、もっともっとしっかり考えてみよう、というメッセージと受け止めました。
目指すものが違う、学習内容が違う、むしろ全てが各館の事情で違う中で、何を考えていくべきなのか、そのヒントを頂いたのでしょう。詳細な講義内容を説明する余裕はありませんが、いろいろな示唆を頂きました。
印象に残ったのは、ユーザーの心理的な障壁を取り除くことも大事、というお話でした。例えば、最近あちこちで試みがなされている、図書館のマスコットキャラ。
・・・が、私は正直、これをやりたくないんですよね。
何と言いましょうか、あまりにも大衆迎合的な気がして。もちろん、各館の状況で判断すべきことですので、一律に否定するものではありませんが。
大学はもとより世の中全体が、相手をお子ちゃま扱いして、やさしくやさしくしようとしてような、漠然とした危惧感があります。大学100万人、総白痴化?
悪く言えば、大学の知的レベルを底辺に合わせて、低い方へ低い方へ、引っ張っているのではないでしょうか?
マスコットがないと図書館を使えないとか、イラストが付いたライブラリーガイドでないと開けない、とか。極端に言えば、そんな学生ばかりが社会に出て行って、日本はどうなるか・・・??
そこで講義後、早速野末先生にアタックして、質問してみました(質疑応答の時間がなかったので、突撃です)。先生は私の危惧に対して、ある面では「強く、賛同します!」とおっしゃってくださいました。
一方で、こうした底辺に合わせた試みで救われている学生がいるのも間違いない、と。
また、これはトップを引き上げる試みとセットで行ってこそ、意味が生じるものである、と。裾野と頂点の両方をターゲットにし、ユーザー全体を支援すべきだ、というお考えでした。なるほど、なるほど~!
さすが、野末先生でした。
このやり取りをさせてもらって、ますます感心。今まで文献を読むことでしかお考えに触れられませんでしたが、直接疑問を解消してくださって、非常に嬉しかったです。
名刺交換もして頂きましたので、勝手にこのブログのURLをメールで送りつけてしまいました。
もしかすると、「ブログの内容が間違えている!」というご指摘を受けるのかも。(笑)
野末先生、もしご覧になっていたら、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。本当に、非常に多くの示唆を頂いた3日間でした!
「コンサルテーションとして攻める学術情報リテラシー教育」
(講師:大学コンソーシアム京都 井上真琴氏)
同志社大学図書館員として長く活躍されていらした、井上さんの講義です。
まず冒頭で、学術情報リテラシーを教える難しさについてお話の後、全国/同志社大学での状況、レファレンスの重要性などについて、お話を展開されました。
井上さんのお話は、いつもとても刺激に満ちています。
こんなことを言うのもアレですが、多くの図書館員(もちろん、私自身も)がいかにしっかりと考えていないか、言葉巧みに訴えておいでのような気がします。
井上さんは以前から、レファレンスの重要性をいろいろな場でお話になっていますが、今回のお話で、改めてその大切さを再認識させられました。
お話の途中で出てきた、「ディマンドに答えるのではなく、ニーズに応える」というご発言は、特に考えさせられるものでした。
質疑応答の際に伺い、ヒントも頂きましたが、私たちはいかにこの「(ディマンドではなく)ニーズ」を知って応えていくべきなのか・・・大きな宿題を頂きました!
もう一つ、これも他でもお話になっていましたが、「名詞で考えるな、動詞で考えよ」というお話も教訓に満ちていますので、ご紹介を。
MITの建築教育を例に挙げられていましたが、椅子の設計に際して、どう考えるべきでしょうか?
(名詞的発想)「椅子」とは何か?
(動詞的発想)「座る」とは、どういうことか?
レファレンスにおいては、情報源というモノではなく、特定の文脈の中で、情報を使う行為とは何であるのか、「何故」「どのように」が大事なのですね。
それにしても。
同じ「井上」さんなのに、私の未熟さ。少しでも近づけるよう、もっといろいろなことを考えて、そして感じていかなければ!
井上さんには、個人的にご教示を頂いたことも、何度かありました。
先日も井上さんの論文を拝読して、質問メールを送ったところ、非常に丁寧な回答を頂きました。そしてこの日、久しぶりにお目にかかったところ、そのときの質問に関する詳細な資料をわざわざ持って来て頂いたのです。
このお心遣い、本当に感激しました!これからもぜひ、よろしくお願いいたします!
このペースで書いていると、多分徹夜しても書ききれません・・・。
これだけ書いて、まだ研修初日の午前の分。泣く泣く、もうちょっと絞って書くことにします。
「教員と図書館員の連携による学術情報リテラシー教育」
(講師:三重大学 長澤 多代氏)
大学における教育の質保証とは何か、という切り口で始まったこの講義。
単位制度の趣旨や、教育方法の改善にとって単位制度の実質化がいかに重要なことであるかを、説明されました。
学生に何を教えたかではなく、学生が何を習得するかが大事、という指摘は非常に説得力のあるものでした。
図書館員が教員と連携し、授業支援をしていくことがいかに大切か、そしてそのためにどのようなアプローチをすべきか。多くのお話を頂きました。
「学術情報リテラシー教育と評価」
(講師:慶應義塾大学 上岡 真紀子氏)
「評価されるって、嫌ですよね。でも、自分たちをレベルアップさせるためには、これが大事!」というメッセージから始まったこの講義。
講師の上岡さんは、現職図書館員ですが、教員のレクチャーに引けを取らない魅力的なお話でした!
サービスは利用者にしか評価できないことを、大前提として認めた上で、あえて点検・評価から修正・改善へ繋げていこうというお話を頂きました。
上岡さんのお話は、マーケティングという視点からのものです。ターゲット・ポジショニング・コンセプトを明確にして、マーケティング・ミックスを策定する必要がある、とのことでした。そして、PDCAサイクルを回すことが重要とのご教示でした。
上岡さんのお話は、概念的なお話はもちろんですが、具体的な例が入っていて、非常に判りやすかったです。
例えば、「大学における学習・研究」を横軸に、「生涯学習度」を縦軸としたサービスメニューのマッピングを作成してはどうか、というご提案を頂きました。マーケッターは、この軸をどう設定するかが命、とのことでぜひぜひ試してみたいと思いました。
とりわけ私が興味を持ったのが、評価のためのアンケートに関するお話でした。
特に自由記述欄の重要性についてお話になっていましたので、質疑応答のときに伺ってみました。<臆面もなく、大半の講義後に手を挙げてしまう私。
ウチのアンケートは、私がアバウトに考えた項目を並べただけですし、自由記述欄も空白のものが多い(笑・・・いや、涙)ので、どんなものかと伺いました。
上岡さんのご回答は、プロの設問ではないので、そこまでナーバスにならなくてよい、ニーズの掘り起こしと割り切っていいとのことでした。
しかし、漠然と聞くのではなく、プレゼンの評価を聞きたいのであれば、プレゼンに限って質問することをキッチリ考えて、とのことでした。
講義後は、お約束どおりご挨拶に伺いました。
マーケティングに関する深い造詣は、独自にある場所で勉強されたとのことで、感心させられることしきり。私よりいくつもお若い方が、現場で働きながらもここまでしっかりと考えておいでなのですね・・・!
プレゼン技法も身に付けておいでで、問いかけをされたり、前方フロアを歩かれたり、大きなゼスチャーをしたり。この辺りにも、脱帽。
お忙しい方のようで、この後ダッシュで東京に戻られるとのことで、ゆっくりお話できなかったのが、本当に心残りでした。今回だけでなく、ぜひぜひ、今後もいろいろとご教示願いたいところです。
<どうやら私は、熱心に努力をされている方に、盲目的に心酔しやすいような?
そろそろ長文を入力しすぎて、指が攣りそうになってきました。ここらで潔く、一度中断することにします。明日あたり、続きをアップしたいと思います。
この後、もうちょっとだけ↓のコーナーを。
<今日の小ネタ>
今日は久し振りで、ちょっとネタが多いです。
私のメインテーマであるGoogleも、いくつか。本当は、Android新バージョン等、もっと紹介したいところですが。
- ITmedia News「Google、音楽検索サービスで大手レーベルと提携」
Google検索から、AmazonやAppleのiTunes Storeへ。これがうまくいけば、巨大市場でますますGoogleがその座を確固たるものに。 - ITmedia News「Google、ストリートビューに大学構内や動物園など追加へ」
大学内にも、Googleのカメラを積んだチャリが爆走か。「私有地内を撮影する場合は、関係者に事前に許諾を得る」そうですが。ますます議論を呼ぶストリートビュー。 - 明治大学 東京国際マンガ図書館
2014年を目標に、明治大学の画期的チャレンジ。マンガだけでなく、ゲームやアニメなどサブカルチャーを対象にすることを評価したいです。これはまさか、民主党政権誕生の影響? - 10月23日 松丸本舗 丸の内本店4階にオープン!
あの松岡正剛氏がプロデュース。「松丸」=「松岡」+「丸善」でしょうか?「リアルな場としての書店はどうあるべきなのか」、「その一つの答え」だそうです。リアル書店復興への試みは大歓迎、来月偵察することにします。 - カレントアウェアネス・ポータル「今井書店グループと『本の学校』が菊池寛賞を受賞」
さすが、今井書店!私も断片的にその活動を伺うばかりではありましたが、こうした活動が評価されたことを、素直に喜びます。 - NIKKEI NET「米バーンズ・アンド・ノーブル、電子書籍端末に参入」
これを見て、ますます存在感を感じさせるAmazonのKindle。読書端末は、とうとうその負の歴史を払拭することができるのでしょうか?読者に選択肢が増えることは、とりあえず悪くはありません。
<どうでもいい独り言>
最近、更新が遅くなっており、申し訳ありません。今回の研修も、とても1度に書ききれませんでした・・・。ご覧くださっている皆さん、申し訳ありません。
お詫びしつつも、今回ちょうど、このブログ50件目のアップになりました!半年で50件・・・あまり多いとは言えませんね。
ちょっと言い訳しますと。
1件書くのに、最低2、3時間くらいは、かけています。ネタ集めとそのウラ取りで、意外と時間がかかります。そもそも、取りとめなく文章長いし。(笑)
それを考えると、このブログに、はや100時間以上は軽く投入したことに。・・・という訳で、毎日アップできないことも、ご容赦ください(と言い訳)。
もしご関心があるテーマなどがありましたら、ぜひコメントやメールをお願いしますね~。情報提供やご意見・ご要望、大歓迎です!
このブログをコンセプトどおり、皆さんとのゆるいコミュニケーションに使えれば、本当に嬉しいことです。
それと!
先日のエントリーで書きましたが、間もなくFuture Librarian 全国図書館大会U40プレミアセッションが開催されます!
いよいよカウントダウン、今週木曜です!
大阪会場はじめ全国にいくつか会場がありますので、ぜひご参集ください。
私も大阪会場サポーターをしていますので、まだの方は、いますぐ!そう、今です!上記サイトから、お申込みください!
なお、この土壇場で(笑)、福岡会場が新設されました。九州地方の方も、ぜひぜひ福岡会場へどうぞ!
8 件のコメント:
こんにちは、猫とお腹です。
小ネタ拾ってばかりですが。
>「今井書店グループと『本の学校』が菊池寛賞を受賞」
ちょうど新聞発表等あった日に営業さんが納品にこられたので、
「菊池寛賞受賞おめでとうございます」と言っておきました。
それにしてもこの受賞者の並びに混じってってスゴいです。
>猫とお腹さん、
いつもありがとうございます!
>「菊池寛賞受賞おめでとうございます」
本当ですよね!
決して都会とは言えない場所で、長期に渡って活動されたことが評価されたのだと思います。
一度、伺ってみたいと思いつつ。
こんばんは。
本当にいろいろとお忙しい中、先日のU40ではお世話になりまして、ありがとうございました。
リテラシー研修もお疲れ様です。
今年は本当に中身が濃いですねー。
そして、リアル書店はやっぱりいいですよね!
今日は京都にお墓参りに行ったのですが、せっかくなので、一乗寺の恵文社にも行ってきました。ボブ・ギルの回顧展を見たり、ほしい本のタイトルをメモったり。
こんな本屋さんが近くにあったらな~と思います。
今度は東京へ行かれるのですか??
>1971年生まれの同窓生さん、
コメントありがとうございました。
また、先日のU40プレミアセッションでも、ありがとうございました。
>リテラシー研修もお疲れ様です。
>今年は本当に中身が濃いですねー。
そうなんです、本当に充実したいい研修でした!続きを早く書かないと・・・。(汗)
>リアル書店はやっぱりいいですよね!
そうですね!やっぱり、紙の本の良さは捨てがたいです。(笑)
一乗寺の恵文社さんには行ったことがないのですけれど、下記サイトの書店さんですよね?
http://www.keibunsha-books.com/about/index.html
先日丸善さんの松丸本舗をご紹介しましたが、最近はこういったリアル書店への回帰が試みられている気がします。
野球のメジャーリーグで言えば、ドーム球場ラッシュを経て、最後に天然芝の屋外球場に回帰したように。
大事なものの良さを、見失わないようにしたいと思います。
>一乗寺の恵文社さんには行ったことがないのですけれど、下記サイトの書店さんですよね?
そうです。
本好きにはたまらない空間ですよ!
そして、今日は、宝塚のメディア図書館の公開講座で、写真集やアートブックを出している赤々舎という出版社の代表の方のお話を聞いてきました。
その中で「日本中で写真集を買う人は、500人位しかいない」というのを聞いて、ほんとにそんなに少ないの?って思ったのですが、それぐらい売れないものだそうです。
赤々舎では国内外で、写真家と一緒にスライドショーで写真を紹介したりするツアーもやっているそうで、やっぱりそういうところからその写真家のことを知って、それから写真集を買ってくれるという流れになるので、ただ書店でビニールカバーがかけられている状態でおかれていては、なかなか売れないよね、という話でした。
それで実験的に、webで全ページを公開してみようかと思っている、という話も出ていました。やっぱりwebの情報と、実際の本とはぜんぜん存在感がちがいますもんね。その方が絶対、ほしいな、買ってみようと思う人は増えるはず。
芸術の秋、いろんなところで、いろんなイベントをやっていますね。
11/21~23には、奈良県立図書情報館で、「奈良を考える~図書情報館から考える3日間」というのもあるそうで、これも面白そうだなーと思っています。
http://eventinformation.blog116.fc2.com/blog-entry-281.html
長々とすみません。
井上さんに触発されたようです・・・。
>1971年生まれの同窓生さん、
まいど!恵文社さんに続いて、今日は宝塚メディア図書館ですか!
相変わらずの精力的な活動ぶりですね~。
<私も、負けてはいられませんね!
写真集というのは、なかなか採算ベースに乗せにくそうですよね。
いろいろな試みをなさっている出版社さんは、ぜひ応援したいです。
>11/21~23には、奈良県立図書情報館で、「奈良を考える~図書情報館から考える3日間」
おお、これは面白そうですね!私も行ってみたいなあ!
もし行かれるのであれば、ご一緒しませんか?
あ、でも、兵庫に戻るまで、スケジュールが判らない・・・。
>もし行かれるのであれば、ご一緒しませんか?
>あ、でも、兵庫に戻るまで、スケジュールが判らない・・・。
はい、私は22日の内田樹先生のお話に申し込みました。
他のも面白そうですけど、ちょっと遠いので。
事前申し込みが必要なので、もしご都合付きそうなら情報間のサイトから申し込んでみてください。
>1971年生まれの同窓生さん、
いつもコメントありがとうございます!
このブログで、最も大事な顧客?のお一人ですね!感謝、感謝。
ところで奈良ツアーの件、残念ながら、その日が塞がっていました。
お泊まり家族旅行に出かけるのでした。
(1週間も不在にしていたため、家庭内不和を解消する目的)
自分で言いだしておいて、申し訳ないです。またぜひご一緒しましょう!
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