これは、私が支部長をしていますダイトケン兵庫支部にて、6月例会「ドライブで訪ねる、関学アカデミックコモンズ&兵庫教育大学PAO」と題して、開催したものです。
申し訳ありませんが、先日から書いています「連載・図書館員のセルフブランディング」は、お休みします。
○今日一番、伝えたいこと
- ラーコモは、何をしたいかが大事。コンセプトがあり、それに見合った器をつくっていく。
- ラーコモはツールであって、目的ではない。教育や学習が変わっていく中で、それに応えていくための手段として認識するべき。
- ゆえに、ニーズを見据え、しっかりしたコンセプトをつくることができれば、活用されるラーコモが自然と出来上がる。
○関西学院大学アカデミックコモンズ
最初に見学したのは、関西学院大学の神戸三田キャンパスにあるアカデミックコモンズでした。
この4月に、オープンしたばかりのアカデミックコモンズ。コンセプトは「学習×憩い×学生活動」で、新しい学習支援スタイルを目指すものです。
私も身近な関西学院大学ですが(笑)、アカデミックコモンズを訪問するのは、初めてでした。
4,000平米を超える広い建物に設けられた数々の施設、そしてそこに込められた願いやコンセプトなどを、いろいろと勉強させてもらいました。
頂いたパンフレットでは全部で20ものコーナーが掲載されているのですが、とてもすべてを紹介しきれませんので、印象的だった部分のみお伝えしていきましょう。
●アクティブラーニングゾーン
もっともラーコモを象徴づけるゾーンです。可動式の机や椅子、ホワイトボードなどが設けられ、学生さんたちの自由な学びの環境を支えています。
自然光を取り込んだ、2階までの吹き抜けになっている800平米もの空間は、圧倒的とも言えるものでした。
貸出用の機器も、豊富です。PC、100インチスクリーン、プロジェクタなどだけでなく、机上投影プロジェクタ(机の盤面にPC画面を投影!)、手のひらサイズの超小型プロジェクタ、小型OHCなど、いろいろな機器が提供されています。
こうした機材が、多様で自由度が高く、何より楽しい学びを提供してくれることでしょう。
●カジュアルライブラリーコーナー
このアカデミックコモンズの大きな特徴は、大学図書館とは完全に切り離された施設である、ということです(ご存じのとおりラーコモは、大学図書館内に設置されることが一般的です)。
図書館とは別施設のアカデミックコモンズですが、内部にはカジュアルライブラリーコーナーが設けられています。比較的最近、新聞書評に掲載されたものなどを中心に図書が置かれています。
ここのユニークな点は、貸出管理を一切(!)行っていないことです。「貸出手続き不要、2週間以内に返却すること」というのがルールとのことでした。
●いろいろな施設
グローバルコーナーには、海外留学関連の資料などに加えて、英語コミックが多数置かれていました。英語版ワンピースやデスノートなどもありました(笑)。
気軽に英語と向き合うことも、学生さんにとって必要なことなのでしょうね。
和室もありました。ここも人気スポットのようです。
現在、イベント共有ゾーンに向けて、計画中との一角もありました。多様な活動を誇る神戸三田キャンパスならでは、ですね。
他のラーコモに負けじと、什器類にも拘っているようでした。私が一番気に入ったのは、この椅子。下に荷物置きがあり、机部分と椅子部分が別々に回転するタイプのものです。
「シアター」という名称の部屋もユニークです。大規模プレゼンルーム的な部屋ですが、「発表者が映画の主人公のような気持ちでプレゼンをできるよう」という願いを込めて、わざわざ「シアター」と名付けたとのことです。
外へ出れば、採光が良く広いテラスが。ベンチや植物も置かれていて、快適空間を演出しています。
キリスト教に根ざした人間教育を行う関西学院らしく、「ミッションルーム」も設けられていました。キリスト教系の活動などに使うための専用ルームとのことです。自身のミッションを重視する姿勢が、スバラシイ!
(私も、先日自分のミッションを確立して以来、「ミッション」という言葉は強く意識するところです)
アクティブラーニングゾーンを見渡せる学習スペース。ここで下を見渡しながら学習するのは、楽しいだろうなあ・・・と思わせます。
これらの他にも、アクティブルームやリサーチルーム、クリエイティブスクエア、プリントスポット、カフェ、ラウンジ、それに連結したバスロータリー・・・数々の施設・設備が設けられていました。
○ユニークなコンセプト
特長的なのは、モノだけではありません。
学生サポーター、チューターにより、アカデミックコモンズの活動が支えられていることも、大きな特長でしょう。
アカデミックコモンズには、「気づき・出会いプロジェクト」、「グローバル人材育成プロジェクト」、「たて・よこ きずな強化プロジェクト」などの5つのプロジェクト型アクティビティが設けられています。 学生さん、そして教職員が一体となり、こうしたプロジェクトを推進するしかけが整っています。
アカデミックコモンズが魅力的な理由は、コンセプトがしっかりとしているところです。
これらのプロジェクトもそうですが、最も重要なコンセプトは、「学習×憩い×学生活動」です。このコンセプトのもと、学習支援と憩いのスペースのみならず、学生活動支援窓口が集まっている点が特長です。
この学生活動支援窓口というのは、キャンパス事務室・キャリアセンター・国際教育協力センター・保健室など、神戸三田キャンパスの8つの事務室のことです。
4月のアカデミックコモンズ開設に伴い、これらの事務室全てをコモンズ内に移動させたそうです。これにより、学生さんたちは、学生生活の多くをこの建物内で完結させることができるようになりました。
多くのラーコモにおいても学習や憩いという観点はありますが、この学生生活支援まで取り込んだアカデミックコモンズは、かなりユニークな存在と言ってもいいでしょう。
単にPCやユニークな机・椅子を置いた、ということであれば、それはインターネット喫茶に過ぎません。
関西学院大学神戸三田キャンパスでは、自分たちの学習スタイルや生活スタイルを考え、どのような場にしたいかをよく練ったからこそ、このようなスペースを設けることができたのでしょう。
アカデミックコモンズの開設にあたって担当者は、ラーコモはもちろん百貨店に至るまで、30カ所以上の見学をしたそうです。こうした努力も、このアカデミックコモンズの成功にも繋がっているのかもしれません。
他方、いささか気がかりな点もあります。
それはやはり、大学図書館と完全に別個の施設にしてしまっていることです。大学における学びを支援するのであれば、その中心である大学図書館を切り離しては考えられないのではないか・・・とは思います。
どんな判断があってこのようにしたのか、このデメリットをどのように補おうと考えているのか・・・?あるいは、それ以上のメリットを感じておいでなのか??
この日は時間もなく、そこまで突っ込んだお話を聞けなかったのですが、大いに気になるところです。
ともあれ、明快なコンセプトをつくり、それをしっかりした形にしたアカデミックコモンズ。一般的なラーコモとは少し違う、それでいて、とても印象的な施設でした。
(見学の後半、関西学院大学図書メディア館と兵庫教育大学附属図書館PAOについては、明日ご報告します)
●れいこと
最後にまた、れいこの話を。
れいこの闘病を支え、応援してくださったメイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパン。
そのメイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパンのスポンサーであるKDDIさんのサイトに、れいこが登場しました!
ぜひ、れいこの出ているKDDIさんのワンクリック募金サイト「キボウのカケラ」をご覧ください。また、病気と闘う子どもたちのために、ぜひワンクリックをお願いします。
れいこ、ありがとう。
お前のおかげで、ほんのちょっとでも、病気と闘う子どもたちへの応援が集まるけんな。お父さんたちも、れいこを応援してもらった分、他の子どもたちのことも応援するで〜!
それでは、押忍!
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