2013-03-21

行ってきました!「図書館のデジタルアーカイブとウェブを活用した情報発信」

3月14日(木)に、兵庫県立図書館で開催された、標記の研修会に参加してきました。
この研修会のプログラムや開催主旨は、こちらをご覧ください。


講師はよく存じ上げている、国立国会図書館関西館電子図書館課の安藤一博さんと、アカデミック・リソース・ガイド株式会社の岡本真さんでした。
このお二人なら、魅力的なお話をお聞かせくださるだろうな・・・と期待しつつ参加してきました。


○一番印象に残ったこと+考えたこと

  • (安藤さんの講演より)国立国会図書館のサービスは多岐に渡り、電子リソース面でも非常に重要。日々新しいサービスが志向されているので、動向を見逃せない。
  • (岡本さんの講演より)伝えるというのは、どういうことか。何が目的で、そのために何をすべきか、そこから考えることが大事。情報発信そのものが自己目的化していないか、多分に自戒。


○「国立国会図書館デジタルアーカイブ事業について」

午前中は、安藤さんの講演でした。
主な聴衆が(比較的デジタルとは縁遠い)公共図書館の職員ですので、おそらく一からのご説明になるだろう・・・と思っていましたところ、予想どおり。(笑)

安藤さんは、国立国会図書館のデジタルアーカイブ事業について、丹念に説明してくださいました。
ご自身の担当であるWARPの他、リリースされたばかりの「れきおん」など、デジタル事業について広くご説明くださいました。

説明は丁寧で、それぞれのサービスを使ってデモも実施されましたので、とても判りやすかったです。
・・・が、スタンダードな事業説明的なものであっため、ここでは詳細は割愛します(安藤さん、スミマセン!)。


○「ウェブを活用した図書館からの情報発信について」

一般的に考えれば、ですが。
このテーマで講演するのであれば「何でもWebに載せていきましょう!」だとか「Twitter使ってみましょう!」みたいな話になりそうですが・・・岡本さんのお話は、そんなものではありません。いつものごとく、いい意味で期待を裏切る講演でした。

例によって聞きどころ満載でしたので、私にはとても要約できません。講演内容については、氏が公開されている当日のパワポファイルをご覧ください。ここでは、私が感じたことだけを、いくつか記しておきましょう。

岡本さんが冒頭で話されたのは、「伝える」とは何か、「伝わる」とは何が違うのか、ということでした。
情報発信することそのものに意味があるのではなく、実際に行動に移させるために何が必要なのか。まずその点をしっかりと考えることがスタート、というメッセージでした。

岡本さんのお話にいつも共通しているのは、何が目的なのかをしっかりと押さえること、そのためには具体的な方法論が必要だ、という点だと思います(たぶん)。
広報すること自体が目的であってはならない、という氏の主張はまさに核心を衝いた指摘で、深く考えさせられたところです。


加えて、企画立案にはVMSOが必要だ、ということを力説されていました。
詳しくは岡本さんのスライドを見て頂くといいのですが、VMSOとはVision, Mission, Strategy, Objectivesの略です。この中でも、わけて重要なのはVision, Missionになるのでしょう。

あらゆるプランに存在するべきVisionやMissionは、漠然と仕事をしていると、失われがちです。先の話で言えば、広報すること自体が目的化してしまい、考えなしにWebにアップして終わりにしてしまう、といったことがこれに該当するでしょう。


表現こそ違えど、このVMSOについては、ちょうど先日書き上げた私の修士論文でも、触れたことです。
短大/大学などには建学の精神があり、それらをもとにした教学方針などがあります。さらにその下には、それらと同じ方向性を持った図書館の理念などが存在します。これらがちょうど、短大/大学などにおけるVMSOに相当することになるのでしょう。

企画が持つ目標や方向性を共通言語化し、組織でシェアしておく必要がある、という岡本さんの指摘は、非常に示唆に満ちたものでした。



なお、岡本さんが講演の冒頭でTwitterでの発信を推奨されましたので、私もいろいろとツイートしておきました(そんな訳で申し訳ありませんが、午前はあまりツイートしていませんでした)。この日のツイートのまとめも、ぜひご覧ください。


○聞き手の義務

ここでお二人のお話から離れ、いささか苦言めいたものを。
私はいつも、いろいろな場で言っていることですが・・・改めて書いておきましょう。

講演などに際し、聴衆にもいくつかの義務があると思っています。
その一つは、質疑応答の時間を有効活用することです。
講演が終わって、講師に質問の一つもない、などということがそうそうあるでしょうか?

この日も、ほとんど質問が出ませんでした。
安藤さんの講演後は、(時間があったのに)私を含め数件。岡本さんの講演後などは、私が挙手しただけ。特に岡本さんの講演は、3時間近いものだったのに、本当に誰も聞きたいことがなかったのでしょうか?


人前では発言しにくいのでしょうか?
マイクを持っては話ができない・・・というのは、非常によくないことですね。まして、コミュニケーション能力が問われているはずのライブラリアンがそうだとしたら、致命的です。

それとも、疑問が何も湧かないのでしょうか?
確かに、そんなときもあるでしょう。講演ではいろいろ学んだけど、何を聞いたらいいのかパッとその場では整理できない、などということもあります。
でも、30人のライブラリアン全員がそうだとしたら、もはや思考停止しているのではないか、とすら危惧します。

私自身、講演を伺うときは、必ず質問するつもりでお話をお聞きします。
毎回自分ばかり質問する訳にもいきませんが、少なくとも1日1度は挙手し、質問しています(さらに言えば、質問した講師には、必ず名刺交換にも伺います)。


「さっきの話、どういうことなんだろう・・・?」と思ったら、ぜひ挙手しましょう。
自分の疑問は、きっと誰かも同じ疑問を持っています。講師がその疑問に応えることが、他の方に何かを気付かせたり、次の質問に繋がります。

ささやかではありますが、こんなことが聞き手の義務だと思いますし、講師への感謝の具体的な表現だとも思っています。

質疑応答を通じて、その会場や研究会が盛り上がり、大げさに言えば(ほんのちょっとではありますが)図書館界の活性化にも寄与できる・・・そんなつもりで、思い切って手を挙げてみてはいかがでしょうか?


●図書館員の交流会企画

以下の2件、図書館員の交流会を企画する方向で考えています。
現段階では調整中ですが、追ってこのブログやTwitter@karatelibrarianでご案内しますので、よろしければチェックください。

●トサケンオフ会@愛知
4月6日(土)に愛知にお泊まりするかもしれません。そうなれば・・・恒例になりつつある、トサケンオフ会@名古屋をしませんとね。
もちろん、トサケンメンバー以外どなたでも大歓迎です。
確定できましたら、こちらはトサケンMLやトサケン公式Twitter@tosaken2006でもご案内します。

●2012年度私立短期大学図書館協議会 全国研修会 同窓会?
2012年9月に開催しました全国研修会@大阪に参加された皆さん、一度同窓会(?)をしませんか?
あのときのスタッフにも、異動で図書館を離れる方がいますので、送別会を兼ねて同窓会を開催しようと考えています。4月の土日のどこかで開催したいと思っていますので、ご都合があえばご参加ください。

なお、これは参加者同士が声をかけ合う、私的な集まりです。協議会の公式行事ではありませんので、正式な案内等はありません。送別会がてら、私があのときご縁があった方々に声をかけようとしている程度のもの、とご理解ください。

いずれも、追ってこのブログでご案内しますので、よろしくです!


●れいこと

いよいよ明日は、れいこの小学校の卒業式です。
元気であれば、笑顔いっぱいで卒業式に臨んだはずの、れいこ。


先生方のご配慮により、私たちにも卒業式のご案内を頂いています。卒業式には、れいこを連れて参加しようと思っています。

れいこが大好きだったクラスメートと一緒に、卒業させてやります。
先生を始め、れいこの学年の子どもたちは、本当にれいこをずっと支えてくれました。この学校で、この学年で良かったと本当に思っています。

明日が楽しみやね、れいこ!

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