2015-09-28

大学図書館員のための聴いてもらえるプレゼン術!
(某社社内研修で講師をしてきました)

シルバーウィークに家族で奄美大島に行き、のんびりしてきました。
帰って来ると、勤務先での大学ではもう授業が始まっていて、あっという間に忙しい日常に逆戻りです。(涙)




★大学図書館員のための聴いてもらえるプレゼン術!


さて、9月12日(土)に某社の社内研修で、講師をしてきました。
先方は、大学図書館業務も受託されている大手企業さんです。閲覧系のスタッフが多くいることから、ガイダンスをしっかりと学生さんに聴いてもらえるようプレゼン法について話して欲しい、とのご依頼でした。



★お話ししたこと


当日は75分に渡り、70人あまりの方々が熱心に話を聞いてくださいました。
スライドは、以下のとおりです(先方の社名・私の所属は伏せてあります)。




最初のポイントは、こちらです。

  • プレゼンは、コミュニケーションである!


自分勝手に喋るのではなく、聞き手とキャッチボールをするように、コミュニケーションとしてのプレゼンをしよう、というお話をしました。
以前イベントで学生さんたちにお話した内容を、図書館員向けにより具体的にしたものです)

・・・が。
誤解を恐れずに言えば、プレゼンスキルよりも、もっと大切なものがあります。



★一番伝えたかったこと


この日、一番お伝えしたかったのは、以下の点です。

  • プレゼンスキルは大事だが、一方で枝葉であり小手先のもの。
    それよりも、プロのライブラリアンとして自分の幹を太くすることが大切。そのために、大勢の仲間とつながり、気づき、成長しよう!

今回は聞き手がプロのライブラリアン、しかも業務委託スタッフという特定層とあって、あえてこの点に踏み込みました。
(プレゼンスキルの話でご依頼頂きましたのに・・・)

例えるなら、プレゼンスキルは西洋的な即効薬です。
練習することで、すぐにプレゼンが劇的に変わります。プレゼンを木に例えるなら、すぐに葉を増やすことができます。



それに対し、私が一番訴えたかったことは、いわば漢方薬のようなものです。
即効薬による対処療法ではなく、体質改善に例えられるかもしれません。自分自身が成長することで、単なるプレゼンスキルを超えて、よりよいガイダンスのあり方や図書館サービスを模索できるようになると考えます。

こちらも木に例えるなら、まず幹を太く高くする、ということになるでしょう。
幹が細く低いままですと、いくら枝や葉を増やそうとしても限りがあります。ですが幹を太く高くできれば、後で枝や葉はいくらでも増やすことができます。

私的な印象を言えば、業務委託スタッフで働く方々はおしなべて優秀ですが、控え目に過ぎると思います。
図書館関係の勉強会や研究会、懇親会などに来られる方は、ごく一部でしょう(お立場がら、そうなりがちなことは百も承知していますが、あえて言います)。



ですが私は、業務委託スタッフか専任職員かといったことは、非常に瑣末なことだと思っています。
身分など関係なく、お互いにプロのライブラリアンとして、よりよいガイダンス、ひいては図書館サービスについて、一緒に考えていくべきではないでしょうか。

そうであるなら、業務委託スタッフももっと外へ出て、大勢の仲間とつながるべきでしょう(個人単位で参加できる勉強会なども、たくさん開催されています)。

そうした場に出て、他館の仲間と一緒に図書館サービス、もっと言えば高等教育のあり方や、社会の中で図書館が果たすべき役割について、大いに研鑽し合い、語り合うべきだと考えます。

こうした学びにより、一人のプロとして自身の幹を太く高くすることこそが、本当によりよいガイダンスを創る唯一の方法ではないでしょうか。
図書館で働く同じ仲間どうし、身分などに関係なく、一緒に成長していけたらいいですよね!



★感謝


ご参加くださった皆さん、ありがとうございました!
皆さんがよりよいガイダンスを実施するため、そして一人のプロとして成長するためのヒントになったのであれば、とても嬉しいです。

また、貴重な機会を与えてくださった運営スタッフの皆さん、万全のサポートをありがとうございました。おかげ様で、お話することに集中できました。これからも、よろしくお願いします!



●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。
冒頭でも書きました奄美大島ライフ、家族で過ごせた楽しい日々でした。もちろん、うそれいこ&きょーこも一緒です。


(見てください、この透き通るような海!)


楽しい日々だからこそ、れいこが傍にいないことに、毎日胸が痛みました。
「どうして、れいこはいないんだろう?」。その思いが消えることはありません。

ですが、きょーこにこうして楽しい思いをさせてやれることは、嬉しいことです。
何年か経ったら、きょーこにこの写真を見せながら、奄美の美しさを語ってやりたいと思います。

ほやけん、きょーこ!
早よ元気に、大きくなるんやで〜!

2015-09-25

丸3日間一つのことだけとことん考え、それを提案する経験をしてみる、ということ
(NIIさんの学術情報ウェブサービス担当者研修 受講レポート)

先日の記事で、北海道の自主勉強会で登壇したり、ダイトケン全国大会に参加したりしたことを書きました。その翌週に、もう1件遠出してきましたので、ご報告します。




★学術情報ウェブサービス担当者研修(ねらい)


9月2日から4日にかけて開催された、NIIさん主催の同研修に参加してきました。目的・カリキュラム等は公式サイトをご覧ください。


(恥ずかしながら、実はNIIさん初訪問でした)


留意すべき点は、本研修はICT技術を学ぶ場ではないことです(公式サイトにも明示されています)。

誤解を恐れずに言えば、ウェブは単なる題材に過ぎません。
ウェブの性質を理解した上で、どのような学術情報サービスを実施し得るか、どのように図書館へ応用できるのかを考え提案する力を養うことが、この研修のねらいなのでしょう。

この研修では、グループワークを通じてそれを実現します。グループごとに新規サービスをデザインし、評価し得る提案をすることがゴールです。



★様々な講義&グループワーク


グループワークに先立って、講義がいくつか行われました。「学術情報流通の現状と課題」といった背景への理解を促すものから、過去の受講生による実践例などまで、多くの講義がありました。

グループワークに直接役立ったのは、「サービスの設計と仕様策定」などの実践的な講義です。
私たちがサービスを提案するときにどういったことを考えるべきか、アカデミック・リソース・ガイド社の岡本真さんからお話を頂きました。



ちなみに私たちのグループは、「大学職員の研修支援」というサービスを、提案しました。

これは、(大学図書館員ではなく)大学職員全体が部署の壁を越え、研修で得たものを学び合ったり、新たな学びのきっかけを創るためのウェブサービスです。

このサービスによって、大学内に学びの文化(しかも図書館発!)を創出できたらと思いつつ、グループ5人で3日間を費やして取り組みました。
今までいろいろな研修も受けてきましたが、今回ほどに一つのテーマを掘り下げたことはなかったように思います。



ここで非常に重要となったのは、岡本さんが講義で話されていたサービスのビジョン・ミッション・戦略・目標です。
グループ討論にあたっては、自分たちが何を実現するのか、何を目指しているのかを明確にしておくことが、非常に重要でした。

これはおそらく、実際のサービスを考える上でも、全く同様でしょう。
時間をかけて大勢が取り組むうちに、どうしても考えがブレたり、違うイメージを持ってしまいます。自分たちのビジョン等が確立されていれば、常にそこへ立ち返ることができます。

このグループワークを通じ、改めてこうしたものの重要性を再認識しました。
思えば、私自身がマイ・ミッション&行動指針を確立させたのも、まさにそれが理由でした。ブレない自分の軸を創ろう、と。



★最終提案プレゼン


最終日の午後は、グループ毎に提案のプレゼンを行いました。
このプレゼンでは、研修の受講生・講師全員が上司や同僚になりきります。他グループの提案に対して採用/不採用の投票を行い、コメントすることが求められます。

そして投票結果は、なかなかにシビア・・・。私のグループを含め、大半のグループが撃沈されました。(涙)

私のグループに対し、不採択理由として頂いたコメントを事後に読んでみました。
そのいくつかは、なるほどと思えるものでもありました。他方、自分たちなりに考え、答えを出していた点に対する疑問も多かったです。

要は、自分たちの考えを伝え切れていなかったのでしょう。
議論し、煮詰めたものを、提案の中できちんと伝えることの難しさを強く感じました(僅差の不採用でしたので、余計にそう感じました)。



・・・ということで、最後に撃沈されましたが、3日間の研修は非常に有意義なものでした。当日の様子は、ARG社の岡本さんが作成してくださったツイートのまとめをご覧ください。

とことん一つのことを3日間も考え、それを提案する、という経験がいかに大切であることか!貴重な経験をさせてもらいました。

受講生の皆さん、お疲れ様でした。そして講師の皆さん、NIIの皆さん、ありがとうございました!皆さんのおかげで、とても素晴らしい場になりました。これから、学んだことを活かしていきましょう!



★(おまけ)MLをつくりましょう!


よく言われることですが、こうした研修の隠れた目的の一つに、他のライブラリアンと仲間になる、ということがあります。
この研修であれば、同じグループになった人とは、ガッツリと仲間になれたことでしょう。


終了後、みんなで打ち上げ!(皆さんの同意を得て公開しています)


・・・ということで、提案です。今年の研修メンバーのメーリングリスト(ML)をつくりましょう!せっかくのご縁、これからも活用していきましょう!

  • MLへの登録を希望される方は、登録したいアドレスから、メールをください(私の公的名刺のアドレス宛)。ML開設後、改めてご連絡します。
  • MLは特に内容制限を設けず、図書館・大学に関連するネタならOKとします。気軽にやり取りできる仲間うちのMLとしましょう。
  • 運用開始後、一度は投稿頂くことを、お申し込みの条件とします。
  • 受講生だけでなく、講師・ファシリテーター・運営に携わった方も、大歓迎です。
  • まずは、10月3日(土)31日(土)までを最初の受付期間とします(以降も登録お申し出を受け付けます)。

今年の研修に関わった皆さん、ぜひ!
これからも、ぜひこのご縁を大切にしていきましょう〜。



★(もう一つおまけ)オプション企画も充実!


この研修期間中、いろいろなオプション企画がありました。
NII図書室や、お隣の共立女子大学図書館さんの見学ツアー。
夜の部では、一部有志による前夜祭、初日夜のNIIさんによる公式情報交換会、研修2日目に私たちが企画した「第10回大学図書館交流会×ウェブ研同窓会」など。

企画くださった皆さん、ご一緒くださった皆さん、ありがとうございました!
こうした場で生まれ深まったご縁が、これからの図書館をよりよいものにすることを、願っています!



●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。
シルバーウィークに、家族で奄美大島に行ってきました。
友人と会ったり、きょーこを海で遊ばせてやったりと、とても楽しい毎日でした。


こうして旅行をすると、いつもれいこのことを思い出します。
れいこがいないのに自分だけが楽しんでいいのか、という罪悪感のようなものも感じています。

何かにつけ、気持ちが折れそうになるのですが、きょーこがそれを癒してくれます。
きょーこの笑顔に、私たちがどれほど救われていることか。

ありがとう、きょーこ。
お姉ちゃんの分まで、いろんなことをいっぱい楽しんでやね。

れいこ〜、きょーこを見守ってやってな!

2015-09-20

ダイトケン全国大会@札幌に参加しました
(利用者支援分科会「サポートで効果倍増!?ガイダンス・ビフォーアフター」も開催しました!)

久しぶりのブログ更新です。
前回ご報告した北海道での勉強会に登壇した後、ダイトケン全国大会@札幌、日本図書館研究会ワークショップ「学校図書館専門職員制度化の課題について考える」、NIIさんのウェブ研、某社の社内研修講師・・・と立て続けでした。

忙しさもピークを過ぎましたので、順次手短かにレポートしていきたいと思っています。


そうそう、それとご報告です。
前回ご報告した北海道での勉強会登壇の件、参加者アンケート結果が出ました。望外に高い評価と、これからも頑張ろうと思えるコメントを多数頂きました。
ご参加くださった皆さん、事務局の皆さん、改めてありがとうございました!



★ダイトケン全国大会@札幌について


さて、8月22日(土)〜24日(月)にかけて、ダイトケン(大学図書館問題研究会)の全国大会に参加してきました。今年は、北海道大学さんが会場でした。


全国大会のプログラム等については、公式サイトからご覧ください。
ダイトケンの全国大会も、第46回目。歴代の先輩方が積み重ねてきたものが、感じ取られる大きな数字になっています。私も、この重みを受け止めていきたいと思っています。



★利用者支援分科会「サポートで効果倍増!?ガイダンス・ビフォーアフター」


私的ハイライトはやはり、私たちが担当開催した、この分科会です。
開催主旨は、前回の案内をご覧ください。狙いをひと言で言うならば、ガイダンスをやりっぱなしで効果はあるのか、どういったサポートをすればいいのか、参加者で考えようというものです。

当日は、15名の方々がご参加くださいました。普段なかなかお目にかかれない北海道の方も多く、嬉しい限りでした。


冒頭は、アイスブレイクを行いました。分科会の雰囲気を和らげ、参加者同士が仲良くなれるよう、ちょっとしたゲーム的なものをしました。

その後は、いよいよ討論です。皆さんが主体的に討論できるよう、冒頭で担当者3名から短めの事例報告・話題提供がありました。私も少しだけ、問いを投げかけるお話をしました。


その後、フロア全体の討論を経て、グループ討論を行いました。
そしてシェア発表の後、さらに全体で討論を重ね、この日の分科会の結論めいたものをまとめました。みんなで意見を言い合い、その場で文字にしながらまとめた結論が、下の画像です。


ガイダンスの効果を高めるために一番大切なものは、終了後にカウンターへ気軽に訪ねにきてもらえる環境づくり、といった結論になりました。笑顔だとかメッセージ、そうしたウェットな部分がいかに大切か、フロアの意見が一致しました。

これが唯一の正解とは言えませんが、参加者全員で3時間考え合った末に導き出したものです。それなりに、意味のあるものだと思います。
そしてこの言葉以上に、一人ひとりが積極的に参加し、考えたことが大切なことなのでしょう。参加された皆さんが、この日考えたことをそれぞれの職場で活かすことを願っています。

当分科会にご参加くださった皆さん、本当にありがとうございました!
そして一緒にこの分科会を担当くださった東京支部のNさん、福岡支部のYさん、そして一緒にプランを考えてくださった兵庫支部の皆さん、ありがとうございました!盛会になったのも、皆さんのおかげです!



★その他


今回もとても魅力的な全国大会で、語りたいことはいくらでもありますが、主な雑感を。

  • 今回は地理的な条件もあったのでしょうけれど、参加者がかなり少ない全国大会でした。ですがその分、地元の方々の細やかなおもてなし、参加者同士の交流が進み、素晴らしい大会になったと思います。

  • (運営サイドではなく一会員として参加した)図書館経営分科会も、学ぶことの多い場でした。SWOT分析等いくつかの手法を用い、自分の職場について考えてみることができ、とても良い経験をできました。

  • 北海道という地を活かした自主企画やおもてなしなども、とても良かったです。特に、連日お昼に通った北大マルシェは最高!



  • 研究発表2本も、とても魅力的でした。若手にああいう場が開かれ、いくつかの課題を残しつつも積極的に発表するということが、とても大切だと思いました。
    研究成果そのもの以上に、若手がああした場に挑むこと自体が大切なのかもしれません。

  • やはりこうしたリアルな場での交流は、本当に大切だと再認識しました。今回北海道支部に4人(?)の新規入会があったことからも、その意味が伺えます。こうした場が、これからもダイトケンや図書館界の活性化に役立つといいですね。
    最終日の午後に行われた自主企画「人物図書館 in 北海道」も、そうした取り組みとしてとても楽しく有意義な場でした。開催くださったSさん、Cさん、素晴らしい場をありがとうございました!


・・・ということで、ダイトケン全国大会のレポートを終えたいと思います。
書き切れないことが山ほどありますので、大会関連のツイートのまとめもぜひご覧ください。


ご参加くださった皆さん、おもてなしくださった北海道の皆さん、実行委員の皆さん、運営サイドの皆さん、ありがとうございました!



●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。
このところ、大人のモノマネが大好きなきょーこ。この日は新聞を読みながら、日本の民主主義のあり方について思案していたようです(でも、新聞逆さまやで!)。


きょーこは、毎日のようにお料理や電話、掃除もしています。
れいこも、同じようなことをしていたものです。

きょーこ、お姉ちゃんの分まで、元気に育つんやで!
お姉ちゃんも、お前を見守ってくれとるけんな!