2016-04-25

図書館ガイダンス、私の2つの必殺ワザ!

先日、新名神高速の橋桁が落下するという事故がありましたね。あれは私がちょくちょく通る道で、本当に驚きました。
あり得ないような人の失敗は、自分のリスクでもあります。思い込みや過信がないか振り返ってみなければ・・・と考えさせられました。




★図書館ガイダンス、私の2つの必殺ワザ!


さて、本題です。
大学/学校図書館の皆さんは、連日のガイダンスまっただ中でしょうか。先日も書きましたように、そうした場でライブラリアンが自身の言葉や態度で、利用者さんにメッセージを送ることが、何よりも重要だと私は考えています。

私はそんなときに、絶対に欠かせない2つの必殺ワザがあります。それは、この2つ。

  • 問いかけること
  • 間(ま)を取ること


平凡過ぎて、拍子抜けでしょうか?
ですが、これを意識し始めてから自分のガイダンスは、ずいぶんと変わったように思います。ですのでこの際、「必殺ワザ」と呼んでみました。(笑)

私も毎年数十件のガイダンスを行っていて、自分なりに聞き手を惹き付けられるよう試行錯誤してきました。その中でようやく身に付けつつあるものです。この必殺ワザは、話し手にとって最重要スキルだ、と私は思います。




★問いかけること


ガイダンスのポイントは、聞き手を受け身にしないことだと思います。聞き手は人の話を何となく聞き流しているものですが、それではこちらの話を受け止めてもらえません。
聞き手が自分のこととして聞く、考えながら主体的に聞く、という状態をつくり出すのが話し手の技量だと思います。

ではそのために、私たちは何をするべきでしょうか?

私はその答えの一つが、問いかけることだと思います。
例えば、図書館員が「皆さん、学部生ですよね」と口にしたとしましょう。聞き手にとっては、このセリフは特に注意を払うものではありません。たいていの方は、さらっと聞き流してしまうでしょう。

ですがこれが、「皆さん、学部生ですか?」だとどうでしょう?ずいぶんと、印象が違いますよね。「学部生の方、手を挙げてください」などと言われると、多くの方は手を挙げてくれます。

このように、こんな問いかけ一つでも、聞き手はつい考え反応してしまうものです。
まして、ちょっとでも考えさせられる問いかけをされたらどうでしょう?私はよく新入生ガイダンスの冒頭で、こんな感じの質問を一つします。

「皆さん、大学と高校の一番の違いは何だと思いますか?」
「皆さん、何でわざわざ授業が始まる前に、図書館ガイダンスの時間が設けられているのでしょう?」
「大学の研究って何でしょうね、皆さん?」


問いかけは何でもいいですし、まして答えはどうでもいいのです。
大事なことは、聞かれた方は必ず考えてしまう、という事実です。程度の差こそあれ、誰でも【必ず】考えるものです。それは言い換えれば、コミュニケーションがすでに成立している、ということですよね?

ライブラリアンの皆さん、ぜひ次回のガイダンスの冒頭は、問いかけから入ってください。試す価値、ありますよ!




★間(ま)を取ること


問いかけとセットで使いたい必殺ワザが、間を取ることです。
先の問いかけも、すぐに答えを言ってしまっては、ほとんど意味がありません。

「皆さん、大学と高校の一番の違いは何だと思いますか?それは、大学では高校までと違い、自分で研究する内容を決めることです」

このように、問いかけに続けてスラスラ答えを言ってしまっては、聞き手が考える時間がありません。
聞き手が主体的に会話に加わるためには、話し手が待つのをしんどく思うほど、待ちましょう。要所要所で、5秒ほど黙って考えてもらうといいと思います。

「皆さん、大学と高校の一番の違いは何だと思いますか?」
(5秒沈黙)
「それは、大学では高校までと違い、自分で研究する内容を決めることです」

話し手にとって、5秒も口を開かずにいるのは、最初はかなり難しいことです。私も最初は、かなり意図的に取り組む必要がありました。

ですが、要所で5秒、ちょっとした区切りなら2秒ほど間を取るだけで、全く会場の空気が変わります。問いかけの後の間に、フロアを見渡して聞き手と目を合わせていくこと(スマイル付)が、驚くほど聞き手との関係を変えますよ。
問いかけを活かすためにも、ぜひあえて間を取ってみてください!


以上、誰でもできる私の必殺ワザ2つ、いかがでしょうか?私はこのワザ2つで、本当にガイダンスが変わりましたので、よかったらぜひお試しください!

ガイダンスをよりよいものにしたい皆さんに、この私の取り組みが参考になれば嬉しく思います。
次回はこの実例編を記してみたいと思いますので、ご興味があればぜひこのブログをご覧ください!



●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。
先日、きょーこを連れて六甲山牧場に行って来ました。羊さんをなでなでしたり、お馬さんを見たりして、楽しい時間を過ごしました。


前回ここに来たのは、4年前になります。闘病中のれいこを連れて、家族でやってきました。そのときにれいこが作ってくれたネックレスは、今も妻の宝物です。

きょーこがこれから先も元気で、また何度もここを訪れられますように。
れいこ〜、きょーこを見守ってやっててな〜!

2016-04-17

新入生にメッセージを送ろう!
(図書館オリエンテーションで伝えたい3つのこと)

熊本を中心にした大地震の被害が広がっているようです。
阪神大震災で被災した身として、その緊張感や疲労はよく判るつもりです。被災された皆さんに、お見舞い申し上げます。


多くの図書館でも、被害が出ているのではないかと思います。
ですがライブラリアンの皆さん、まずご自身やご家族の安全確保を最優先になさってください。軽々しくは言えませんが、長い目で図書館ができることを考えていけばいいと思います。



★新入生オリエンテーションの季節


さて、本題です。
大学/学校図書館では、新入生の授業も始まりましたね。早々に授業の中で、オリエンテーション(以下、「オリテン」)に取り組んでいるところも多いのではないでしょうか。
ウチも先日からオリテンが始まっており、連日オリテンの嵐です・・・。

そんな新入生オリテンですが、皆さんの館では、どんな話をされているでしょうか?
例えば、4月初旬の履修指導期間中、新入生全員が揃っている大教室で10分ほど話す機会があったのではないでしょうか。こういう場で、皆さんは新入生に何を伝えたでしょうか?





★新入生にメッセージを送ろう!


こうした場で、多くの図書館員は「開館時間は・・・」、「貸出可能冊数は・・・」、「指定図書という制度が・・・」などと延々説明しているのではないでしょうか?

率直に言えば、こうした利用ルールなどは、私は話さなくてもいいと思います。数日に渡って朝から晩までオリテンを受け、疲労困憊の新入生が、こうした細かい話を覚えておけるとは思えません。

こうした細かいテクニカルな話は、後で必要なときに改めて届けるなり、パンフレットを読むなりすればいいと思います。カウンターに1年生が本を借りに来たら、「10冊まで、それぞれ2週間借りられますよ」と言えば済むことかと。

私は、新入生にはもっと重要なこと、大学の学びの核心に近い部分を、ライブラリアンが自分の言葉と態度で、新入生に伝えるべきだと私は考えます。具体的には、以下の3点です。

  1. 高校と大学では、学び/研究が全く異なるものであること
    大学では一人ひとり学ぶ内容が異なり、特に卒業研究では自分自身だけのテーマに向き合うことを伝えます。またそれゆえに、各自での情報収集・評価・活用が必須となることを話します。

    口頭で伝える情報で一番大事なのは、間違いなくここだと考えます。この点さえ理解してもらえれば、図書館ユーザーとしてはもちろん、大学生としてのモチベーションが高まるはずです。

    ここでのポイントは、「大学図書館を使いましょう!」ではなく、「大学とはこういうところだ!」という説明にすることです。
    聞き手が「じゃあ、どうすればいいんだ?」と身を乗り出してから初めて、情報収集のために大学図書館がとても役立つことを伝えればいいと思います。

  2. レポートなどで困ったらライブラリアンを頼ること
    大学での学び/研究のために大学図書館が使えることが新入生が判ったら、次に伝えるのは、ライブラリアンのことです。
    大学図書館にはライブラリアンという専門職のスタッフがいること、レファレンス・カウンターという専門の場所で、調査・相談に応じていることを伝えます。
    困ったときにはここへ足を運べばいいこと、レファレンス・カウンターがどこにあるのかを、明確に伝えます。

  3. ライブラリアンに親しみやすさと信頼感を持ってもらうこと
    3点目は、言葉で伝えるものではありません。オリテンの短い時間の間に、私たちの話しぶりや態度で、どれだけメッセージ性を持たせられるかが勝負です。
    結果的に、入学後に各種オリテンを聞いた新入生に、「いろいろ聞いたけど、図書館の人の話が印象的やったな」、「図書館にまず一度くらい寄っておくか」と思ってもらえるかどうか、でしょう。

    特につまらない説明(失礼!)が一日続く中、1.の話を正面からできるライブラリアンの存在感は、新入生さんたちに強い印象と信頼感を与えるはずです(例の「印象づけ」の話ですね)。





★台本があっても


多くの図書館では、ガイダンスの台本があり、その通りに話すように決まっているのかもしれませんね。
私も台本があるオリテンでは、原則としてはそれからは逸脱しないようにしています。ですが、自分の言葉/態度で伝えることが大切だと考えていますので、ある程度自分でアレンジしています。

対象となる学部、その日の受講者数、履修指導期間中であればそれまでのオリテンや新入生さんたちの疲れ具合、教室の空気。
いろいろな要素がある中で、どうやったら新入生さんたちに一番メッセージが伝わるか、考えて話し方を変えるようにしています。

皆さんのオリテンは、いかがでしょうか?
私の考え方はこのようなものですが、各大学ごとに最適なスタイルがあるはずです。単に去年の台本を踏襲するのではなく、どういったメッセージを新入生に送るべきか、ご自身で考えて取り組んでみられてはいかがでしょうか。

肝心なことは、私たちライブラリアンが主体的に学生さんたちに向き合うことです。私たちライブラリアンが言葉と態度で、新入生さんたちにメッセージを送り、彼らの4年間が充実になるよう頑張ってサポートしていきましょう!



●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。

れいこが星になって、もう4年近くになります。そろそろ、れいことお別れをした6月も近づいてきました。
6月には、恒例になった「れいこパーティー!」を開催したいと思っています。


私たちにとって辛い思い出の時期ではありますが、凹んでいてはれいこが悲しむことでしょう。気落ちせず、明るく賑やかに「れいこパーティー!」を開いてやろうと思います。

近いうちにこのブログで、日程などをお知らせします。れいこを応援くださっていた皆さん、ぜひ遊びにいらしてください。きょーこにも、ぜひ会ってやってくださいね〜!

2016-04-03

【参加者募集!】「こどももおとなも集まれ! 学校図書館のすごさを知ろう! 〜困ったときには図書館へ2〜」
(私もコーディネーター登壇)

(2016.4.14追記)
開催2週間前にして、満員御礼となってしまいました。予定より人数を増やしましたが、限界です。ご参加の皆さん、かなり手狭になりますが、ご容赦ください。
なお、懇親会だけでも参加したいという方がいらしたら歓迎ですので、下記のメールアドレスまでお申し込みください。


いよいよ、新年度になりましたね。
この時期の通勤に、宝塚歌劇場前にある「花の道」を通り抜けるのが、毎日の楽しみです。毎日少しずつ桜が開き、大勢を楽しませています。


この写真は、日没前に撮ったもの。満開前の桜が、街灯の光の中に浮かび上がるようでした(私の撮影が下手で、その美しさを伝えられないのが残念・・・)。



★「困ったときには図書館へ2」イベント(私も登壇)


さて、本題です。
4月30日(土)にエル・ライブラリーにて、以下のとおりイベントが開催されます。

学校図書館を中心とした話ではありますが、館種を問わず図書館サービスを考えるためにヒントになる話です。どなたでも歓迎ですので、ぜひご参加ください!


★こどももおとなも集まれ! 学校図書館のすごさを知ろう!
 〜困ったときには図書館へ2〜


【開催主旨】
学校図書館とはそもそも何のためにあるのか? 今どうなっているのか? これからの学校教育の中でどんな役割を果たしていくのか?
学校図書館の未来について、今学校に通っているこどもたちとおとなたちとで一緒に考えませんか?

司書教諭、学校司書による様々な取組みを通じて、学校図書館の役割と今後を論じる『困ったときには図書館へ2: 学校図書館の挑戦と可能性』の著者たちが、エルライブラリーに大集合!

豊富な画像・動画を駆使して最新情報をお届けしながら、専門図書館や資料館と学校図書館との連携の可能性をさぐります。

『困ったときには図書館へ2 学校図書館の挑戦と可能性』のサイン即売会、古本市、そして子供向けの読み聞かせもあります。ぜひご参加ください。

【日時】
2016年4月30日(土)14:00-17:00
【場所】 【参加資格】
図書館に関心のある方なら、どなたでも。図書館員の場合、専任でない方、派遣・委託の方も大歓迎!
【定員】
25名(先着順)
【参加費】
無料(会場を提供くださるエル・ライブラリーへのカンパ歓迎)
【お申し込み】
4月26日(火)までに lib●shaunkyo.jp へメールにて(「●」を「@」に変えてください)。

講師プロフィール等、エル・ライブラリー公式サイトに詳しく掲載されていますので、そちらもぜひご覧ください。
(開催前にオプションで、限定10名エル・ライブラリー見学ツアーもあります)

ちなみにこの日のパネリストお三方は、学校図書館ではよく知られる方々です。図書館サービスを考える上で、館種を問わず、お話から学べるところ大だと思います。



私はコーディネーターとして登壇しますが、著者ではありませんし、この本の刊行とは直接の関わりはありません。
執筆された皆さんが登壇される中、あえて学校図書館でない視点のコーディネーターを・・・ということで、ご指名頂いたようです。

学校図書館の方からすれば、非常に頼りないコーディネータかと思いますが、現場を知らないこその視点でいきたいと思います。パネリストの皆さんの情熱や見識をもとに、よりよい議論を引き出せればと考えています。

皆さん、ぜひ気軽にご参加ください。学校図書館でない方も、お待ちしています!


<●最後に私的なお願い>

これは、今回のコーディネーターとしてではなく、一人のライブラリアンとしての私的なお願いです。

多くの方はご存じかと思いますが、今回の会場であるエル・ライブラリーは、「日本一貧乏な図書館」とも言われています。公的資金が全廃された中、ここにしかないレアもの資料を後世に伝えるため、同館は気合と努力と根性だけで必死の運営をしています。

そこで、今回エル・ライブラリーにお越しになる皆さんに、お願いです。
支障のない範囲で結構ですので、来られた際にエル・ライブラリーへの支援をお願いします。気持ち程度のカンパでも構いませんし、古本や書き損じハガキ、バザー用品をお持ちくださるのでも結構です。

詳しくは、同館サイト「ご寄付のお願い」をご覧ください。
同館のサポート会員になって頂けると、なおありがたいです)

ささやかであっても支援の積み重ねが、エル・ライブラリーを助けることになります。
ここだけにしかない貴重な資料を後世に伝えるため、そして懸命に尽力するライブラリアンの心意気を応援するため、ぜひご協力ください。




●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。

先日、きょーこを朝起こすと38度の熱が。割に元気でしたが、保育園に預かってもらうことはできません。
しかし年度末でもあり、私たち夫婦ともどうしても休めない状況でした。

慌てて宝塚市の病児保育に電話すると、あいにく満員でキャンセル待ち。病児保育に預けられないときに助けてもらっている知人方も、朝連絡が付く範囲では全滅・・・!かなり焦りました。

・・・が、病院にいる間に熱がみるみる下がり始め、昼前には36度台に。結局病院の許可を得て、昼からいつもの保育園に登園できました。

きょーこも熱の割に元気でしたし、半日休んだだけで済んだので結果オーライでしたが、冷や汗をかきました。


(自称「おさるさんやで〜」)


実家の遠い私たちにとって、子どもの体調不良は、真剣に悩みのタネです。
れいこのときにはなかった病児保育も今はできましたが、それも定員わずか数名。こうして満員のことも、ままあります。

共働き世帯の皆さん、子どもの病気のとき、ホントに大変ですよね?

一億総活躍社会だとか言って保育園の話が取りざたされていますが、通常の保育園だけの話でもないですよね。
病児やハンディを持った子どもや家庭を、社会みんなでサポートしていけるようになったらいいな、と思います。

ともあれきょーこ、元気になってくれてよかった!