2016-01-30

大学図書館員の専門性って何やろね・・・?
(高等教育研究会の大学職員フォーラムに参加して)

私学の皆さんは、そろそろ大学入試業務の頃でしょうか。私も、近々数日の入試業務が予定されています。
普段以上に、絶対にミスがあってはいけない仕事です。体調管理をしっかりとして、ベストコンディションで臨むのも、またプロの責務ですね。




★高等教育研究会の大学職員フォーラムに参加して


さて、本題です。
先日、高等教育研究会の表記のフォーラムに参加してきました(開催主旨等)。

この記事のタイトルには「大学図書館員」と書きましたが、本来のフォーラムの主旨は、大学事務職員全般の専門性を考えるものです。
「大学図書館員の専門性って何やろね・・・?」というのはフォーラムの主旨ではなく、フォーラム後に私が考えていることですので、お含みおきを。

ここ1〜2年くらい、こうした図書館員対象以外のフォーラムに参加していますが、学ぶところ大です。図書館の専門性を考えるからこそ、その中だけに閉じこもっていてはいけないと思います。

それに、違うフィールドで努力している意欲ある方々にお会いし、いつもと違う刺激や向上心をもらうことも大切ですよね!




★主なトピック


以下、登壇者別に印象的だった点をまとめてみます。

  • 基調講演「『専門的職員』、『高度専門職』を巡る検討の経緯と課題」(公立大学法人横浜市立大学教育推進課・菊池 芳明氏)
    • 中教審や教育再生実行委員会等での議論を引きながら、ここまでの「専門的職員」論を要約。大学職員が日本的な「メンバーシップ型」の雇用をされていること、それが基本的に専門性と相反する制度であることを指摘。
    • 高度な専門家の設置を含め、経営者と人事部門がプロでないと、大学の人事制度設計や円滑な運用が難しいのではないか、という指摘は核心。
    • メンバーシップの高度化と、URA(University Research Administrator)のようなジョブ型の専門職の設置を一緒に議論してしまったことが誤りではないか、という指摘にも首肯。

  • 話題提供1(京都大学学術研究支援室・天野 絵里子氏)
    • 大学図書館員からURAへ転身した講師から、URAの業務やその実情について説明。
    • ご自身の経験に照らし、基盤的知識・経験的知識・感情的知識・戦略的知識の4要素から、自分を見つめ直すことの必要性を語られていたことには説得力。
    • 大学の人事制度については、一貫・明示された人的資源管理の必要性を指摘。

  • 話題提供2(龍谷大学文学部教務課・小野 勝士氏)
    • 元々法学を学んでいたことをベースに、現在文学部に在籍しながらもなお、教員免許事務の専門家として活躍されている現状について、説明。法学という自身の強みをもとに現職務を超えて貢献するスタイルは、専門性を持った職員像のある種のモデルケースか。
    • 本来、大学にはどういった専門職が必要なのかという議論が欠けているという指摘は、この日出た最も重要なポイントの一つ。
    • 圧倒的なパフォーマンスで通常業務をこなすことによりこうしたスタイルを周りに認めさせる、という講師の姿勢は、大切なヒントになり得る話。

併せて勉強になったのは、コーディネーターの重要性です。
ともすれば単なる司会進行になりがちですが、この日の中元崇氏(京都大学医学研究科教務・学生支援室)は明らかに違いました。冒頭の論点整理、議論に応じた適切な人材(フロアを含めて)への振り、質疑応答への対処。

コーティネーターはこうでないと、と思える仕事ぶりでした。今までの自分の乏しいコーディネーター経験を振り返り、多分に見劣りと反省を胸にしました。




★雑感


このフォーラム後に、取り留めもなく考えたことを。

  • やはり重要なのは、大学の中で職員をどう位置づけるかという議論か。職員の専門化・高度化といったものが、単なるスローガンになっていないか。職員はどういった仕事をするのか、どういった専門職を置くのか(あるいは置かないのか)、議論し共有することが不可欠。

  • それと併せて重要なのは、職員の評価・処遇。優秀な結果を出したり高度な能力を持つ職員をどういったポストに付け、どう評価するのか。評価をどのように、給与や処遇に反映させるのか。また、それと連動し、どういった人事異動をさせるのか。

  • さらにこの話を、私学の大学図書館員に限定して考えることも重要か(国立大学では、大学図書館員は基本的にそうした身分として採用されているため、ここでは除外)。
    • 容易にイメージできるのは、国立大学的モデル。どういった人材が必要か大学全体で議論した上で、図書館員枠を設ける。募集・育成・評価も独自で、ずっと図書館配属。
    • 他方、私は図書館固定で働くことには反対。大学図書館員は大学の構成員である以上、外の世界を知らない訳にはいかない(私の場合も、知財本部での勤務経験が、明らかにその後の人生を変えた)。
      例えば上記のような国立大学モデルを原則としつつ、キャリア(特に前半)の一定割合を他部署で働く、といった形が理想か。
    • 期待できる若手には、JUSTICEのような外部の機関に出向させたり、私学同士で人事交流をさせたりする。例えば、関関同立の間で、2年スパンくらいで若手を派遣し合うとか。
      外に出すなら、図書館だけに限定せず、日本私立大学連盟や私学共済などへの出向も、間違いなく有意義のはず。

・・・とは言うものの。
様々な制度設計は大切ですが、図書館員(あるいは大学職員)が専門職だと認知させるには、一にも二にも日々の仕事ではないかと思います。

日々のサービスでもって、教員や学生からリスペクトを得たり、専門職としての評価を勝ち取ったりするべきなのでしょうね。
自分たちがどうこう言わなくても、周りが専門職だと認めるような図書館サービスを、プロとしてやっていきましょう!


(余談)
図書館を離れての学びの場としては、私は2月13日の「京都ギャップイヤー事業から考えるアクティブラーニングの可能性」や、3月12日の大学教育改革フォーラム in 東海に参加します。
ライブラリアンの皆さん、ぜひこうした場へ出ていきましょう!


(2016.1.31追記)
とても重要なことを書き忘れていました・・・。
当日の様子は、「Clear Consideration(大学職員の教育分析)」で詳細にレポートされています。このブログなどは比べ物にならない詳細な報告と、考察がなされています。大学職員にとって必須のブログですので、ぜひそちらも。high190さん、ありがとうございます!




●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。

最近ますます自我の強くなってきたきょーこ、お風呂上がりのバスタオルは絶対に外しません。アンパンマンのマネでマントにして、「きょーちゃんマン!」と言って走り回ること、しばしば。(笑)


そんな最中、先日はきょーちゃんマンではなく、謎の小人さんがわが家に出没しました。家中を、勝手にチョロチョロ。どうにもユーモラスな感じで、笑いが止まりません。

こうして笑いを絶やさず、きょーこが元気に育ってくれたらいいな〜!

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