2009-11-21

行ってきました! 図書館総合展+ARGカフェ&ARGフェスト (その3)

  
今日、仕事を終えて帰宅すると、食卓の上にご馳走が。


息子の手料理のようですね。(笑)
右上のオムライスは、正体を明かされるまで、何なのか判りませんでしたけど・・・左上の蟹の甲羅だけが、妙にリアルで感心。

そして、娘からも、勤労感謝の日のお祝い(?)がありました。


コップの中にある二人の絵が、私と妻だそうで。
ちょっとイケてる感じの夫婦です。アラフォーとは、思えない。(笑)

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さあ、もう完全にタイミングを逸しているので、駆け足で。もう、印象に残った点だけ。
図書館総合展レポート、その3です。

2日目:11日(水)2コマ目

「”グーグル文化と日本”研究者、図書館の立場からグーグル・ブック構想を評価する」
(コーディネーター: ACADEMIC RESOUCE GUIDE 岡本 真氏)

冒頭で、コーディネーターの岡本氏が、このフォーラムの主旨をお話くださいました。

Googleブック検索については、問題提起をしてもらったと考えたい。それはそれで、評価し得るものだ。これはGoogleの各論ではなく、Googleに象徴されるもの-文化のあり方の問題だ。アンチGoogleではなく、文化的画一化に対する危惧である。

岡本さんは、いつも切り口が鮮明です。えてしてGoogleブック検索に関する議論は、Googleに対する反論(それも感情的なもの)に終始するきらいがありますが、岡本さんは明確に、それもフォーラムの冒頭でこれを否定されました。

そして、次からの議論がまた一からにならないよう、今日のこのフォーラムを、まず一つ上のステップへ上がるための礎にしたいと述べられました(すみません、表現はいい加減です・・・そういった主旨と理解しました)。
<ある意味、この冒頭の数分に、このフォーラムのエッセンスが最も集約されていました。

その上で、以下の2つの講義へとバトンが渡されました。

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講演1:
「”グーグル文化と日本”研究者、図書館の立場からグーグル・ブック構想を評価する」
(講師: 慶應義塾大学 高宮 利行氏)

  • Googleは非常に有用なものだが、"Bona fide"(=善意、誠意を持って、の意)の精神でやって欲しい。

  • 一方で、Bibliographic controlの欠如、品質管理の欠如には、強い危惧を感じる。人の手が写り込んでいるような画像では・・・。これが、情報への信頼性の欠如に通じる。

  • 知の歴史は、国家、言語、文化等と結びついた歴史であり、独占の歴史でもある。一民間企業による知の独占化について、検討を。

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講演2:
「グーグル・ブックス図書館プロジェクトの現場から」
(講師: 早稲田大学 和田 敦彦氏)

  • デジタル図書は、元の本の単なる複製ではない。「文献」・「版」概念の更新である、という理解がまず必要。

  • ハーバード等Googleプロジェクト参加館を訪れて、調査をした。日本語の本の無断スキャンが取りざたされているが、実際公開されているのは、著作権の切れた本ばかり。

  • Googleブック検索は、誰のどういった立場から考えるかによって、非常に異なって見える。

  • リテラシー研究、教育の立場で言えば、新たなリテラシーの養成、関連情報の公開などについて、考えていく必要がある。

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講師お二人のお話ぶりは非常に丁寧で、整理をする点に重視を置かれていたように思います。
このご講演の後、パネルディスカッションが行われました。

コーディネーターの岡本さんは、3つの課題を挙げられました。いずれも、非常に重要な指摘です。
  1. デジタル情報が一元化されることへのリスク
  2. 知のスキーム放棄(=今までの読書スタイルの放棄)の是非
  3. 新しい知を生みだすための仕組みの検討。知の再編成が必要か

これらを踏まえ、講師を含めた意見交換がありました。
  • 知の独占→開放へ:Googleの一元化は、新たな独占?
  • 立場・視点による見え方の違い。立ち位置によって、論点そのものが変わる。
  • 判断のための情報が不可欠で、我々はそれを求めなければ。
  • 情報の安全保障。アクセスを全ての人に、それを保障するものは?

もちろん、この短い時間で結論が得られる話ではありません。
しかし、そこは冒頭でコーディネーターがおっしゃった通りです。このフォーラムが、次の議論のスタート地点となり、一歩議論が前進した、ということでしょう。

ここでもらったヒントをもとに、私たちが発信し、私たちみんなで考えていく必要があるのでしょう。
<フォーラムに出た方は、ブログ・HP・メルマガ・twitter、どんな形ででも発信をしていきましょう!

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2日目:11日(水)3コマ目

「『貸出履歴を利用した新しい利用者支援の展開』リターンズ」
(司会: 筑波大学 逸村 裕氏)

筑波大学の大御所・逸村先生が司会。紹介もそこそこに、本題が始まりました。
<これも、逸村先生らしい。(笑)

「貸出履歴を巡る失われた歳月を超えて-議論と実行、そして決断」
(講師: ARG 岡本 真氏)

  • 我々は、どういう社会を創りたいのか?それがない議論に、意味はない。何のための図書館、何のための図書館員か?まずは、大きなビジョンを持とう!

  • 2006年頃から、貸出履歴を用いた図書館サービスが議論されているが、否定派が多い。議論のための議論をしている間に、システムの開発技術に追い越されつつある。

  • Googleがあれだけ必死になって、図書館の本をスキャンしたがるのは何故か。その価値を認めているからだ。図書館だけが、その価値を知らない。

  • 議論が目的ではなく、図書館が決断し、実行するときだ。リスクはあっても!

相変わらず厳しいお言葉でしたが、正鵠を射た指摘でした。氏は、単なる技術的なサービスとして本件を捉えてはいないのでしょう。

図書館が自身の目的を実現するために、自ら変革すること、行わなければいけないことがあることを教えてくださっているのだと思います。
その意味において、貸出履歴を使ったサービスは、目に見える一表象に過ぎないのでしょう。

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「図書館のレコメンド機能『おすすめリスト』の発想」
(講師: 成田市立図書館 米田 渉氏)

  • 図書館員が持っている暗黙知を、市民とも共有するというコンセプト。

  • 任意で設定できる貸出履歴・検索キーワードなどを元に、独自の重みづけを行い、おすすめリストを自動的に作成する。

  • 重みづけは、貸出総回数・総予約数・図書館評価点(!)、利用者評価、キーワード出現回数などから、点数化。図書館評価は、今後の課題。バランスが非常に難しい。

最初に、コンセプトが明確になっている点が、成功の秘訣だと思いました。このコンセプトをお聞きして、非常に斬新に感じました。正直、「公共図書館の方が、先を行っているのか!」と。これも、岡本さんのいう決断の賜物でしょうか。
未だ実現には至っていませんが、図書館評価が大いに気になるところです。今後の成田市立図書館に、注目です!

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「Web読書履歴サービスの動向から見るProject Shizukuの未来」
(講師: 筑波大学図書館情報メディア研究科 小野 永貴氏)

  • 以前から、貸出履歴を活用した新しいシステムを開発するProject Shizukuを提案してきた。この提案を通じ、貸出履歴を用いたサービスの必要性が高まってきたことを実感。

  • 国内外で、購買履歴の活用など、個人が生み出した情報をサービスに活用することが注目されている。

  • 利用者自身が履歴データを登録したり、既存のOPAC情報に貸出履歴活用機能を統合した表示を可能にする機能を追加することで、問題を解決できる。

  • 実際に貸出履歴を有効活用するには、システム的な対応のみならず、貸出履歴管理規程を制定するなど、図書館全体としての環境づくりが不可欠。Project Shizukuでは、単なるwebサービスの実現に留まらず、将来的な規格や環境づくりにもつなげていきたい。

ものすごいスピードの弾丸トークでした。それは、もう。
去年もこの場でご発表なさっているそうで(図書館員でなかった私はそれをお聞きしていない訳ですが)、さらに一歩進めたプランになっているようでした。

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「貸出履歴をもとにした図書の推薦実験」
(講師: 慶應義塾大学 原田 隆史氏)

  • 世の中、利用履歴を利用したサービスは、溢れかえっている。何故、図書館だけが?

  • 某図書館で実験をしたところ、貸出履歴にもとづいて推薦された図書に対する評価は、基本的に好意的に良好。

  • web検索すると、ゼロヒットにはならないのに、OPACだけがゼロヒットのことがある。利用者は、これをどう思うか?

  • 課題はまだまだあるが、データが揃えば、充実させられる。個人を特定できなくていいので、データ提供を求めたい。

小野さんにまして、弾丸トーク。ものすごい勢いに圧倒されました。(笑)
・・・が、気を取り直して、質疑応答で挙手。原田先生に、データが欲しいとのことだが、複数大学でシェアすることはお考えなのか、また、他館種と共用できるのか、尋ねました。
原田先生は、図書館による違いはあまりないとのご判断で、公共ともぜひ一緒にやりたい、というお返事でした。

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以上です。
駆け足でしたが、とりあえず図書館総合展2日目のレポートとさせて頂きます。

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・・・が!
この日は、総合展の後に、もう一つ大きなイベントが!

図書館サービス計画研究所(トサケン)のオフ会があったのです。実はコレ、私の企画。

トサケンは、日頃の活動はMLが中心です。ぜひこうした機会に、オフ会(=懇親会)をやりたいなあ、と。
関東ではアウェーの私でしたが、春の京都オフ会に続いて、幹事に立候補してしまいました。
<これがきっかけで、トサケン幹事長に就任。(笑)

MLで立候補したのが週末でしたのに、この水曜までに、何名もの方が参加のお申し出をしてくださいまして。結局当日は、12名(!)もの方々がご一緒してくださいました。

トサケンメンバーでもあり、この図書館総合展で事務局をなさっている岡本さんにご相談したところ、地元の地鶏の店をご推薦頂きましたので、迷わず店は決定!
おいしい鶏肉と、何故か静岡のおでんに舌鼓を打ちつつ、とっても盛り上がったオフ会になりました!

二次会では、岡本さんグループと連絡を取って合流したのですが、これがまた豪華なメンバーでした。
常々、ネットでご活躍ぶりを拝見していた山中湖のMさん(匿名になってない)、宮城のKさん、翌日ライトニングトークご登壇のOさん、Lifo関西のエースIさん&Sさん・・・すごいメンバーでした、ホントに。

ますます盛り上がり、有志で三次会へ。
立ち飲みの店だったのですが、うまい酒に溺れ、そこでさらに遅くまで。1:30くらいまで飲んで、酔った勢いで、ベイスターズ日本一の遺跡へ。


そこで、さすがにお開きに。

・・・と思っていたら。
宿が同じ方向の3人で歩いていたら、「もう少し飲めるよね~」になってしまって。
結局、私の部屋で4次会。3:30まで飲んだところで、私が気絶して、とうとう終了になりました。
<私の他は、岡山からいつでもどこでも駆け付けて来る元・図書館員Wさん、図情大後輩のY市Hさん。

さすがに、次の日は眠かったですね~。
でも、でも、でも。本当に楽しいひとときでした!
同じ本の世界にいる仲間が、日本中から集まって、あれこれ語り合うひととき。昨日まで知らない関係だった図書館員同士が、出会えたこと。

私自身はもちろん、皆さんにそうした場を提供できたことを、本当に嬉しく思います。幹事をやって、本当に良かった~!

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<今日の小ネタ>

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<どうでもいい独り言>

昨日書きましたとおり、twitterを始めたのですが。
<IDは、karatelibrarian。
<karatekalibrarianじゃないですよ、念のため。

う~ん、誰が誰だか、判らない・・・。
自分をフォローしてくれている人、一体どなた?(笑)
全然判らないまま、1日が過ぎましたが、ずっとこんな感じなのでしょうか・・・??

ま、いいか・・・。
知り合いの皆さんは、フォローくださったら、コッソリ教えてくださいよ?(笑)
 

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