2014-10-02

考えたい、震災対策。広げたい、saveMLAKメソッド

9月14日(日)〜15日(月)にかけて、横浜で震災訓練プログラム saveMLAKメソッド ファシリテーター育成講座を受講してきました。受講も終え、晴れてファシリテーターとなりました。
この受講を通じて震災対策の重要性を知り、いろいろと考えることができました。




★saveMLAKって? 震災訓練プログラムsaveMLAKメソッドって?


saveMLAKについては、ご存じの方も多いでしょう。公式サイトには、以下のように記載されています。

saveMLAKは博物館・美術館 (M) 、図書館 (L) 、文書館 (A) 、公民館 (K) (M+L+A+K=MLAK) の被災・救援情報サイトです。被災地域の各施設の被災情報を集め、必要とされている情報を発信しています。


そしてsaveMLAKメソッドとは、「鈴木光氏(総務省消防庁防災図上訓練指導員、防災ファシリテーター)の監修のもと、社会教育文化施設での訓練等に使える震災訓練プログラム」です。
震災訓練プログラムを実施・運営できるファシリテーターが各地で必要とされており、今回はそうした人材を育成するための研修として開催されました。

詳しくは割愛しますが、実はこの企画そのものにもタッチしていました。運営サイドにも身を置きつつ、今回は一受講者としても参加してきた次第です。




★大震災シミュレーション


この研修では、震災が発生したシチュエーションを具体的に想定し、いきなりロールプレイに参加します。
想定では私は横浜市内の小さな公共図書館の非常勤職員で、勤務中に震度6クラスの地震に襲われる、というものです。

ロールプレイでは、他の受講生が館長であったり、専任職員であったりします。本番さながらに、そうした人たちと声を掛け合いながら、次々と起こるトラブルに対応しなければいけません。
例えば館長の骨折、利用者の避難誘導や離散した家族への対応、取り残された人の救援や行政本部への報告要請などが次々に起こります。それらに対し、ロールプレイでその瞬間瞬間で対応していくのです。

こうしたシミュレーションをしてみると、自分たちがこうした危機に対して、いかに準備不足かよく理解できます。それはもう、自分たちで驚くほどに。(笑)

準備不足というのは、消化器、担架、ハンドマイクなどといった物品の面だけではありません。何よりもまず、私たちがリアルに震災を想像できていないことが、一番の準備不足と言えるでしょう。




★シナリオ作成を通じて


震災訓練の重要性を把握したところで、自分がトレーニングを施す側になったつもりで、震災訓練プログラムのシナリオを作成していきました。先に体験したシミュレーションを、自分の職場用に一から作り直してみるのです。

作成に先立って、総務省消防庁の防災コーディネーター・鈴木さんたちから説明・指導があり、その意義についてしっかりと理解した上で臨むことができました。

私も自分の職場で大震災が起きた場合を想定し、シナリオを書いていきました。
大震災が起きたら何が必要か。職場でどんなトラブルが起き得るか。自分は最初に何をするべきか。一番起きて欲しくない季節や時間帯では、どのように対応するのか。自分自身、こうしたことをリアルに想像していないことが、よく判ります。

皆さんは、震災をどれだけリアルに想像し、対策をとれているでしょうか?
例えば、ハザードマップです。勤務先がある県や市のハザードマップを調べてみたことはありますか?私も調べてみましたが、職場が意外に強い地震が起き得るエリアであることが判り、驚きました。

夜間などの体制は、どうでしょうか?私の図書館では、夜間や日曜は業務委託スタッフが2名いるだけです。その2名しかいないときに、どのようにこの危機に対応するか、ほとんど考えられていませんでした。

シナリオ作成を通じ、より深く震災訓練の重要性を理解し、危機管理を考えることができました。


★震災訓練の重要性


震災訓練の重要性は、言うまでもありません。
上でも書きましたが、ほとんどの人や職場では、リアルな想像をしていないと思います。私はこのシミュレーションに参加し、そして自分の職場が被災するシナリオを作成することで、ようやくそのことに気付くことができました。

おそらく、ほとんどの図書館ではそうした危機意識、そして対策が不十分だと思います。今回こうしてsaveMLAKメソッドを学び、認定ファシリテーターとなったことですし、ここで得たスキルや気付きを大勢のライブラリアンと共有できたらと思います。



今回、育成講座を開催するにあたって運営サイドで強く意識したことの一つが、全国各地のいろいろな人たちに参加してもらおう、ということです。
実際、北海道から沖縄までにわたり、大学・学校・公共・専門図書館から参加頂くことができました。それぞれが自分の地域・館種の中で、ファシリテーターとして震災対策を進められれば、と思います。

私自身もかつて阪神大震災を被災した経験も活かし、少しずつでも震災対策に取り組んでいきたいと思っています。

防災コーディネーターの鈴木さんはじめ皆さま、ありがとうございました!



●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。
今回、こんな話を書きましたが、実は震災の話はいささか苦手でもあります。



東日本大震災が起きたのは、2011年3月。この震災から少し後にれいこの脳腫瘍が発症し、闘病生活に入ることになりました。

私にとっての東日本大震災は、れいこの闘病と重なる記憶で辛いものです。しかも、れいこのことにかかりきりで、震災直後に何もできなかったという後ろめたさもあります。
震災直後に賛同し、一緒に始めた「だれでも・どこでも Q&A図書館 ~史上最大のレファレンスサービス~」も何もできないまま、抜けてしまった後悔もあります。

震災だけではないのですが、いろいろなことがれいこと結びついています。
自分でも整理しきれない、複雑な気持ちです。

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