少し遅くなりましたが、今日はそのレポートです。
図書館総合展の魅力については、先日の案内や図書館総合展の参加心得3ヶ条、過去の参加レポート(2014年/2013年/2012年)などで述べてきたとおりです。
★出会い語り合う場
一義的に言えば、図書館総合展は多くの図書館員や関係者が集まり、新しい知識を習得したり情報を交換する場所なのでしょう。
ですが私は、それ以上に人と人が出会う場所、交流を深め未来を語り合う場としての意義を強調したいと思います。
パシフィコ横浜での図書館総合展には、今年は35,000人近くの入場者があったそうです(今年も過去最高を更新)。
もちろん、これほどの規模のイベントは、図書館界には存在しません。これだけ多くの人が集い語り合う意義については、説明する間でもないでしょう。
先日の案内にも書きました多くの自主企画を含め、ここにはとても多くの出会いがあります。
私も今年、70人以上の方々と新たな出会いがありました。きっと中には、後で振り返ることになる重要な出会いも含まれているでしょう。
私は今年9つのフォーラムに出ましたが、一番の収穫は知識ではなく仲間です。
仲間たちと語り合った時間こそが、私たちを高め合い、これからの図書館界をつくる原動力になると信じています。
★充実のフォーラム
図書館総合展と言えば、豊富なフォーラムがその魅力の一つです。私は9つのフォーラムに参加しましたので、ひと言ずつ。
- アクティブ・ラーニング最前線(主催・図書館総合展運営委員会)
「これから、アクティブ・ラーニングの実効性を問われるはず。その中で、現代の大学図書館の意義は?」という逸村先生による投げかけ。学生の声も含めて、アクティブ・ラーニングをどう評価するか、図書館として大学として考える必要あり。
- こんなに使える!社史の魅力~社員教育、営業、就職活動、レファレンスツールまで、社史の活用・魅力を事例紹介をまじえてご紹介~
(主催・図書館総合展運営委員会)
日本の社史の多様性や、統計などを含めた充実ぶりを学んだ。レファレンス等に活用していきたい。勤務先の学院史も読んでみようかな、という気にさせられた。
- 大学の国際化と図書館の国際化 その取組と課題(主催・シュプリンガー・ジャパン株式会社)
図書館の国際化を議論する前に、まずは大学の国際化をどうするのか議論するのが先、という気が。今のサービスや書類を英語に置き換えることが、国際化ではないはず。
アクティブラーニングとか国際化だとか、大きな方向性は間違えていないが、こうもみんなが一斉にそればっかり志向してることに、ある種の危惧。
- オープンサイエンス時代の研究情報データベース(主催・トムソン・ロイター)
アカデミックな池内さんと、現場で鍛えた梅澤さんの講師コンビが、それぞれとても良かった。池内さんの研究データの話は、知らなかったことばかり。うめちゃん先生の「図書館利用教育から、情報活用教育へ」は、全国の図書館員に聞かせたい。
- “ILL”の需要と供給(主催・図書館総合展運営委員会)
ILLに関する様々な話。現状把握には役立ったが、豪華パネリスト5人に対して90分のフォーラムでは時間が足りなかった。それぞれの話をもっと聞きたかったし、逆に議論の時間ももっと必要だった。
私的には、サンメディアの松下茂社長に基調講演を頂くフォーラムを開催すると面白いのでは、とも。
- 大学図書館の現実的な未来像(主催・丸善株式会社 株式会社雄松堂書店)
東京大学さんの新図書館計画の話を中心に、あれこれ。30以上ある部局のライブラリアンが若手を中心に集まり、検討を進めたのは、国立大学の一つのモデルケースか。
他方、制度的にそれを担保していないことへのリスクも。将来に渡って、この連携を続けられるか。
- 図書館員のためのファシリテーション実践講座(主催・図書館パートナーズ)
ご存じトサケン主宰・仁上さんと、図書館パートナーズによる講座。フロアでワークショップ的なものをするなど、参加者にとってはハードルが低く、元気の出るフォーラムに(今年はトサケン・フォーラムがなくて残念)。
- 障害者差別解消法と図書館(主催・図書館総合展運営委員会)
兵庫県三田市での事例を中心に、ハンディを持ったユーザーに対し、電子書籍が提供し得る様々な可能性について議論。図書館と出版社が協力し、電子書籍のコンテンツを提供することが不可欠、という結論。
地元・兵庫での事例を聞き、地元との連携の可能性が広がったことは、大きな収穫。
- Library of the Year 2015(主催・図書館総合展運営委員会)
ご存じのとおり、今年のLoYは多治見市図書館が受賞!この受賞はつながりが生んだもの、と断言。詳細は、後日別記事に。
この件、来月に大学図書館職員短期研修で講師をするときの格好の材料に。
図書館総合展に関する3,000件以上のツイートのまとめも作成されていますので、そちらもぜひ。情報だけでなく、期間中の熱気のようなものも、感じられると思います。
★苦言
素晴らしいフォーラムが多い図書館総合展だからこそ、ここで一つ苦言を。
フォーラムに参加された皆さん、質疑応答タイムでの挙手が少な過ぎるのではないでしょうか?
図書館総合展は、一方的に知識や情報を受け取るだけではなく、意見を伝え合い討論し合う場だと思います。その観点からすれば、フォーラムは質疑応答にこそ意義がある、とも言えます。
今年も全体的に質問が少なく、数百人の聴衆がいる会場で質問は私一人、などということがありました。参加者の皆さんには話を聞くだけではなく、ぜひ主体的に参加頂きたいと思います。
もう一つ言えば運営サイドの皆さん、短くても構いません、必ず質疑応答の時間を取ってください。
パネリストの長話で時間がなくなる・・・ということもよくあると思いますが、そこはコーディネーターや司会役との打ち合わせをしておくことで、何とかすべきところかと。
率直に言えば、商品やサービスのPRタイムの後で「質疑応答の時間がなくなりました」というのは、非常に辛いです。資料の配布である程度代替できる内容であれば、そこを削ってでも質疑応答の時間を確保頂きたいです。
スポンサーにこれを求めるのも酷だと思いますが、そこは図書館総合展という学びの場であるからこそ、そうした心意気で臨んで頂きたいと思います。
他方、参加されるライブラリアンの皆さんは、そうした運営サイドの心意気に、十分に思いをめぐらせるべきでしょう。
参加する側も運営する側も一緒になって、未来を語り合う図書館総合展をつくっていけたらいいですね!
★自主企画
ここでもう一度、楽しい話に戻りましょう。(笑)
横浜に滞在した間、毎日自主企画(飲み会)に全力参加しました。全力すぎて、最終日は新幹線を降りた後の終電を逃したほど。(笑)
毎年100人近くが集まる、図書館総合展運営協力委員主催の大交流会は、今年も大盛況でした。
ここ数年恒例ですが、ほぼほぼ準備はしぶたん(参考情報・2013)が、受付等は有志チームが担ってくれました。素晴らしい運営を、ありがとうございました!
2日目には、LDG(Library Drinking Girls)なる会の発足記念パーティーが開催されました。発起人となったのは、ご存じエル・ライブラリーのたにあん館長と、swimlibrarianです。
そして、パーティー中にサプライズで、参加者一同からエル・ライブラリーへのカンパがありました。写真はエル・ライブラリー広報大臣の私から、たにあん館長へ目録の贈呈をしているところです。
(2015.11.29追記)この件、エル・ライブラリーのブログにアップされました!谷合館長の喜びの声を、ぜひ!
また、最終日夜の「図書館総合展おまけ会」も、素晴らしい場でした。
こちらは図書館員だけでなく、本や図書館に関わる仲間が集まり、交流を深める場です。版元、取次、メーカー、システムベンダー・・・多くの仲間が集まりました。
企画くださったS沼さん、幹事の皆さん(特に来られないのにお店の段取り等をしてくださったK曽川さん)、ありがとうございました。
ちなみにこの会は、2年前に(S沼さんに幹事をムチャ振りされて)開催した版元×図書館員交流会がベースになっています。
楽しい連夜の自主企画のため、4日間とも2時より早くは寝られませんでした(苦笑)。これで日中起きていられるのは、やはり図書館総合展が魅力的だからですね〜!(笑)
★感謝
最後に、感謝を。
図書館総合展でご一緒くださったすべての皆さん、ありがとうございました。
特に、これだけの場を設けてくださった運営委員会、事務局、そして出展者・スポンサー・協賛・後援の皆さん、ありがとうございました。皆さんのご尽力なしには、図書館総合展は成り立ちません。本当に感謝しています。
ライブラリアンの皆さん、機会がありましたらこうした運営サイドの皆さんに、ぜひ感謝の気持ちを伝えましょう!
出展者の営業さんが職場に来られたときに、「図書館総合展に行ってきたよ!ありがとう!」というだけでも、いいですよね。その言葉が、また来年の図書館総合展につながります。
皆さん、本当にありがとうございました!
来年も横浜でお会いしましょう!来年の日程は、図書館総合展公式サイトにもう出ていますよ〜。
(ずいぶん長文になりましたので、「れいこと」コーナーはお休みします)
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