2013-05-28

自分たちを見つめ直すということ。
ダイトケン京都支部ワンデイセミナー「『図書館活用法』授業評価活動~明治大学図書館におけるリテラシー教育評価の実践」

怒濤の週末3連発図書館イベント。
昨日ご紹介した「まわしよみ新聞ワークショップ」に続く第2弾は、ダイトケン京都ワンデイセミナーでした。


全く関係ないですが、なみはやドームの某大会で準優勝した、れいこ。

この日は、明治大学和泉図書館の矢野恵子さんを講師にお迎えし、「『図書館活用法』授業評価活動~明治大学図書館におけるリテラシー教育評価の実践」と題して、講演を頂きました。


○今日一番、伝えたいこと

  • 自分たちの活動を客観的に見直し、評価することは、本当に大事。
  • 一方で、先駆的な事例をそのまま自館に適応することがベストとは限らない。最適な形にカスタマイズして、やれることを探っていくのが、いいのだろう。
  • 一生懸命な人と話し、感化されることで、自分のレベルアップに繋げていきたい。


○明治大学の「図書館活用法」とその評価

この日の矢野さんのお話を一言にまとめれば、こんな感じ。

明治大学では、図書館が中心になって「図書館活用法」という授業を行っている(半期・2単位、全キャンパスで全学年が受講可能)。
これらをどのように目標を設定し、評価し、改善してきたかという取り組みを紹介。

お話自体は、とてもシンプルで、議論の方向性が見えやすいですね。
ですがさすがは明治大学さん、非常にしっかりした議論を丁寧に重ねられている様子が見てとれました。

この日の様子は、きっとダイトケンの会誌「大学の図書館」にレポートも載せられると思います。
そのため私は、最も印象的だった点、つまり評価活動を選択する行為そのものに絞って、感想を書くことにします。

お話に先だって、明治大学図書館のことを知りたい方は、まず同館の公式サイトをご覧ください。
1年ほど前にオープンしました、講師がお勤めの和泉図書館のプロモーションビデオなどもありますよ。


○評価活動を行うということ

明治大学さんの直接のきっかけは、「図書館活用法」の授業を中心にした活動を特色GPに申請し、不採択となったことです。
その際に、どれくらいの効果が出ているのか明らかではない、という指摘があって議論が始まり、2年後の採択を機に組織的なプログラム評価に取り組まれたそうです。

結論的に言えば、この評価活動に取り組んだことそのものが、一番の成功要因になったと言えるでしょう。

この評価活動により、学習達成目標の明示、それに伴うカリキュラム内容の改善、そして大学全体における図書館の役割の再定義、といったテーマについて、図書館を挙げて取り組まれたようです。


講師のいらっしゃる明治大学和泉図書館

この日のポイントは、ここに尽きると断言できます。
自分たちが、何を目指すのか。ゴールは、どこにあるのか。大学全体の中で、大学の教育の中で、自分たちがなすべきことは何なのか。
この点について本気で議論し、自分たちの強みや弱みを考え直したことが、今のプログラムにつながっていると思えました。

「何を教えるかではなく、学生さんたちが何をできるようになるか」といった考え方などがとても印象的でしたが、これもこうした検討の中で生まれたものなのでしょう。


個別の評価項目や、学生の満足度の把握方法なども非常に練られているのですが、それについては詳しく説明する余裕がありません。
むしろ、いくら素晴らしいものであってもそれらは枝葉であり、幹になる部分はこうした自分たちの立ち位置や目標、ゴールを設定することにあると言えるでしょう。

その点においても、明治大学さんが組織的にこうした取り組みをされたこと自体が非常に素晴らしいことであり、高く評価されてしかるべきだと思います。


○あえて、難癖

感心してばかりでもいけませんので、あえて難癖もつけてみましょう。(笑)
それは、授業そのものやこの評価活動が、図書館中心の議論で終わっているのではないか、という危惧です。

質疑応答の際に伺ってみたところ、図書館の行う活動が大学全体の中でどういう位置づけになっているのか、全学的なコンセンサスとまでは至っていないように思えました。

もちろん正規の授業で、半期に渡って組み込まれていますので、きちんとした位置づけにはなっています。
ただ、大学全体の教育を考えたときに、この授業がどういった役割を果たしているのか、といった点については、まだ明確になっていない様子でもありました。

この評価活動を含め、もう一度大学の教育と図書館の行う授業との関連性を議論し、それを明らかにできれば、さらに素晴らしいものになるのではないかと思えました。


もっとも、これはホントに難癖をつけているだけで。(笑)
ここまでの体系的な評価活動をしている例は、ほとんどないでしょう。この難癖は、明治大学さんがここまでされているからこそ、言えることです。たぶん、99%の大学図書館においては、こうしたことを言えるレベルに達していません。

むしろ、講師を含め、ここまで図書館活動を高めて来たライブラリアンの皆さんの思いと行動力に素直に感心しています。

「枝葉」などと言ってしまいましたが、個々の評価活動も素晴らしく、本当に勉強になりました。個々の内容は、当日のTwitterのまとめを作成しましたので、そちらをご覧ください。


○聞き手はこれを、どう活かすか?

今回のように、お話が面白ければオモシロイほど、考えることがあります。
それは、聞き手がこれをどう活かしていくのか、ということです。

「いい話を聞いたなあ」「いっぱい勉強できたなあ」では、それで終わりです。
せっかくの充実した内容、ほんのちょっとでも、自館にフィードバックしなければいけませんよね。

私のような小さな短大図書館では、聞いた先進的な事例を、そのまま右から左へ流用することはできません。
そのエッセンスをどう咀嚼し、どこへどう落としていくのか・・・いつも考えさせられます。

ご参加の皆さんは、どうですか?
何を持ち帰り、何を職場へフィードバックされますか?

こうして考えることは、聞き手の責務だと思います。
自分が学んだことを現場に還し、ユーザーのために少しでもよい図書館をつくっていきましょう!


○感謝

最後になりましたが、講師の矢野さん、貴重なお話を本当にありがとうございました。

お若いのに似合わず、落ち着いたお話ぶり、整理されたポイントとスライド、身振り手振り、話のスピード。聞き手のことを意識された、素晴らしいご講演でした。
時間いっぱいまで、質疑応答が途絶えなかったのは、そのお話が魅力的だったからですね。もっともっと、いろんなお話をお聞きしたいところでした。

また、ご講演の後に図書館見学をさせて頂いた池坊短期大学のMさん、ありがとうございました。
そして貴重な機会を提供してくださったダイトケン京都支部の皆さん、このご講演についてお知らせくださいました明治大学のSさん、ありがとうございました。

この日のお話で、前々から伺ってみたいと思っていました和泉図書館に、改めてぜひとも伺ってみたいと思うようになりました。
熱心にご紹介くださる方もいらっしゃるようですので(笑)、機会がありましたらぜひお邪魔したいと思います(と一方的に宣言)。


○(おまけ)私のミッションカード登場!

先日つくってみた、私のミッション
名刺以上に自分を語るものでもありますので、早速カードにしてみました。これを、あの恥ずかしい2枚折の空手家図書館員名刺と一緒に、配ろうと思います。


表・裏を並べてみました

せっかくつくったミッションカード、記念すべき1枚目はブログを読んですぐに温かいメールをくださった、京都支部のYさんにお渡ししました。

「正気か・・・?」と思われるのはコワいですが、今後名刺交換の際には配っていこうと思っています。
この日も講師にもお渡ししましたし、お世話になっているその上司さんの分まで託してしまいました。(笑)

まあ、自分のことを覚えてもらい、認知してもらうためにはいいですよね・・・?(汗)


それでは、押忍!

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