2013-06-27

「図書館留学」に思うこと

先日から書いています「連載・図書館員のセルフブランディング」ですが、今日はお休みします。
前から関心を持っていた興味深い事例がありますので、今日はそちらをご紹介しましょう。

例によって関係ない、れいこ。大好きだった、岡田淳さんと。

それにしても、「連載・図書館員のセルフブランディング」は読まれているような、そうでないような・・・。ときどき、レスは頂くのですが、どんなものでしょうね・・・?


○神戸学院大学「図書館留学」に思うこと

神戸学院さんの活動については、図書館業界ではよく知られるところです。
最近では、昨年の図書館総合展でのポスターセッション最優秀賞受賞が、記憶に新しいですね。公式サイトカレントアウェアネス・ポータルしぶたんのブログなども併せてご覧になるといいでしょう。


さて、その神戸学院さんに、私がいろいろとご教示頂いているOさんがいらっしゃいます。
今回そのOさんから、私立大学図書館協会の研究助成を受けた神戸学院さんの取り組みについて、報告書「図書館留学;教職協働の学習支援への取り組み~語学力の向上に向けて~」がアップされたと伺いましたので、早速拝読しました。

「図書館留学」の実施内容そのものが魅力的であることは、言うまでもありません。
ですが改めて報告書を拝読しますと、プログラムそのもの以上に、ライブラリアンとして注目したい素晴らしい点が3つあると感じました。以下、それを記していきたいと思います。


○委託職員がリードした企画であるということ

何といっても評価したいことは、この「図書館留学」が「委託職員である図書館司書自らがイニシアチブを取って企画・展開」していることです。
一般的に捉えれば、図書館の委託スタッフは一人一人はとても優秀で熱意があるものの、どうしても前面に出て主体的な取り組みをすることが難しい環境に置かれていると言えるでしょう(これは個々の能力などによるものではなく、構造的な宿命であると言えます)。

しかし、その中にあってこうした取り組みを進めていることは、本当に素晴らしいと思います。
図書館総合展で最優秀賞を受賞したポスターも、スタッフ自らが作成したものとのことですし、その情熱や努力は賞賛に値します。労働条件などだけでなく、モチベーション的にやりづらさがあると言われる委託スタッフに、自信と希望を与える成果とすら言えるかもしれません。
(私が軽々しくこのような書き方をしますこと、ご容赦ください。ですがこの気持ちだけは、お伝えしておきたいのです)

あまり表には出されていませんが、この成功の陰には、こうした熱意ある現場のスタッフと大学本部を繋いだ、Oさんをはじめとする運営部門の専任職員の働きもあったでしょう。委託スタッフの皆さんの努力とともに、Oさんたちのご尽力にも、敬意を表したいと思います。


○教員との連携を密にしていること

このプログラムのポイントの一つは、複数の教員と連携しながら実施していることにあるでしょう。
図書館の単独企画であれば、きっとこのような成果は出ていないと思います。8人もの賛同教員がいて、学生さんたちへもプッシュしてくださるからこそ、図書館の努力が活きてくるのだと思います。
英語力の強化、という教員との共通認識を持った上で、こうしたプログラムに落として実施されたことは、本当に素晴らしいです。

あえて言うのであれば、全学的なコンセンサスが出来ているのかどうか、という点でしょうか。
8人もの教員が賛同しているのですから、おそらく全学的な課題としては認識されているのでしょうけれど、大学としてのミッションだとか教育ポリシー、ないし中長期的計画とリンクさせることができれば、さらに素晴らしいと思います。

(もしかしたら、すでにそうなのかもしれません。私が報告書をうまく読み取れていない、あるいは理解が及んでいないことを危惧するところですが・・・もし誤認があれば、どなたかご教示ください)


○図書館の位置づけを考えていること

報告書には、「教育の場としての図書館の位置付けを明確にしようとするもの」と明記されています。これは、もしかするとこのプログラムの核心なのかもしれません。

近年、アクティブ・ラーニングが重視される大学教育において、必然的に図書館を再定義する動きが(意図的であれ、そうでなかれ)活発になっています。
そのような環境下において、図書館が単なる貸本屋ではなく主体的に教育に関与していくことを示す点において、このプログラムはさらにその価値を高めています。

さらに素晴らしい点は、この「教育の場としての図書館の位置付けを明確にしようとするもの」を「目的」として明記してある点でしょう。

学内に対し、そしてこうした場で学外に対し、自身の活動を伝えるだけでなく、こうした意図を示すことは本当に重要です。この点、神戸学院大学図書館さんの明確な意思を感じますし、私たち多くのライブラリアンが見習うべき点でしょう。


○最後に

この「図書館留学」、本当にいろいろと学ぶところの多いプログラムです。以前にも詳しいお話をお聞かせくださり、そして今回も公開後すぐにお知らせくださったOさんには、深く感謝します。

ここで思うことは、「神戸学院さん、すごいな〜」で終わってはいけない、ということです。
私たちは、こうした努力に敬意を払いながらも、盗める部分は盗んでいく必要があります。こうした取り組みから何かを学び、自館での取り組みにつなげていきたいと考えています。

また、併せて思いますのは、こうした図書館同士、ライブラリアン同士のつながりの重要性です。
前にご一緒したOさんに当日ご挨拶したからこそ、以降もときどき連絡を取っていたからこそ、こうした情報提供を頂くことにつながりました。こうした日々のつながりがお互いの情報提供を生み、私たちの意識向上、そして新たなサービスを生んでいくのだと信じています。

手前味噌ですが、私のミッション+行動指針において、ライブラリアン同士のつながりをつくることを宣言していますのも、こうした気持ちによるものです。

ともあれ、この「図書館留学」からもらったヒントをどう活かしていくか・・・また新しい宿題になりました。今日からまた、頑張っていきたいと思います!


●れいこと

最後にまた、れいこと井上家の話を。

先日は妻の救急車搬送+入院で、お騒がせしました。


こんなに部分破水がピタッと止まるのは珍しい、とまで言われた状況ですが、退院後も良好です。無理をしなければ、普通の生活をしていいとのことで、今のところ元気に過ごしています。

40代にして望んでいた新しい命を授かったのもそう、今回のこともそう。きっとれいこがお空で応援してくれている、と感じています。
れいこ〜、ありがとう〜!!



それでは、押忍!

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