古典籍に関しては、ホントに全くのド素人の私・・・。
私くらい門外漢ですと、古典籍研究会に参加するのはちょっとした挑戦です(汗)。それでも、今回は初歩からお話くださるとのことでしたので、思い切って参加させてもらいました。
○結論っぽく?思ったこと
- 古典籍だからと、身構える必要なし。レアな資料ではあるけれど、むしろ楽しんだらいい。
- 一定の時間を経た資料は、モノとしての観点からもユニークで魅力的。
○雑感?
この日は、「モノとしての西洋古典籍の価値〜西洋史学者の視点から〜」と題して、神戸市外国語大学の指(さし)昭博先生のお話を頂きました。
初心者にも判るように、かつ古典籍の面白さが伝わるように、先生は心がけてお話くださいました。
興味深かった点は、モノとして書物を見た場合、素材や技術の面からいくつかのアプローチがあるということです。
素材として紙の材質や製法の違いに注目すれば、19世紀半ばに木材パルプが実用化された頃を境に、それ以前以後で大きく異なります(それ以前にも、手漉きの紙をはじめいろいろな紙があります)。
もちろん、紙以外にも羊皮紙をはじめ、いろいろな材質が試行されていました。
技術面では、グーテンベルクの活版印刷と、それ以降の印刷技術の変化についてご教示頂きました。
グーテンベルクの印刷技術では、印刷時に大きな圧力が必要であったため、印刷面の大きさなどに限界がありました。
それが、18世紀後半以降は良質な鉄が製造できるようになったことで鋼鉄製の印刷機が出現し、その重さや頑丈さで強い圧力をかけることができるようになりました。
他に蒸気機関を応用したり、梃の原理を活かしたりするなど、急速に印刷の技術が進化したそうです。
お話は多岐に渡り、私ではなかなかまとめられそうにありません。
ですが、コンテンツだけでなく、モノとしての側面から捉えても、西洋古典籍にはいろいろな魅力があることを理解できました。
指先生、古典籍研究会の皆さま、とりわけ事務局の皆さま、貴重な場を頂きありがとうございました!
○番外編
研究会の終了後、懇親会がありました。今回も、メンバーでもないのに、のこのこと参加させて頂きました。
古典籍研究会というといささか場違いではあるのですが、メンバーの皆さんはとても温かく、楽しい時間を過ごすことができました。
懇親会で印象的だったのは、ご一緒した印刷博物館の方からお聞きしたお話です。
印刷博物館は、某印刷業界大手T社が運営しているものですが、そこにはとても共感できる思想がありました。
すなわち、印刷の歴史や貴重な資料は皆で共有すべき人類全体の財産である、という考え方です。
この博物館は、T社がもともと所有していた資料がベースになっているのですが、赤字覚悟で運営しているそうです。こうしたものを知り、役立てて欲しいとの願いが根底にあるそうです。
この思想には、大いに共感しました。
印刷あるいは図書館という世界においては、お互いの損得ではなく、社会的機関としての役割を考えるべきなのでしょう。知の世界において、何ができるかという視点は、これからの図書館界に不可欠なものだと思います。
10年くらい前に訪れた印刷博物館、ますます好きになりました!いつかまた、お邪魔したいと思います。
それでは、押忍!
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