2011-07-16

病気と明るく強く闘う、れいこ
【第17~18日目: 7月14~15日(木~金)】

6月28日に始まったれいこの闘病記、17~18日目です。
<2日分をまとめて、アップします。

(初めての方は、まず初日・6月28日のエントリーをご覧ください)


○都島放射線科クリニックでの事前診断・打ち合わせ

16日に、私が手続きに入ってきた、提携病院(?)の都島放射線科クリニック。今後、ここで高度な放射線治療を行うことは、この時点でほぼ内定しています。

17日(木)は事前診断や打ち合わせのため、妻がれいこを連れて、同クリニックへ出かけました。私は久しぶりに職場に引継に行っており、この日は妻にお任せでした。


そこでは、いささか厳しい話をされたそうです。
以下、妻の文章を丸々コピペしておきます。

“左足のマヒのため、足もとがふらついているので、車いすを使って行きました。

まず、院長先生による問診を受けました。
今までの病気の経過を詳しく聞かれ、娘は席を外されて、今の見たてと今後のことを詳しく聞きました。

非常に難しい症例であるとのこと。
できるだけ早く、高濃度の放射線治療が必要であるとのこと。
放射線治療での副作用から脱毛、吐き気、倦怠感、眠気があること、治療が終わって数カ月は良くなったと思う時期もあるが再発する可能性があること
子どもであるから今後治療が終わっても何年もしてから2次がんの再発もあるとのこと

非常にシビアなことを丁寧に説明され、放射線治療をそれでも受けるか?
受けた以上は後戻りはできないことを告げられました。

私たち夫婦は、病院を色々調べ、総合医療センターの先生方にお任せすることを決意したのですからもう、ここで辞めるということは言えません。

同意して、生検の結果がでたらすぐに治療に取り掛かれるように準備をしました。

型どりをしました。

ここで受けるのは、強度変調放射線治療という治療です。
この治療方法で、非常に高濃度の放射線を患部に濃度を変えてあてることができます。

そのために患者が毎回定位置でいることが大切になります。

(中略)

あと、CTやMRIの検査を重ねました。
もう何回こういった検査をしているのでしょうか?
娘は何を思ってこの検査を受けているのでしょうか?”


この日の先生の説明は、許可を得て、妻が録音しておいてくれました。私もそれを聞いたところ、厳しい話ではありましたが、1時間近くもかけて、非常に丁寧に説明くださっていました。

入院している大阪市立総合医療センター同様、信頼してれいこをお任せすることができそうです。



○部屋替え

病院の都合もあったようで、14日(木)に一度、そして15日(金)にもう一度、部屋の引っ越しをしました。
最終的には、小児病棟すみれ7階769号室(相部屋)になりました。

早くも荷物があふれ返っていて、病院からワゴンを借りて、引っ越ししました。



今までの階に比べ、この7階は比較的大きな子供が多いです。自由度も高く、わくわくルームという共通の遊び場も設けられており、自由に利用できます。


同じ部屋には、中2から小2までの女の子が4人となり、れいこも早速仲良くなることができました。UNOをしたり、DSをしたり。食事も、わくわくルームでみんな一緒に頂きます。



なお、面会にあたってのルールは、今までと一緒です。念のため、再掲しておきましょう。

  • お見舞い歓迎。でも、無理をして頂く必要は全くありません。
  • お越しくださる場合、手ぶらでどうぞ。
  • ・・・と言いつつなんですが、どうしてもれいこに手土産を買わなければ気が済まない方は、以下のものが喜ばれます。
    リラックマ、靴下にゃんこ、きれいずきんの各種グッズ。シール類が、意外なツボらしいです。
  • 面会時間は、15-20時のみで、面会は一度に3人までです。
    なお、感染症予防のため、16歳以下は面会不可となっています。
  • アレルギー予防のため、生花の持ち込みはできません。

・・・ということで、よろしくお願いします。



○手術の結果が出ました

さて、15日(金)には、手術の結果が出ました。残念ではありますが、非常に悪い報告をしなければいけません。

病理診断の結果、れいこは神経膠腫(しんけいこうしゅ)、しかもグレード4であることが判明しました。
神経膠腫とは、悪性の脳腫瘍のことです。そしてグレード4とは、腫瘍の悪性度(4段階)で最も悪いものです。一般的にはグレード4の神経膠腫の場合、本人に残された時間は、1~2年程度になります。


非常に厳しい結果ではありますが、これは前に宝塚市立病院で行った、MRI検査による診断結果に近いものです。あのときに、「余命1年」と言われた状況から、悪くなったわけではありません。

もちろん低グレードという診断結果が理想ではありましたが、今までのMRI検査や手術当日の迅速診断により、その可能性が極めて低いことは覚悟していました。

なかば予想どおりの結果ではありますが、やはり残念としか、言いようがありません。


ただし、ごくわずかではありますが、少し明るい材料も出てきました。
腫瘍の性質や位置から、通常の脳腫瘍治療よりも、強力な治療が行えることになりました。

通常、脳腫瘍の治療は、1)手術による腫瘍の摘出、2)放射線治療、3)化学療法、のいずれか、またはその組み合わせで行われます。
れいこの場合、脳幹近辺での腫瘍であり、外科的に摘出することは不可能とのことです。そのため、れいこには、2)と3)を組み合わせた集学的治療を行います。

放射線治療は、こんな感じ


れいこの場合、メインは2)の放射線治療となります(神経膠腫には、あまり抗がん剤などの化学療法が効かないため)。
放射線治療は、正常な脳部位にもダメージを与えかねないため、放射線量を制限されます。
ですがれいこの腫瘍は、幸い脳幹中央部ではないため、通常よりも強い放射線量を当てることができるのです。

数値で言えば、通常は50グレイ程度の放射線量になるのですが、れいこには、70グレイを照射することができるとのことです。
主治医の先生も、子供に70グレイを当てられるケースは初めてとのことで、この効果に期待したいとのことでした。

これは、提携病院(?)である都島放射線科クリニックで、強度変調放射線治療(IMRT)という、腫瘍を狙い撃ちして治療する方法です。
少しでも早い方がいいだろうという判断で、初回治療を繰り上げて、19日(火)から本格治療を開始することになりました。


その他、この日の先生からのお話を、メモ的に。
  • 放射線量は、当てれば当てるほど、悪性腫瘍に対して有効。脳幹中心部であれば、どうやっても50グレイしか当てられないが、れいこは70グレイ当てられる。
    先日も36グレイしか当てられなかった子供がいるが、腫瘍を一度は取り除くことができた。

  • IMRTでこの治療を行えば、比較的副作用は小さいと思われる。よく見られる脱毛も、放射線があたる一部だけで済むと思われる。

  • これから8月下旬までは、放射線治療一本で行く。化学療法を併用すると、副作用が出て、肝心の放射線治療をできなくなる恐れがあるため。

  • 放射線は、当て終わって2~3ヵ月頃が、一番調子がいい時期になる。早ければ、8月のうちに効果が出る場合もある。

  • 放射線治療が終わってから、化学療法を行う。神経膠腫にはあまり効かないが、「テモダール」という薬を内服使用する。
    あまり強い化学療法ではなく、「じっくりじわじわ」と攻めるような形にする。吐き気止め等を併用するので、副作用はあまり辛くないだろう。

  • 怖いのは治療後の再発で、その可能性は高い。どこに出るかで、再度放射能治療ができるかなど、治療方法が変わる。
    小さな再発であれば、ガンマナイフなどを使うかもしれない。今の時点では、何とも言えない。

  • 陽子線治療、遺伝子治療など、先端医療を考える可能性はある。現時点では、ある程度確立している手法で治療を行う。


グレード4の神経膠腫と言えば、一般的には、回復の望みは極めて低いと言わざるを得ません。
ただ、主治医の先生は「治る見込みもないなら、治療はしない」と言い切ってくれました。どのみちれいこには、他の選択肢はありません。

滅多にそこまでできない70グレイの放射線治療、信頼できる先生方、何よりもれいこ自身の強さに賭けたいと思います。



○この日のお見舞い

この日、私の恩師お二人が、お見舞いに来てくださいました。

まず、私が大学院でご指導頂いているK先生。
いつも非常に忙しい方ですが、れいこのためにわざわざ、駆け付けてくださいました。お見舞いの品として、れいこに贈ってくださったのが、サン=テグジュペリの「星の王子さま」(ポップアップ版!)です。


素晴らしい本で、親子でとても喜んで頂きました。
先生、ありがとうございました!


そして、もうお一人は、れいこの空手の館長です。
もう何度もお越しくださっているのですが、この日は拳真館の皆さんからのプレゼントを持って来てくださいました!

みんなの寄せ書き


拳真館の道着を着たぬいぐるみ


この寄せ書きとぬいぐるみには、じ~んと来ました!
みんながれいこに、「早く帰って来い!」と書いてくれたこと。本物の道着を使った人形を作ってくれて、しかも帯は、れいこと一緒の紫色。

しっぽが道着から出ているのが、チャームポイント

館長がこれを持って来てくださったのは、ちょうど手術結果が判った直後でした。肩を落としていた私たち夫婦でしたが、拳真館の皆さんのお気遣いに、れいこだけでなく井上家みんなが、勇気づけられました。

すごく喜んだれいこからは、拳真館のみんなへお礼のメッセージを送りたいとのことですので、こちらをご覧ください。

みんなが約束を守ってくれましたから、今度はれいこが約束をして、守る番です。必ず元気になって戻る、というこの約束。絶対に、親子で守ります。

館長、拳真館の子供たち、そしてご父母の皆さん、本当にありがとうございます!



○お願い

れいこの状況は、このブログやTwitterで、お伝えしている通りです。
大勢の方々に、れいこの闘いを知って欲しいところではありますが、一つだけお願いがあります。

それは、この状況を口にされるときに、ご配慮頂きたいということです。
れいこには、「頭に悪いできものがあるので、時間をかけて治す」とだけ伝え、命に関わる状況であるとは知らせていません。


皆さんのお子さん方がれいこの友達であれば、お子さんにれいこのことを、お話しされるかもしれません。
そのときには、ここまでの状況であることは、伏せて頂きたいと思います。
また、お子さん方の前で大人同士がお話をされるときも、ご配慮を願えればと思います。

子供たちには、れいこをヘンに気遣って欲しくありません。
また、小さいお子さんであれば、万一れいこの前で口が滑ったりすることがあるかもしれません。その意味でも、ご配慮頂ければ幸いです。


ブログで書くだけ書いておいて、勝手な申し出ではありますが(笑)、ご配慮頂けますと幸いです。



<●最後に、れいこへ。>

れいこへ。

手術の結果が、出たんよ。
お前には、よう伝えとらんのやけど、悪い結果になった。

正直、お父さんやお母さんも、ガッカリはしたよ。
もしかすると、今までの検査が全部、間違いやったかもしれんかったし。
でも、残念ながら、今まで言われていた通りの結果になった。

お母さんは、泣いて、泣いて。
覚悟はしとったけれども、やっぱり泣かずにはおられんかったみたい。



でも、かすかな希望もあるんよ。
今までに先生がやれたこともないほど、しっかりとした治療をできるんやと。可能性は低いけど、れいこの強い気持ち、みんなの強い気持ちがあれば、きっと大丈夫よ。


れいこなら、絶対に病気に勝てる。


お父さんやお母さん、お兄ちゃんは、そう信じとるよ。


 

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