2015-12-28

利用者さんを知ろう、と1年間やってみた。

いよいよ、年末が迫ってきましたね。
このブログの更新も、あと1回くらいでしょうか。先日伺ったORCIDの話がとても魅力的でしたので、ぜひレポートしたいと思っているのですが、資料を職場に置き忘れ・・・。(涙)




★利用者を知る、ということ


さて、本題です。
どんな仕事やサービスであれ、顧客を知ることがいかに大切か、言う間でもありませんよね。

例えば、前に某大手コンビニ本部の方からお聞きした話です。そのコンビニでは、どういう年代・性別の方がどういった購入行動を取るかを店ごとに徹底的にデータで把握し、それにより仕入れの商品や陳列を決定しているそうです。

このコンビニに見られるように、自分がサービスしたい人たちがどんな方なのか、知らないままに十分なサービスをすることはできないはずです。
(往々にして、できているように見えてしまったり、できていないことを見ようとしなかったりするものですが)

そしてユーザーを知ることが重要なのは、もちろん図書館も例外ではありません。

ところが、多くの図書館はその努力が十分ではないようにも思えます。
自戒を込めて言えば、私たちプロのライブラリアンのうちどれだけの人が、自分の館の利用者さんのことを知ろうと努力しているでしょうか?



★私の困りごと(去年)


さて、ここからは私の取り組みです。
昨年度私は、9年ぶりに大学図書館に戻りました。私はキャンパスのうち、ある学部支援を担当することになりました。異動して半年以上カウンターに座っていましたが、その学部のことは少しも理解できず、判らないままでした。

もちろん、Webサイトやパンフレットに書いてある学部や教員情報、シラバスなどは読んでみました。
・・・が、そうしたものはやはり活きた情報ではないですよね。学生さんたちが、どんな風に指導を受けたり、どんなことを考えたりしているのか、先生方が図書館に何を求めているのか、全く伝わってきませんでした。



★学部に飛び込んでみた


そこで1年ほど前に、学部に飛び込んでみようと決心しました。
例えば、授業に行ったり、学部行事に参加してみることで、教員や学生さんたちを理解できるようになるのではないか、と思ったのです。

ウチのようなある程度大きな大学では、あまり自分のテリトリーを超えることはなく、(私の知る限り)図書館員がこうして学部へ飛び込むようなことは、行われていませんでした。
ですので多少のハードルは感じていましたが、幸い図書館や学部・キャンパスのボス方は懐が広く、チャレンジへの許可をすぐに頂くことができました。

・・・ということでこの1年ほどの間、自分の担当学部のことを知るため、以下のような取り組みをしてました。

  • 授業・ゼミの見学(許可を得て質疑応答へも参加)
  • 学生用オリエンテーション類への参加(新入生ガイダンス、履修ガイダンス、学科選択ガイダンス等)
  • 学生主催ゼミ選択ガイダンスへの参加
  • ラーコモイベントへの参加
  • 大学院生勉強会での講師
  • 学部事務ミーティングへの参加
  • 新任教員の研究内容発表会に参加(本来は教員対象)
  • 教授会での事務説明
  • 学部行事への参加(研究発表大会、留学説明会等)
  • 研究室訪問、教員へのヒヤリング

地味な力技としては、学部の建物に行ったときに遠回りをして、各棟・各フロアを1周したりしています(時間に余裕があるとき限定)。
ちょくちょく先生方と廊下ですれ違いますので、ちょっとした立ち話をしたり、ときには相談を頂いたりすることもあります。

無駄なことを・・・と言われそうですが、そんなことはありません。
私はこうして教員に声をかけた回数、アプローチしようとした回数、ウェルカムな姿勢を見せた回数が、信頼関係を築くと信じています。こうした積み重ねは、決して馬鹿に出来ません。




★その手応え


こうして1年間やってみると、やはり手応えらしいものを実感できるようになってきました。
学部でどういった教育・研究が行われているのか、学部がどういった課題を持っていたり、何に取り組んでいるのか。そういったことが、少しずつイメージできるようになってきたのです。

それが最も直接的な成果になっているのは、3〜4年生ゼミを対象にしている学術情報ガイダンスでしょうか。
これは、担当教員へのヒヤリングを行ってオーダーメイドで内容を組み立て、学術情報の入手・評価・活用等に関するレクチャー・演習を行うものです。

今年度、こうしたガイダンス後にアンケートを取ったところ、予想以上の高評価が得られました。
「後輩たちに薦めたいか」という問いに対し、受講生のうち97%(!)が「薦めたい」と回答してくれたのです。しかも、満点評価が、全体の75%にもなりました(4段階評価で4が75%、3が22%)。

従来こうしたスタイルのガイダンスやアンケートがなかったため、過去との比較はできませんが、それなりに高い評価を頂いていると考えています。
このガイダンスの高評価の要因としては、直接的には、教員への事前ヒヤリングの効果が大きいです。ですがそれだけではなく、1年間あまり教員や学生さんたちを知ろうと努めてきた成果でもある、と捉えています。

(もちろんこの成果は、こうした取組を認めてくれた上長や教員、何よりその間カウンターを護ってくれた同僚たち(もちろんアルバイトさんや業務委託のスタッフを含めて)のおかげです!)

これからも、もっともっと学部を知ることで、サービスアップにつなげていきたいと考えています!

皆さんの館でも必要があるようでしたら、どうやれば利用者さんのことを知ることができるか、検討してみてはいかがでしょうか?
思いがけない、サービスアップにつながるかもしれませんよ!



●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。

れいこのいない生活も、はや3年半を過ぎました。
寂しさはいや増す一方ですが、この毎日にも慣れてもきています。


大勢の方々が、れいこや私たちを応援くださったことを思い出します。
今も、私たちはその応援に感謝しています。

きょーこを健やかに育てることが、その恩返しだと思っています。
ずっとこのまま、きょーこが元気に育ってくれますように。

きょーこを見守ってやってな、れいこ!

2015-12-24

【参加者募集】日本一遅い図書館忘年会@名古屋

先日の記事「本と人をつなげるしおり『kumori』」につづき、ようやく今月3回目の投稿です。
・・・が、今日はイベントのご案内のみです。愛想なしで、申し訳ありません。




★日本一遅い図書館忘年会@名古屋


以下のとおり、またライブラリアンの交流会を企画しましたので、ぜひご参加ください。

時季が時季、しかも直前ですので、10名限定でアットホームに話せる場にしたいと思います。どなたでも歓迎ですので、ぜひ。

★日本一遅い図書館忘年会@名古屋

【開催主旨】
今年を振り返りつつ、館種・身分を超えてライブラリアンの交流を深める会です。
【日時】
2015年12月30日(水)18:00-(遅刻・早退でも歓迎!)
【場所】 【参加資格】
図書館に関心のある方なら、どなたでも。図書館員の場合、特に専任でない方、派遣・委託の方を大歓迎!(所属を公開しにくい方は、館種等のみでOK)
【定員】
10名(先着順)
【参加費】
3,000〜4,000円程度(予定)
【お申し込み】
12月28日(月)までに、karatekalibrarian@gmail.com宛メールにて。お名前・(支障のない範囲で)ご所属をお知らせください。


東海方面の皆さん、ぜひご一緒しましょう!
今回はすぐに満席になってしまう可能性がありますので、皆さん今すぐお申し込みくださいね〜。

2015-12-21

本と人をつなげるしおり「kumori」が素晴らしい!

いよいよ、年末ですね。
とある忘年会でのビンゴ大会に参加していたところ、思いがけなく一等が当たりました!産地直送、食材セットです。


(以前の半分以下のペースとは言え、)飲み会連発で家庭内で小さくなっている私が、久しぶりに鼻息荒く帰宅しました。(笑)
昔、給料袋を持ち帰るお父ちゃんって、こんな感じやったんかな〜?(笑)



★本と人をつなげるしおりkumori


さて皆さん、「本と人をつなげるしおりkumori」のことは、ご存じでしょうか?
先日の第17回図書館総合展ポスターセッションでも優秀賞を受賞したところですから、ご存じの方も多いかもしれませんね。

ご存じない方は、kumoriがどういったものなのか、まずは公式サイトにてご覧ください。


(kumori公式サイトより)

同サイトに掲げられている以下のメッセージが、ふるっていますね!

kumori は本と人をつなげるしおり。
本の紹介を送ると、しおりとなり、様々な図書館で配られます。
あなたの大切な本も、kumori にのせてみませんか?



★自分だけのオリジナルしおり


多くの図書館にとって、最大のコンテンツは今もなお本そのものです。本以外を活用して、本や図書館の魅力を伝えようという試み、とても素晴らしいと思います。

kumoriもまさにその一つ、と言えるでしょう。
特にkumoriの場合、自分の好きな本を題材にしおりを作ることができる点が、最大の特長であり魅力ですよね!このしおりは一つ一つがオーダーメードであり、自分だけのメッセージを送ることのできるメディアです。

私に絵心はありませんが、そのクオリティーの高さは、素人目に十分に感じ取ることができます。その素晴らしい作品の数々を、ぜひこちらからご覧ください。

そのしおりを見た違う誰かが、またその本を手に取ることで、読者どうしが繋がっていきます。本そのもので特集コーナーを設けたりするのとは、また違う意味合いがありますね。
その魅力を活用しようと、これまでに17もの図書館にkumoriは置かれています。


kumoriは、デザイナーの渡辺ゆきのさんが一つ一つ手作りで、描いて作成しています。彼女の「デザインで笑顔を届ける」というコンセプトも、とても素晴らしいですね!

ちなみに渡辺ゆきのさんは、saveMLAK「MLAK(むらっく)くん」のデザイナーとしても知られています。
余談ながら、彼女からはその「MLAK(むらっく)くん」を、れいこに贈ってもらったこともありました(上の写真)。



★サポーター大募集!


そんな素晴らしいkumoriですが、規模が大きくなってきたこともあり、今後の活動には経済的な支援を必要とするようになりました。
そこでこの活動に賛同する皆さんにお願いです、ぜひkumoriのサポーターになってもらえないでしょうか?

サポーターには、まずは始めやすい「ちいさな kumori サポーター」から、たくさんの支援ができる「おおきな kumori サポーター」まで、いくつかの種類があります。ご自分にあった形で、応援を頂ければと思います。

ちなみに、現在サポーターになってくださっている方々は、こちらからご覧になれます。
kumoriの活動に共感し支援されているだけあって、アツい方々ですね!


直接サポーターになるのが難しい方は、kumoriのことを知人に紹介してみたり、ツイートしてみたりするだけでも、応援になります。ぜひ、そうしたサポートもお願いします!

皆さんのご支援が、多くの本と人をつなぎます。ぜひ、kumoriへの応援をお願いします!



●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。

このところのきょーこ、成長が著しいです。
今までと違い、一人で歌を歌ってみたり、一人遊びが本格化してきたり。おままごとをして、つくったお料理を食べさせてくれることも、しばしば。


「ちゃん(=お父ちゃん)、アチチからね」などと、たどたどしい日本語で注意もしてくれます。(笑)

このまま健やかに、きょーこが成長してくれますように!
れいこの分まで、強く元気に。ただただ、それを願う日々です。

2015-12-07

つながりから生まれた、Library of the Year 2015

先日、大学図書館職員短期研修の講師(東日本会場)を終えました。
昨年に続いて2回目、かつ西日本会場も終えているので多少余裕はありましたが、私にとっても本当に勝負どころでした。

全国から集まる若手ライブラリアンに対し、自分の情熱や信念を伝えたつもりです。受講生の皆さん、ありがとうございました!


当日晩の「東京で『空手家ライブラリアン』井上昌彦さんを囲む会」も満員御礼、59名もの皆さんがご参加くださいました。こちらも併せて、追ってレポートしますね!



★Library of the Year


さて皆さん、"Library of the Year"のことはご存じですよね?
「これからの図書館のあり方を示唆するような先進的な活動を行っている機関に対して、NPO法人 知的資源イニシアティブが毎年授与する賞」です。

このLibrary of the Yearの最終選考会は、毎年図書館総合展で行われています。
今年はLibrary of the Year10周年にあたる年で、先月多治見市図書館が受賞したことは記憶に新しいところですね(最終選考会の動画)。

私も頻繁に出入りしながらでしたがこの場に立ち会えて、本当に良かったです!

(余談ながら。このLibrary of the Yearは近年、クラウド・ファンディングで資金調達をしており、こうした取組も評価されるべきでしょう。私もホントに僅かですが、協力をさせてもらいました)



★つながりから生まれた、Library of the Year 2015


この多治見市図書館のLibrary of the Year 2015受賞には、ライブラリアンどうしのつながりが大きく貢献しています。
いささか大げさに言えば、Library of the Year 2015は、ライブラリアンのつながりから生まれた、と言っても過言ではありません。

この受賞の一番の要因は、多治見市図書館の皆さんの実直な仕事であったことは、間違いありません。審査委員長のコメントからも読み取れるように、誰しもが敬意を払うべき地道で実直な取組と評価できるでしょう。

この受賞にあたっては、会場で同館を推薦するプレゼンを行った小嶋智美さん(Independent Librarian)も、少なからず貢献したことは間違いありません。圧倒的な会場票を獲得した彼女のプレゼンは、本当に魅力いっぱいのものでした。

壇上で熊谷館長が「さとみさん」と呼んでいたことからも判るように、このお二人は強い信頼関係で結ばれています。であるからこそ、この素晴らしいプレゼンが生まれ、受賞につながったのだと思います。


写真は、授賞式の直後に熊谷館長(後列中央)を囲んで、仲間たちと。壇の下に立った自分が真ん中に大きく写ってしまっていて・・・ああ、スミマセン、スミマセン・・・(涙)


実はこのお二人の出会いは、ライブラリアンの私的な交流会です。
とある空手家(笑)が、「愛知に行くけん、ライブラリアンのみんな呑もうや〜」と開催した交流会で、たまたまお二人が出会うことになりました。

お二人はこの出会いを機に意気投合、後日小嶋さんが委員長として開催準備をされていたMIS31への熊谷館長の登壇が決まったほどでした。
(余談ながらこのMIS31は、私が今までに参加したイベントの中でも、最高級のクオリティーでした!)

こうして生まれ、深まったご縁は、このLibrary of the Year 2015受賞という最高の形で実を結んだのです。

この受賞は多治見市図書館のすべてのスタッフの献身的な働きによるものですが、それをこうして世に知らしめたのは、お二人の出会いがあったからこそだと思います。
あの多治見愛に満ちたプレゼン(笑)は、他人同士では絶対にできないものでしたから。

お二人が日々アンテナを張り、図書館内に閉じこもらず積極的に館外へ出ていたからこそのLibrary of the Year 2015と言えるでしょう。


改めて、ライブラリアン同士のつながりの大切さを感じた出来事でした。熊谷さん、小嶋さん、そして多治見市図書館の皆さん、本当におめでとうございます!

他の最終候補の皆さんは残念でしたが、いずれもLibrary of the Year最終候補の名に値する素晴らしい活動をされておいでですね。いずれまた、各候補を改めて訪ねたいと思います。

<●補足とお断り>

上のように紹介しましたが、プレゼンターはノミネート館が指定するものではありません。小嶋さんがプレゼンターに選出されたのは主催者の判断によるもので、お二人の意向だった訳ではありません。
プレゼンターは主催者(=第三者)により選出されていることで、公平性が担保されているのだと思います。

また今回の記事は、特定のお二人を紹介させてもらったものであり、当然のことながらすべての文責は私にあります。内容・記述の不備があれば、その責はすべて私に帰すもので、お二人によるものではありません。



★見学もしてきました


多治見市図書館にはかねてから伺おうと思いつつ、なかなか機会を持てませんでしたが、この機にお邪魔してきました。


多治見市図書館は陶磁器関連資料が特に注目されていますが、それだけではありません。
英語多読への取組、医療健康情報サービス、学校図書館との連携など、様々なジャンルにおいてもライブラリアンが足で稼いだ地道な結果が出ています。

・・・が、ここでは詳しい説明を割愛しますので、その魅力は最終選考会での小嶋さんのプレゼン動画でご覧ください。

「足で稼ぐ」ことをはじめ、こうした図書館の地域に根付いた活動が評価されるのは、本当に素晴らしいことだと思えました。皆さんも、ぜひ一度多治見市図書館へ行ってみてください。

受賞直後の慌ただしい中、ご案内くださった熊谷館長、ありがとうございました!



●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。
先日、夜間にきょーこを救急に連れて行く羽目になりました。結局大したことはなく、もう心配も不要ですから書いておきましょう。


上の写真のポーズを決め、「きょーちゃん、かわいいで〜」と自分で言っていた数秒後に、後ろへひっくり返りました。ダッシュボードの小さなガラスに後頭部を突っ込んで出血し、夜間救急に駆け込む羽目に。

結局治療待ちの間に血も止まり、翌日から保育園に登園する許可も出たほどでしたが、冷や汗をかきました。
まあ、今回はこれだけでしたので、笑い話で済みましたが・・・。


れいこのことがあってから、わが子の病気やケガに対し、自分が病的に過敏になっているのを自覚しています。病院へ向かう途中も、恥ずかしながら心臓がバクバク、膝がガクガク震えました。

病気もケガもない日々が、本当に幸せだと感じています。
ごくありふれた日常こそ、何よりも大切なものです。家族が元気で健康、何よりの宝です。

これで済んでよかったね、きょーこ!
れいこ姉ちゃんが、守ってくれたのかな〜?

2015-11-21

行ってきました、第17回図書館総合展!

今年も、図書館総合展に行ってきました。
少し遅くなりましたが、今日はそのレポートです。

図書館総合展の魅力については、先日の案内図書館総合展の参加心得3ヶ条、過去の参加レポート(2014年2013年2012年)などで述べてきたとおりです。




★出会い語り合う場


一義的に言えば、図書館総合展は多くの図書館員や関係者が集まり、新しい知識を習得したり情報を交換する場所なのでしょう。
ですが私は、それ以上に人と人が出会う場所、交流を深め未来を語り合う場としての意義を強調したいと思います。

パシフィコ横浜での図書館総合展には、今年は35,000人近くの入場者があったそうです(今年も過去最高を更新)。
もちろん、これほどの規模のイベントは、図書館界には存在しません。これだけ多くの人が集い語り合う意義については、説明する間でもないでしょう。



先日の案内にも書きました多くの自主企画を含め、ここにはとても多くの出会いがあります。

私も今年、70人以上の方々と新たな出会いがありました。きっと中には、後で振り返ることになる重要な出会いも含まれているでしょう。

私は今年9つのフォーラムに出ましたが、一番の収穫は知識ではなく仲間です。
仲間たちと語り合った時間こそが、私たちを高め合い、これからの図書館界をつくる原動力になると信じています。



★充実のフォーラム


図書館総合展と言えば、豊富なフォーラムがその魅力の一つです。私は9つのフォーラムに参加しましたので、ひと言ずつ。

  • アクティブ・ラーニング最前線(主催・図書館総合展運営委員会)
    「これから、アクティブ・ラーニングの実効性を問われるはず。その中で、現代の大学図書館の意義は?」という逸村先生による投げかけ。学生の声も含めて、アクティブ・ラーニングをどう評価するか、図書館として大学として考える必要あり。

  • こんなに使える!社史の魅力~社員教育、営業、就職活動、レファレンスツールまで、社史の活用・魅力を事例紹介をまじえてご紹介~ (主催・図書館総合展運営委員会)
    日本の社史の多様性や、統計などを含めた充実ぶりを学んだ。レファレンス等に活用していきたい。勤務先の学院史も読んでみようかな、という気にさせられた。

  • 大学の国際化と図書館の国際化 その取組と課題(主催・シュプリンガー・ジャパン株式会社)
    図書館の国際化を議論する前に、まずは大学の国際化をどうするのか議論するのが先、という気が。今のサービスや書類を英語に置き換えることが、国際化ではないはず。
    アクティブラーニングとか国際化だとか、大きな方向性は間違えていないが、こうもみんなが一斉にそればっかり志向してることに、ある種の危惧。

  • オープンサイエンス時代の研究情報データベース(主催・トムソン・ロイター)
    アカデミックな池内さんと、現場で鍛えた梅澤さんの講師コンビが、それぞれとても良かった。池内さんの研究データの話は、知らなかったことばかり。うめちゃん先生の「図書館利用教育から、情報活用教育へ」は、全国の図書館員に聞かせたい。

  • “ILL”の需要と供給(主催・図書館総合展運営委員会)
    ILLに関する様々な話。現状把握には役立ったが、豪華パネリスト5人に対して90分のフォーラムでは時間が足りなかった。それぞれの話をもっと聞きたかったし、逆に議論の時間ももっと必要だった。
    私的には、サンメディアの松下茂社長に基調講演を頂くフォーラムを開催すると面白いのでは、とも。

  • 大学図書館の現実的な未来像(主催・丸善株式会社 株式会社雄松堂書店)
    東京大学さんの新図書館計画の話を中心に、あれこれ。30以上ある部局のライブラリアンが若手を中心に集まり、検討を進めたのは、国立大学の一つのモデルケースか。
    他方、制度的にそれを担保していないことへのリスクも。将来に渡って、この連携を続けられるか。

  • 図書館員のためのファシリテーション実践講座(主催・図書館パートナーズ)
    ご存じトサケン主宰・仁上さんと、図書館パートナーズによる講座。フロアでワークショップ的なものをするなど、参加者にとってはハードルが低く、元気の出るフォーラムに(今年はトサケン・フォーラムがなくて残念)。

  • 障害者差別解消法と図書館(主催・図書館総合展運営委員会)
    兵庫県三田市での事例を中心に、ハンディを持ったユーザーに対し、電子書籍が提供し得る様々な可能性について議論。図書館と出版社が協力し、電子書籍のコンテンツを提供することが不可欠、という結論。
    地元・兵庫での事例を聞き、地元との連携の可能性が広がったことは、大きな収穫。

  • Library of the Year 2015(主催・図書館総合展運営委員会)
    ご存じのとおり、今年のLoYは多治見市図書館が受賞!この受賞はつながりが生んだもの、と断言。詳細は、後日別記事に。
    この件、来月に大学図書館職員短期研修で講師をするときの格好の材料に。

図書館総合展に関する3,000件以上のツイートのまとめも作成されていますので、そちらもぜひ。情報だけでなく、期間中の熱気のようなものも、感じられると思います。


★苦言


素晴らしいフォーラムが多い図書館総合展だからこそ、ここで一つ苦言を。
フォーラムに参加された皆さん、質疑応答タイムでの挙手が少な過ぎるのではないでしょうか?

図書館総合展は、一方的に知識や情報を受け取るだけではなく、意見を伝え合い討論し合う場だと思います。その観点からすれば、フォーラムは質疑応答にこそ意義がある、とも言えます。

今年も全体的に質問が少なく、数百人の聴衆がいる会場で質問は私一人、などということがありました。参加者の皆さんには話を聞くだけではなく、ぜひ主体的に参加頂きたいと思います。


もう一つ言えば運営サイドの皆さん、短くても構いません、必ず質疑応答の時間を取ってください。
パネリストの長話で時間がなくなる・・・ということもよくあると思いますが、そこはコーディネーターや司会役との打ち合わせをしておくことで、何とかすべきところかと。

率直に言えば、商品やサービスのPRタイムの後で「質疑応答の時間がなくなりました」というのは、非常に辛いです。資料の配布である程度代替できる内容であれば、そこを削ってでも質疑応答の時間を確保頂きたいです。

スポンサーにこれを求めるのも酷だと思いますが、そこは図書館総合展という学びの場であるからこそ、そうした心意気で臨んで頂きたいと思います。
他方、参加されるライブラリアンの皆さんは、そうした運営サイドの心意気に、十分に思いをめぐらせるべきでしょう。

参加する側も運営する側も一緒になって、未来を語り合う図書館総合展をつくっていけたらいいですね!




★自主企画


ここでもう一度、楽しい話に戻りましょう。(笑)

横浜に滞在した間、毎日自主企画(飲み会)に全力参加しました。全力すぎて、最終日は新幹線を降りた後の終電を逃したほど。(笑)

毎年100人近くが集まる、図書館総合展運営協力委員主催の大交流会は、今年も大盛況でした。
ここ数年恒例ですが、ほぼほぼ準備はしぶたん(参考情報・2013)が、受付等は有志チームが担ってくれました。素晴らしい運営を、ありがとうございました!


2日目には、LDG(Library Drinking Girls)なる会の発足記念パーティーが開催されました。発起人となったのは、ご存じエル・ライブラリーのたにあん館長と、swimlibrarianです。

そして、パーティー中にサプライズで、参加者一同からエル・ライブラリーへのカンパがありました。写真はエル・ライブラリー広報大臣の私から、たにあん館長へ目録の贈呈をしているところです。



(2015.11.29追記)この件、エル・ライブラリーのブログにアップされました!谷合館長の喜びの声を、ぜひ!


(写真はエル・ライブラリーブログ掲載のもの。撮影・提供は、ARG野原海明氏)


また、最終日夜の「図書館総合展おまけ会」も、素晴らしい場でした。
こちらは図書館員だけでなく、本や図書館に関わる仲間が集まり、交流を深める場です。版元、取次、メーカー、システムベンダー・・・多くの仲間が集まりました。

企画くださったS沼さん、幹事の皆さん(特に来られないのにお店の段取り等をしてくださったK曽川さん)、ありがとうございました。

ちなみにこの会は、2年前に(S沼さんに幹事をムチャ振りされて)開催した版元×図書館員交流会がベースになっています。


楽しい連夜の自主企画のため、4日間とも2時より早くは寝られませんでした(苦笑)。これで日中起きていられるのは、やはり図書館総合展が魅力的だからですね〜!(笑)



★感謝


最後に、感謝を。
図書館総合展でご一緒くださったすべての皆さん、ありがとうございました。

特に、これだけの場を設けてくださった運営委員会、事務局、そして出展者・スポンサー・協賛・後援の皆さん、ありがとうございました。皆さんのご尽力なしには、図書館総合展は成り立ちません。本当に感謝しています。

ライブラリアンの皆さん、機会がありましたらこうした運営サイドの皆さんに、ぜひ感謝の気持ちを伝えましょう!
出展者の営業さんが職場に来られたときに、「図書館総合展に行ってきたよ!ありがとう!」というだけでも、いいですよね。その言葉が、また来年の図書館総合展につながります。


皆さん、本当にありがとうございました!
来年も横浜でお会いしましょう!来年の日程は、図書館総合展公式サイトにもう出ていますよ〜。

(ずいぶん長文になりましたので、「れいこと」コーナーはお休みします)

2015-11-09

あなただけが頑張ってもダメなんです、図書館は!

先日案内の記事も書きましたが、いよいよ図書館業界最大のイベント・図書館総合展が迫ってきましたね!
私は図書館総合展運営協力委員ですが、それ以前に一人のライブラリアンとして、多くの方にこのイベントにご参加頂きたいと思っています。当日参加も可能ですので、皆さんぜひ!


そうそう、別途ご案内しています「空手家図書館員さんを名古屋で囲む会@20151122」「東京で『空手家ライブラリアン』井上昌彦さんを囲む会」にも、ぜひ!



★眼科に行ったときに


さて、本題です。
先日ちょいとしたことで、眼科に行ってきました。知人の看護師さんから、「とても評判がよい医者」と聞いたので、わざわざそこを選んで行きました。

・・・が!
ダメダメでした、その病院。私は不愉快な気持ちで、帰ることになりました。

最初にドアを開けながら「こんにちは!」と声をかけた私に対し、受付のスタッフは下を向いたまま、愛想なく「診察ですか?」。
・・・もうこの時点で、こっちの印象はかなり悪いですよね?

受付を済ませて、医療スタッフの検査を受けたときも、そうです。私が「お願いします!」と言っても返事もなく、「これを読んでください」と紙を渡されただけでした。

とにかく、スタッフ4〜5人全員が無愛想。笑顔なし、最低限の伝達しか言葉に出さない状況でした。

ところがそれに対し、診察くださった医者は、評判のどおりの素晴らしい方でした。
笑顔で親切、説明も丁寧でウェルカムな雰囲気。安心して、受診することができました。




★ひるがえって


先生はとても良かったですが、私は絶対にこの病院には二度と行きません。行けばまた確実に、不愉快な思いをするからです。

ひるがえって、これを図書館で考えてみれば、どうでしょうか?皆さんの図書館は、こうした思いを絶対にさせないところでしょうか?

私の周りの熱意あるライブラリアンの一部(多く?)は、同僚との温度差に頭を痛めているように思います。
本人は一生懸命頑張ろう、ユーザーさんを喜ばせようと思っていますが、同僚みんながそう思っている訳ではない、というのはよくある話です。

そして、そんなときに私たちはえてして、「自分だけでも頑張ろう!」と思ってしまいがちです。

ですがそのとき、私たちの図書館は、この眼科のようになっているのではないでしょうか?どれだけいい医者がいても、他のスタッフがダメダメなら、患者は「二度とあの病院には行かない」と思うかもしれません。



★改めて自分の図書館を思い起こすと


ここで改めて、自分の図書館を考えてみるといいかもしれません。
例えば、ユーザーさんに笑顔で挨拶はできていますか?気持ちよい会話や受け答えができていますか?

カウンターに背を向けて座っているスタッフはいませんか?内職や雑談で、声をかけられるまでユーザーさんに気付かないことはないですか?
ユーザーさんがいるのに私語をしたり、大声で打ち合わせをしていることはないですか?返却された娯楽誌などを、パラパラめくっているスタッフはいませんか?

もしこうしたスタッフがいれば、ユーザーさんにとっては不愉快な印象を与えることでしょう(それが管理職であれ非常勤であれ)。それはもしかしたら、一人頑張っているスタッフがいたところで、挽回できない失点かもしれません。

「自分だけでも頑張ろう」ではなく、どうやってそうしたスタッフ全員、もっと言えばチームを変えていくか、私たちは考えるべきではないでしょうか。


手前味噌な話をすれば、私が前にいた短期大学図書館は、全員がこうしたことを強く意識できていたチームだと思います。
この図書館は、入館者数が4年間で2.4倍にもなったのですが、その大きな要因の一つは、スタッフの意識が変わったことだと思います。

この当時、私はボス的な立場でしたが、この入館者増は私の成果ではありません。私の言うことを受け止めてくれた全スタッフ、いわばチームの意識改革による成果だと思っています。
(もちろん他にもいろいろな要因があり、自分たちの手柄ばかりではありません)


ともあれ、自分だけが頑張るのではなくチームみんなで、まずはユーザーさんに気持ちよく利用してもらう、そんなことから図書館は良くなっていくのではないでしょうか(自戒とともに)。

私たちライブラリアンはプロですから、提供する技術・サービス内容のレベルが高いことは当然でしょう。ですが、まずはそれ以前のところにも気を配れるようになりたいですね。



●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。
このところ、自分とれいことの関係が、またちょっと変わってきたように感じています。


うまく表現できないのですが、れいこのことを考えると、楽しかった思い出よりも辛かった闘病のことばかりが思い出されます。
どこかでれいこのことを思い出すと、次にそこを通りかかったときにも、れいこのことを思い出してみたり。前よりもちょくちょく思い出しては、胸を痛める毎日です。


それでも日々、明るく振る舞うことができているのは、きょーこのおかげです。きょーこが、毎日を元気に過ごすエネルギーをくれています。

きょーこ、これからもお父ちゃんらを元気にしてや〜!
お前にはれいこ姉ちゃんも、ついとるけんな!

2015-11-06

空手家図書館員さんを名古屋で囲む会@20151122

このところ、いろいろとお誘いしてばかりのこのブログ。今日もまた、新たなお誘いです。



先日よりお誘いしています、図書館総合展やそれに伴う自主企画(図書館総合展 大交流会2015、LOD(Library Drinking Girls)、図書館総合展おまけ会)、12月の「東京で『空手家ライブラリアン』井上昌彦さんを囲む会」は、いくつか満席になってしまいました。
参加をお考えくださっている方、ぜひお早めに!


★空手家図書館員さんを名古屋で囲む会@20151122


さて、以前からいろいろとご縁の深い名古屋。
今回も妻の実家に帰省するのに伴い、名古屋で交流会を企画頂くことになりました。

以下のとおり開催しますので、東海方面の皆さん、ぜひご一緒しましょう。図書館に関心のある方でしたら、どなたでも歓迎です!

★空手家図書館員さんを名古屋で囲む会@20151122

【主催】
東海ライブラリアンおもてなし隊
【日時】
2015年11月22日(日)18:30-(遅刻・早退でも歓迎!祝日前夜です!)
【場所】 【参加資格】
図書館に関心のある方なら、どなたでも。図書館員の場合、特に専任でない方、派遣・委託の方を大歓迎!(所属を公開しにくい方は、館種等のみでOK)
【定員】
15名(先着順)
【参加費】
2,300円(税込み)
【お申し込み】
11月17日(火)までに、お申し込み専用サイトから。


私も愛知でこうした飲み会を開催頂くことが重なり、いつの間にやら東海地方のライブラリアンの知人が軽く100人を突破しました。
こうした場でご縁が広がり、深まることを本当に嬉しく思います。

いつも歓迎くださる、東海ライブラリアンおもてなし隊の皆さん、ありがとうございます!本家・関西ライブラリアンおもてなし隊を圧倒するほどの活動ぶり、素晴らしいです!



●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。
先日、近所の植物園へ、うそれいこ&きょーこを連れて行きました。



家族とののんびり過ごせることは、本当に嬉しいことです。
このごく平凡な日常にどれほどの意味があるか、れいこが教えてくれました。

子育てなんて、ほんの短い時間です。
できるだけ、きょーこの成長を見守る時間をつくっていこうと思います。

2015-11-03

TPPで変わる日本の著作権制度、ライブラリアンはどう考える?
(日本図書館研究会で福井健策先生のお話を聞いてきました)

まずは、雑談から。
ご案内差し上げていました「人物図書館 in 大阪」が、無事終了しました。満員御礼、大盛況でした。ご参加くださった皆さん、運営の皆さん、ありがとうございました!


先週は他にも、ダイトケン(大学図書館問題研究会)兵庫支部の自主企画で、神戸の書店巡りをしてきました。上の写真はその収穫で、わが家にとっては一番下に敷かれているアンパンマンが最も大切。(笑)

行った中で特に印象的だったのは、神戸板宿で「我々は感動伝達人である」という素晴らしいコンセプトを掲げる井戸書店さん、ビールを飲みながら本も選べる元町の古書店1003(せんさん)さんでした。楽しい時間を、ありがとうございました!



★日本図書館研究会 図書館学セミナー「図書館に関係する著作権の動向2015」


さて、本題です。先日、標記セミナーに参加してきました。
著作権という館種を問わず関わりの深いテーマ、そして話をされるのが福井健策先生&南亮一さんとあって、会場はギッシリ満員でした。


図書館界屈指の著作権の大家・南さんですが、この日は「動向を理解するための著作権のキホン」と題し、あえて自称・前座に徹しておいででした。
とても判りやすいお話でしたが、役割上一般論的なものでしたので、ここでの紹介は割愛したいと思います。

また、他の先生方のご講演もありましたが、あまりにも福井先生のお話が魅力的でしたので今回は割愛し、福井先生のレポートに注力したいと思います。

当日の様子は、アカデミック・リソース・ガイド社の岡本真氏がつくってくれたツイートのまとめが詳しいですので、ぜひそちらから。



★「TPPと著作権リフォームのゆくえ」(福井健策先生)


お話はタイトルどおり、TPPにより日本の著作権制度がどのように変わってゆくのか、どういった課題があるのか、お聞かせ頂きました。

私は、福井先生のお話を初めてお聞きしましたが、素晴らしいお話でした。
整理された論点、判りやすく伝える技術、気さくな態度、そして明確なご自身の主張。引き込まれるように、2時間近くお話に聞き入りました。
(テレビ・新聞などでも、著作権の専門家としてひっぱりだこであることが納得です)


お話によれば、TPP知財条項によって様々な点での著作権法改正の可能性があるそうですが、もっとも重要な点は以下の2つかと思います。

  • 保護期間の延長
     著作者の死後50年という保護期間が、70年へ変更。
  • 著作権侵害時の非親告罪化
     著作権者が起訴しない限り国が処罰できなかったものが、今後はそうでなくなる。

(*注)まだTPPが発効した訳ではありませんので、これらは流動的なものです(以下も同様)。



以下、この2点について福井先生がおっしゃったことを、私なりにまとめます。

保護期間が延長されることはそのまま、著作物が自由に使えるまでの期間が長くなることを意味します。
これは、ディズニーに代表されるごく一部の長寿命コンテンツ(=ビジネスとして、死後50年以降も成り立つもの)を保護するためと言ってよいでしょう。

(背景にあるのは、年間15兆円にものぼるアメリカの海外特許・著作権使用料収入です。今回の「死後70年」も、同国が強く推進しています)

青空文庫のように、自由に使えるコンテンツの範囲が狭くなり、ごく一部の権利者や特定の国を利するこの改正が本当に必要か、慎重な検討が必要とのことでした。


また、著作権侵害時の非親告罪化についても、大きな影響があるそうです。
「原作の市場での収益性に大きな影響がある場合」などといった条件が付けられていても、実際の運用は流動的であり不安が残る、とのお話でした。

例えば駐車違反している車があるとき、誰かが警察に電話すれば取り締まりに来ます。著作権侵害についても、グレーゾーンであっても誰かが通報すれば、国は動かざるを得ないかもしれません。

その可能性を考えれば、パロディ、ビジネス等の萎縮が起こり、結果的に日本の文化やビジネス活動に悪影響をきたす恐れもあります。


先生からはこうしたリスクをふまえ、アニメ・コミック・ゲームといった点を含めて日本の文化を考えるときに、今回のTPPに伴う著作権制度の見直しが本当に最善か、と疑問が投げかけられました。
また先生からは、フェアユース導入、アーカイブ推進法の制定などを含めた、日本モデルを模索するべき、とのご指摘がありました。

併せて図書館界に望むものとして、業界としての意見を早急に集約しそれを声明にするべきだ、というお話を頂きました。




★雑感


今回の著作権制度の見直しは、情報の世界における近年の試みと真逆の方向性のように思えます。

近年情報の世界では、様々なデータをアーカイブし、公開し、それだけではなく社会全体で自由に使えるようにしよう、という発想が中心でした。
例えばLinked Open Data、オープンサイエンスといった考え方からもそれは伺えますし、先生のおっしゃった青空文庫、他にも東寺百合文書などといった素晴らしい試みも多く見られます。

こうした私たちの行動と法改正とが噛み合ない以上、先生もおっしゃっていたとおり、自分たちで議論し集約して、それを発信することが重要になるのでしょう。

図書館界で言うなら、日本図書館協会などが中心になって、意見を集約する必要があるのでしょう。
そのためにはまず私たち個々のライブラリアンが、現行著作権制度の課題やTPPをめぐる議論の動向を把握し、自分なりの意見を持つことが大切だと思いました。

今回の法改正への議論は、著作権に関するプロフェッショナルでもあるライブラリアンとして、私たちが本気で向き合うべき案件なのでしょう。

TPP締結、そしてそれに伴う著作権法改正まで数ヶ月しかないかもしれません。
私も急ぎこの件について勉強し、自分なりの意思表示等、何か行動に移したいと考えています。皆さんにも、ぜひそうしたことを一緒に考えて頂ければと思います。


非常に素晴らしいご教示をくださった福井先生、南さんはじめ日本図書館研究会の皆さん、貴重な場をありがとうございました!



●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。

4年前、れいこは「明るく強く」病気と闘う毎日でした。
そんな中、ちょうど秋のこの時季に、れいこは自然学校に行きました



闘病中で半身麻痺、様々なトラブル。
私たちは不安だらけでしたが、れいこの強い希望もあって、自然学校に参加することにしました。学校や自然学校の手厚いサポートの中、れいこは私たちの手を離れ、5日間を元気に乗り切りました。

たった5日間、されど5日間。
ちょっぴり大人になって、元気で帰ってきたれいこを、私たちはどれほどの喜びで迎えたことでしょう。自分がいかにわが子を愛しているか、改めて感じることができました。


そして今、れいこは星になってしまいましたが、きょーこがそばにいてくれます。
れいこに抱いた愛情まで、きょーこにはかけてやりたいです。小さなことに一喜一憂せず、のびのび育ててやりたいと思っています。

でも、きょーちゃん!
そのイヤイヤ連発をもうちょっと減らしてくれたら、お父ちゃんたちは嬉しいけどな!

2015-10-28

図書館界最大のイベント・図書館総合展に行こう!(自主企画にもぜひ!)

(2015.11.6)ご案内した企画のうちいくつかが満席になりましたので、申し込み情報を赤字で追記しました。

ライブラリアンの皆さん、いよいよ図書館総合展が迫ってきましたね!
私は図書館総合展運営協力委員でもありますので、今日はそのお誘いです。図書館総合展そのものはもちろん、毎晩開催されている自主企画にも、ぜひお越しください!





★図書館総合展へ行こう!


図書館業界最大のイベント・図書館総合展の素晴らしさは、今までもこのブログでお伝えしてきたところです。皆さんぜひ、図書館総合展へお越しください!
(初参加の方は、図書館総合展の目的をぜひご覧ください)

私がお伝えしたいことは、2年前に図書館総合展の参加心得3ヶ条としてまとめていますので、ぜひそちらをご覧ください。併せて、過去の参加レポート(2014年2013年2012年)もぜひ。

ちなみに私は、今年もパシフィコの3日間には参加する予定です。参加される皆さん、よろしくお願いします!





★自主企画のご案内


図書館総合展の開催期間中の夜には、たいてい何らかの自主企画が開催されます。私は今年は、ほとんど何もしていないのですが、関わりのあるものをご紹介します。

  • 図書館総合展 大交流会2015
    図書館総合展運営協力委員(と言うか、ここ数年はほとんどしぶたん)の手により、毎年開催されているライブラリアンの大交流会です。毎年80〜100名規模で、いつも満員という定番人気企画です。
    (2015.11.6追記)満員御礼

  • LOD(Library Drinking Girls)
    酒飲み女子の集まりです(ホントは交流が目的なので、飲めなくても参加可)。男性は執事としてのみ、参加可能です(私もそうならないといけないのか・・・?)。
    図書館総合展期間中に開催される発足記念パーティーは、こちらから。他に、地方会場も設けられるようです。
    (2015.11.6追記)満員御礼

  • 図書館総合展おまけ会
    版元、書店、製版、印刷、製本、システム、そして図書館員など、より広く本にかかわる「本の周りの仲間たち」の交流会です。
    図書館の世界の周りにある、いろんな本を介した仲間たちと出会い、つながって欲しいと考えています。10月27日現在、参加受付中です。
    このイベントのルーツは、2年前に開催した版元×図書館 交流会ですので、今年でもう3年目。
    (2015.11.6追記)現在、残席2です。お急ぎください!


私はこのすべてに参加予定です。
来場者30,000人という巨大イベントですから、これ以外にも多くの自主企画があるでしょう。久しぶりに会った仲間どうし連れ立って、気ままに食事を楽しむのもいいかもしれませんね。

こうした夜のイベントも、図書館総合展の大きな魅力です。
言うまでもなく、ライブラリアン(図書館員とその周辺の世界の人びと)のヨコのつながりは、本当に大事です。皆さん、横浜へ集まるからには、夜も交流の場として楽しみましょう!



★ついでに宣伝


自主企画の案内ついでに、別件の宣伝です。
12月2日(水)に、大学図書館職員短期研修にお呼ばれしていて、上京します。同日夜、「東京で『空手家ライブラリアン』井上昌彦さんを囲む会」を企画くださっていますので、ぜひそちらもご参加ください。

定員40名でまだ1ヶ月以上先ですが、すでに7割方席は埋まっています。ご参加くださる方は、お早めに!
(2015.11.6追記)好評につき、定員を10名増やしました!


ところで幹事はかの、うめちゃん先生こと梅澤さん!これほどの人気講師に幹事になってもらうなんて、僕も大物やわ。(笑)



●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。

このところ、トイレトレーニングまっただ中のきょーこ。
最近ではもよおしてくると、「しーしー」と先に言えることが出てきました。


そして一昨日はとうとう、大きい方にも成功しました!
「ウ○チ!」と言うので、慌ててトイレに連れて行ったところ、大成功!

すごいで、きょーこ!えらいで、きょーこ!
これからもちょっとずつ、いろんなこと頑張ろや〜。

れいこ姉ちゃんも、応援してくれとるけんね!

2015-10-20

謝金・旅費ポリシーをつくってみた

(2015.10.22)文言の微調整と、後半に一章(?)追記をしました。

「何様なん、お前!?」
・・・と言われるのを覚悟の上で、新しいマイ・ルールをつくってみました。




★このところ・・・


このところ過分にも、講師としてお呼ばれしたり、インタビュアーやコーディネーターなどにご指名頂く機会が増えてきました。

身内の研究会や小さなものまで含めると、昨年は10回ほどお話しする機会を頂きました。今年はこれから実施のものも含めると、もうちょっと増えそうです。



私は自身のミッション・行動指針に掲げていますように、図書館や情報の持つチカラや魅力を伝えていきたいと思っています。
そんな私にとって、こうしてお話しする機会を頂けるのは非常に嬉しいことですので、喜んでやらせてもらっています。

(これも行動指針に書いていますが、「やるからには自身のプレゼンスも向上させ、一目置かれるライブラリアンになる」という下心を隠していませんので、その意味からも頑張っています)


ところが先日、「実はお声がけしたかったのだけど・・・」というお話を伺いました。
聞けば、「きちんと謝金もご用意できないので、声をかけるのをためらった」ということでした。



★謝金・旅費ポリシー


これは、実に勿体ない話です。
私に望まれていることがあり、私もそれにお応えしたいのに、それが実現できなかったのですから。しかもそれは謝金という、本質とはかけ離れた理由で、です。

また、謝金に関して言えば、逆に私の方に頂くためらいがない訳でもありません。

そこで今回、こうした状況を解消するべく、以下のとおり謝金・旅費ポリシーをつくって明示することにしました!

【空手家図書館員の謝金・旅費ポリシー】

  • 謝金
    1. お話等の機会を頂くとき、謝金はなくて構いません。
    2. (上記1.に関わらず)公的機関で基準に応じて謝金が出る場合など、ありがたく頂いた上で、全額を以下のいずれかのために寄付します。
      • 素晴らしい独自の活動をしているものの、資金難に苦しんでいる図書館関連活動
      • 小児がん等、病気の子どもたちを支援する活動

  • 旅費
    1. 実費だけ頂けると助かります。
    2. (上記1.に関わらず)自主勉強会で財源がないなど、場合によっては自己負担しても構いません。


こう明示することで、お声がけ頂ける機会が増えるのでしたら、私としては嬉しいことです。

「ええカッコしい」みたいですが、自分の活動はひとえに自身のミッション(=私自身の信念)にのみ従うもので、謝金が目的ではありません。

図書館活動で頂く謝金ですので、私としては図書館界のために還元するのは、ある意味で自然なことです。
病気の子どもたちへの支援は、れいこの闘病中に頂いた支援に対し、わずかでも恩返しをしたいという思いからです。



場合によっては旅費も自己負担というのも、それで自分のミッションを実現できるものなら、喜んでそうしたいと思います。

「参加者5人だけど、北海道まで自腹で来て!」と言われるとおサイフ的には辛いですが・・・旅費と人数のバランスでご相談でしょうか。
ある程度の人数(15人とか??)へ自分の思いを伝えられるものであれば、たいていの範囲なら自己負担ででも駆け付けます!

私が講師をすることが、金銭的な面でも社会のためになるのであれば、とても嬉しいです。



★お断り


このポリシーを適用するのは、オファーを私的にお受けする場合です。
私は多くの場合、講師等は私人としてお受けし、年休など勤務時間外に伺っています。その範囲においては、このポリシーを適用します。

一方、公的機関からご依頼を頂く場合などは、業務としてお受けする場合があります(特に本学がお世話になっている機関など)。

その場合は上記ポリシーを適用することなく、組織どうしの判断に従うことになりますので、ご了承ください(一般的に言えば、旅費のみご負担頂く、というケースが多いのでしょう)。

ともあれ、私が何かお役に立てるようでしたら、どうぞ気軽にお知らせくださいね〜!



★2015.10.22追記


数日経って、この記事を読み返してみました。
自分で言うのもアレですが、やっぱり「何様!?」ですね。読まれて気を悪くされた方には、お詫びしたいと思います。

一方で、私という個のライブラリアンが自身の信念にもとづき、こうした行動を取りそれを公言することには、それなりの意義があるのではないかと考えています。

私は常々、ライブラリアンは情報のスペシャリストとして、自分の旗を振るべきであると考えています。謝金がどうということそのものよりも、こうした自分の旗を掲げる姿勢を、社会に見せたいです。

でも、どう言ったところで、「何様!?」ですけれど。(笑)



●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。

今日10月20日は、れいこのバースデー。
(6月6日のセカンド・バースデーではなく、本当のバースデーです)
主役のいないバースデーは、早くも4回目になります。


本当だったら、家族が笑顔でいっぱいのはずの、れいこのバースデー。
どうしてれいこがここにいないのか・・・いまだに、私はこの事実を受け入れられません。

妻と違い、私は不自然なほど、れいこが夢に出てきません(もしかしたら、この現実を拒否しているのかも)。
ですが今朝は久しぶりに、れいこの夢を見ました。

でもそれは、れいこと一緒ではなく、れいこがいなくなった後の夢でした。
悲しくて、寂しくて、辛くて。ただ、泣いて泣いて。


でも、私たちが泣いてばかりでは、れいこも辛い思いをするでしょう。
今日わが家では、うそれいこを囲んでバースデーです。
涙はなしで、きょーこと一緒に、みんなで明るくれいこを囲んでやりたいと思います。

2015-10-18

ソーシャルメディアを使って、貴館では何をしたいんですか? (石川県立図書館で講師をしてきました!)

このところ、イベントのお誘いが続く、このブログ。
皆さん、ぜひ「人物図書館 in 大阪」「東京で『空手家ライブラリアン』井上昌彦さんを囲む会」にお越しください!


特に「人物図書館 in 大阪」は、会場がエル・ライブラリーに決まり、参加費が半額以下に変更されましたので、ぜひ!



★石川県立図書館さんにお招き頂きました!


さて、本題です。先日、石川県立図書館で講師をしてきました。
これは、日本図書館協会 地方講習会と石川県公共図書館協議会 図書館実務講習会(長!)を兼ねて、開催されたものです。


北陸方面の皆さんとは今まで、直接のご縁はありませんでした。
ですが今回、ソーシャルメディアというテーマで講師を探されていたときに、昨年私が愛知図書館協会さんでこのテーマの講師をしたことをお知りになり、お招きくださいました。

知人から推薦があるのも嬉しいことですが、こうして今までご縁がなかったところからお招き頂けるのも、本当に喜びひとしおです。



★お話しした内容


当日の内容は、愛知県図書館協会さんでお話しした内容のブラッシュアップ版です。
図書館が、そしてライブラリアン個人がソーシャルメディアを活用していこうとする際、考えるためのヒントにしてもらえる話をしました。



(所属を伏せる等、公開用に微調整しています)


話のポイントとしては、以下の点でしょうか。
  • 図書館でソーシャルメディアを使うときは、それを使って何をしたいのか、まず考えるべき。
    誰にどうしたいのか、どうしてもらいたいのか。それがあって、初めてどうソーシャルメディアを使うか決まる。
  • 組織として運営するのであれば、内容だけでなく、ガイドライン策定・決裁方法・リスク回避等も併せて考えるべき。
  • 個人でもソーシャルメディアを活用し、ライブラリアンどうしつながり、一緒に成長するためのツールとして活用するべき。


私の話の後は、地域の図書館による導入事例を簡単にご報告頂きました。
それに続き、講演や事例報告をもとに、グループ討論を行って頂きました。グループ討論が始まると、それまで以上に参加者の目が輝き出し、熱く語り合う光景が見られました。

(どこでもだいたいそうなのですが、私の話のときより、明らかに会場の熱気が高まります(苦笑))

終了後、各グループによるシェア発表をして頂きました。
そしてこの日の総括として、学んだことで明日から実践することを全員に、グループ内で発表してもらいました。どんなにささやかであっても、お一人ずつの決意が表明されたことに意味があると思います。



★この研修のねらい


この研修では、私はメイン講演の講師としてだけでなく、石川県立図書館さんと一緒に研修全体のプログラムを企画したり、当日の進行もしたりしました。

グループ討論や、明日から実践することの決意表明などは私の提案を受け、先方が快諾くださったものです。石川県立図書館さんの懐は非常に深く、この研修はほぼ私の思うようにさせてくださいました。



私の研修はいつも、単に知識を伝えることを目的とはしていません。
結局のところ、図書館をよりよいものにするには、自分たちで考えるしかありません。ですから私の研修は常に、ご自身で考えるためのヒントに過ぎません。

参加者の皆さん、ぜひそうした点も意識して振り返り、今後に活かしてくださればと思います。今回の研修が、ご自身で図書館を考えるきっかけになれば、本当に嬉しいことです。

ご参加くださった事務局の皆さん、貴重な機会を与えてくださった石川県立図書館の皆さん、本当にありがとうございました!


最後に、併せてご紹介です。
石川県立図書館さんは、最近ソーシャルメディアを開始されました。Twitter@iskw_preflibfacebookページがありますので、皆さんぜひフォローをお願いします!



●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。

きょーこはとても、料理好き。
いつも、お母さんの料理を横から覗き込んでいます。背が届かないので、椅子を持って来てよじ上っては、お母さんの様子を眺めています(墜落しそうで、私たちはヒヤヒヤ)。


最近はお手伝い(?)をしてくれることも多く、この日はお魚に塩をかけてくれました。
きょーちゃん、早くれいこお姉ちゃんみたいに、お母さんを助けてあげられるようになりや〜。

お父ちゃんお母ちゃんも、れいこお姉ちゃんと一緒に、応援しとるけんな!

2015-10-16

大学図書館職員短期研修でお話ししてきました!
(・・・と見せかけて、飲み会@東京のご案内)

一つ、朗報です。
先日ご案内を差し上げた、関西初開催の「人物図書館 in 大阪」。その参加費が、何と半額以下になります!(予定)


これは、会場をエル・ライブラリーにし、そこで食事を頂くことにしたからです。さらに希望者には、開催前にエル・ライブラリー見学会を実施することになりました。
ますます魅力的になった「人物図書館 in 大阪」に、ぜひお越しください。どなたでも、大歓迎です!



★大学図書館職員短期研修@京都


さて、先日書きましたように、京都大学で開催された大学図書館職員短期研修にて、お話ししてきました。担当した講義は、「大学図書館員のスキルアップ法」です。

今年も、西日本・東日本領会場ともお招き頂きました。全国から集まる若手ライブラリアンに対し、自分の思いを伝えられる機会を頂けたことを、本当に嬉しく思います。

昨年の様子は、こちら(西日本会場東日本会場)。


今年から同研修の主催は、東京大学さん&京都大学さんになりました(NIIさんは共催に)。
詳しい事情は知りませんが、こうした動きはいいことなのでしょうね。こうした研修の場で学んだ受講生は全国にいるのですから、各地の中核の大学が主体となり、そうした学びの成果を広げていけばいいと思います。

いくら素晴らしい人材が多いとは言え、NIIさんはその事業の割に、ビックリするくらいの少人数ですからね。
「NIIさんに頼らんでも、わしらがやっちゃろ!」というカルチャーが、日本中にできていったらいいですね!



★京都でお話ししたこと


当日の講義では、おおむね昨年と同じ内容、同じポイントでお話ししました。
自分の信念や一番伝えたいことは、いつも変わりがないから、同じ内容なのは当然です。昨年よりも自分が成長した分、多少ブラッシュアップできたかも。(笑)

スライドはNIIさんの公式Webサイトにて後日公開されるそうですので、そちらをご覧ください(東日本会場が終了したときにはアップします)。

話の主なポイントは、以下のとおりです。

  • 自分に必要なスキルは何か、スキルアップには何が必要か。それは、自館や大学の状況に応じて、自分で考えるべき。
  • 目線の高い仲間と一緒に頑張ることで、いろいろな気付きがあり、それが成長につながる。大勢の仲間とつながり、学ぼう。
    スキルはむしろ枝葉、仲間と成長しようという気持ちこそ幹。自分の幹を、高く太いものに!
  • 伝統的サービスで、高い評価を勝ち取れなかったライブラリアン。では、これからは?


他の講義が、受講生全員に10ずつの情報を伝えるものだとしたら、私の話はそうではないでしょう。

私は全員に10ずつの情報を差し上げるのではなく、(一部の人にしか届かなくてもいいので)100の情熱、そしてご自身で考えるためのヒントを伝えたいです。情熱さえあれば、後は自分で考え学んでいけると思っているからです。



先日も、昨年度の受講生が(名刺交換できていない方だったのですが、)ネット上で、「昨年の講義で、井上さんの話が一番印象に残っている」と書いてくださいました。また、今年の受講された方から、「一番良かった」というメールを頂きました。

(社交辞令も入っているとは思いつつも、)もしそうだったら、とても嬉しいことです。
全員にでなくてもいいんです。一部の方だけにであっても、こうして胸に響くメッセージを送れたら、それがきっとご本人の明日につながります。


受講くださった皆さん、事務局の皆さん、貴重な機会をありがとうございました!東京会場で受講される皆さん、事務局の皆さんも、よろしくお願いします!



★当日の夜も


当日の夜は、京都大学図書館員の勉強会ku-librariansに参加しました。
私と同じく短期研修講師で来られている千葉大学・杉田茂樹さんの企画で、学術情報流通版・脱出ゲームを楽しみました。


脱出ゲーム、見事優勝!

勉強会後は、短期研修講師・受講生、そしてku-librarians合同の懇親会を行いました。
とても楽しい脱出ゲームをご用意くださった杉田さん、ご参加くださった皆さん、幹事のNさん、ありがとうございました!



★(お誘い)短期研修をネタにした飲み会@東京


さて、私は12月2日(水)に開催されます同研修(東日本会場)でも講師を務めます。
せっかく上京するのですから、ここはやはりライブラリアンの交流会をしませんとね。

そこで幹事をお願いしたのが、超人気講師として知られる梅澤貴典さん!
さすが梅澤さん、早速「東京で『空手家ライブラリアン』井上昌彦さんを囲む会」を企画してくれました。こちらのエントリーフォームから、お申し込みください!

特に、短期研修の受講生は大歓迎です!私や梅澤さんと面識がなくても、ご所属や身分に関わらず、どなたでも大歓迎です!
また、周りに受講生がいらっしゃる方、よかったらぜひご周知くださいね~。

定員は40人ですが、昨年もそれくらい集まってくださっていますので、お早めに。
私などにではなく、梅澤さんに会いたい人が殺到して、あっという間に40席が埋まってしまうかもしれませんから。(笑)



●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。
先日も書きましたが、最近のきょーこの「イヤイヤ」ぶりは、とどまるところを知りません。何を言っても、「イヤイヤ!」。


れいこもなかなかに頑固な子でしたが(笑)、これほどではありませんでした。
とにかく言い出したらちっとも聞かないきょーこ、2歳にしてお姉ちゃん譲りの芯の強さが垣間見えます。

イヤイヤでもいいんです、ずっと元気でいてくれたら。
きょーこのそんなところも、受け止めてやりたいと思っています。

イヤイヤの相手はすごく大変ですが、れいこに応援してもらって頑張ります!

2015-10-14

マイクロ・ライブラリーサミット2015で感じたこと

最近テンパっていて、朝は3時半過ぎには起きることにしました(夜は21時半に寝ますが)。
京大さんや金沢での講師をしたこと、図書館総合展のもろもろなど、ブログのネタはたくさんあるので、書いていきたいと思います。


先日ご案内しました「人物図書館 in 大阪」も、関西初上陸ということで、参加者を絶賛大募集中です。皆さん、ぜひ!



★マイクロ・ライブラリーサミット2015


先日、ご存じマイクロ・ライブラリーサミット2015に参加してきました。ちょっとだけ、雑感を(昨年の参加レポート)。


今年も、素晴らしい会でした。
多くのライブラリーがその名のとおり、個人でやっている小さな試みです。その小さな試みがこれだけ結集ことに、ある種の感動があります。
これだけ多くのライブラリーを取りまとめられている磯井先生や事務局の皆さんには、脱帽です。また、毎年こうして貴重な場を設けてくださっていることに、感謝しています。



★オープニング・セッション


素晴らしかったのは、「つながる輪〜コミュニティと本と人の関係を探る」と題した基調討論です。

森忠延さん(井戸書店)からは、震災を機にお客さんのことを考えるようになり、地域の中で必要とされることをやってきた、という地域の書店ならではの取り組みの報告がありました。

「アウトロー棚」をつくったり、移動式書棚を設けたり、論語教室を開催したり。
笑い話の中にある、お客さんを見て提供するものを変えようという姿勢に関心させられました。これは書店さんだけでなく、きっと図書館にとっても大切なものであるはずですね。

「我々は感動伝達人である」というミッションを掲げる井戸書店さんは、地元・神戸の書店さんです。近いうちに、必ず足を運ぼうと思いました。


もうお一人、吉成信夫さん(岐阜市立図書館長)のお話が、これまた素晴らしかったです。
図書館の門外漢であった吉成さんが館長となり、ごくごく真っ当な感性でもって、図書館を変えていこうとされているご報告でした。理念やモットー、「あしたのためのキーワード」を掲げ、地域の人びと、そして自館のスタッフと向き合ったこられた点に、強く共感させられました。

自分がボスだったらしたいと思えるようなことを、次々と実行された吉成さん。こんなボスの下で、働いてみたいです。(笑)


お二人のお話は、本当に素晴らしいものでした。詳細は、ツイートのまとめをご覧ください。
この後、多くのライブラリーが登壇した「マイクロ・ライブラリー活動発表」がありましたが、個々には紹介しきれません。そちらも、ツイートのまとめからご覧ください。



★分科会「本棚を持たないライブラリー」


午後は、分科会に参加しました。
「グラスまちライブラリー」さん「まちライブラリー@TTBB<Take a Trip with the Book & Beer>」さんの主催によるものです。

皆さんとは普段からお付き合いを頂いているのですが、いつもとても楽しそうに活動されている姿に惹かれ、この分科会を選びました。


メイン・コンテンツは、「あなたがもし本棚を持たないライブラリーを主催するなら」というワークショップでした。
固定の場所にとらわれず、自由に活動するライブラリーを開くとしたら・・・いろんな妄想(笑)に駆られました。


参加者みたいで付箋を貼って項目をピックアップし、「こんなことができたら楽しい!」と言いながら、ワークショップを楽しみました。参加者同士の交流もでき、とても素晴らしいワークショップになりました。

(参加者どうしで偶然おっさんチームができたので、山の中で酒を呑みながら本を楽しむおやじライブラリーの企画などができました)

企画くださったグラスまちライブラリーさん、まちライブラリー@TTBBさん、貴重な機会をありがとうございました!



★マイクロ・ライブラリーという試み


丸一日、このマイクロ・ライブラリーサミットという素晴らしい場を、満喫しました。磯井さんはじめ運営サイドの皆さん、参加された皆さん、ありがとうございました!

昨年も書きましたが、こうした小さな図書館の何がここまで私たちを惹き付けるのか、ということを考えます。
そこには、本を介した空間で起きる、人と人との出会いやつながりがあるのでしょう。だからこそ、こうした場でも参加者同士がこうも打ち解け合い、楽しむことができるのだと思います。

結局のところ、人を惹き付ける一番のコンテンツは、やっぱり人なのかな、と思ってもみたり。
大学図書館員同士では、なかなか取れない距離感の中で一日を過ごし、改めてそんなことをぼんやり感じました。



●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。

れいこが星になって、はや3年半が近づいてきました。
寂しさはますます募る一方で、きょーこの健やかな成長が、日々の喜びです。


この日は、勝手に椅子によじのぼり、私のPCを触ろうとしていました。
椅子がズルズルすべって、こんなアクロバティックな格好に。あと10秒以内に、確実に墜落する構図です。(笑)

このまま、元気にきょーこが成長してくれることを、願ってやみません。
れいこお姉ちゃんも応援してくれとるけんな、きょーこ!